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近本光司の“認定?”サイクルヒットに原口文仁の復活。前半戦のできごとベスト10[後編]

文=藤山剣

近本光司の“認定?”サイクルヒットに原口文仁の復活。前半戦のできごとベスト10[後編]
前回お送りした週刊野球太郎が「独断」で選定するプロ野球・前半戦のできごとランキングは、ここから上位の発表! さあ、気なるあのニュースはランクインしているのか!?

前編(6位〜10位)の記事はこちら

第5位:広島、成績が乱高下


 セ・リーグ4連覇がかかる広島が、右往左往しながらもペナントレースをしぶとく戦い抜いている。

 今季の広島は、2年連続リーグMVPの丸佳浩が巨人にFA移籍、精神的支柱でもあった新井貴浩、頼れる助っ人・エルドレッドが退団し、戦力ダウンが懸念されていた。その不安をナインも重く感じていたのか、シーズン当初から動きが固く、開幕ダッシュに失敗。4月16日終了時点では、5連敗を含む4勝12敗で、最下位に沈んでいた。

 ところが、翌4月17日からは8連勝で借金を一気に完済。そこからは一進一退ありながらも5月11日から11連勝、1敗を挟んで5連勝と一気に上昇気流に乗り、6月1日時点では貯金14で3位の阪神に5ゲーム差。近年のように、首位固めに入るかと思われた。

 しかし、6月2日以降は突如、暗黒期が到来する。6月は6勝15敗2分で、交流戦も最下位。大連敗こそ免れていたものの連勝は一度もなし。さらに7月に入っても後退にブレーキがかからず、6月28日から7月10日まで、引き分け1個を挟んでなんと11連敗。借金は6個までふくらみ5位へと転落してしまう。4連覇は、限りなく赤に近い黄信号状態に……。

 ただ、こんな状況から一転、覚醒するのが今季の広島だ。7月19日からは怒涛の9連勝、ひとつ負けを挟んで3連勝とまたも白星の大行進。Aクラスに舞い戻ってきた。

 独走かと思われた巨人が猛暑とともに急失速し、DeNAはラミレス監督の采配がズバズバ的中し序盤の低迷から脱した。セ・リーグのペナントレースは広島も含めたこの3チームを中心に最後までもつれそうだ。

第4位:上原浩治が引退


 上原浩治(巨人)が現役引退を表明した。昨季から巨人に復帰していた上原だが、シーズン終了後に膝の手術を行ったこともあって、いったん自由契約に。そこから12月に改めて契約を交わし、プロ21年目に臨んでいた。

 ただ、今季は1軍昇格なし。2軍でも結果が出ないことから引退を決意。選手枠を若手のために空けたい、との思いもあってシーズン前半、5月20日の表明となった。

 大阪体育大からドラフト1位(逆指名)で巨人入りした上原は、ルーキーイヤーに20勝4敗をマークし、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率に加えて沢村賞、ベストナイン、新人王など、投手関連のタイトルを根こそぎ獲得。その後は先発としてコンスタントに活躍し、2007年にはクローザーとして32セーブを挙げた。

 2008年シーズン後に海外FA権を行使しメジャーリーグに移籍。オリオールズ、レンジャーズ、レッドソックス、カブスと4球団を渡り歩き、9年間で22勝26敗95セーブ、81ホールドという数字を残した。

 スピードは日本人投手のなかでも決して速い方ではないが、多彩なスプリットを中心とした変化球、精密なコントロール、打者のタイミングを幻惑する投球テンポ、牽制なども含めたフィールディングなど、投手としての総合力は超一流だった。

 記憶にも記録にも残る投手で、多くの勲章も手にしている上原だが、なかでも特筆すべきは日本人初の「100勝、100セーブ、100ホールド」(日米通算)。この先、並ぶ投手はまず現れないのではないだろうか。

第3位:原口文仁が大病から復帰しサヨナラ打


 原口文仁(阪神)が、6月9日の甲子園球場での日本ハム戦で、同点の9回裏2死二、三塁の場面で代打として登場。センター前にタイムリーを放ちチームを勝利に導いた。

 サヨナラ勝ちというのはどんなケースでも盛り上がるものだが、この日の甲子園は普段以上の熱気、感動に包まれた。それは、原口のここに至るまでの経緯をファンが知っているからだ。

 昨年12月の人間ドックで大腸がんが発覚した原口は、1月にそれをツイッターで公表し、同時に、手術を受けることも明らかにした。手術は無事成功し、経過観察、リハビリ、トレーニング、2軍戦を経て、1軍昇格を果たしたのが6月4日。その日に代打で起用され二塁打を放っている。そこから3試合は結果が出なかったものの、今季5度目の打席が上述のサヨナラタイムリーとなった。

 その後はプラスワン選出でオールスターゲームに出場し本塁打を放つなど、元気に試合に出ている原口の姿は、闘病している方々へ、大きな勇気を与えているに違いない。

第2位:阿部慎之助と中村剛也が通算400本塁打


 セ・パ両リーグを代表するベテラン長距離砲が、相次いで通算400本塁打を達成した。

 6月1日、阿部慎之助(巨人)は東京ドームでの中日戦で、田島慎二からライトスタンドに今季1号、史上19人目の通算400号本塁打を放り込んだ。

 そこから48日後の7月19日には、中村剛也(西武)がメットライフドームでのオリックス戦で、増井浩俊からレフトスタンドへの一発。阿部に続く史上20人目の通算400号本塁打(今季15号)を達成している。

 阿部は6回裏の勝ち越し打、中村は延長11回裏のサヨナラ打と、いずれもソロホームランながら、チームの勝利に貢献する貴重なメモリアルアーチとなった。

 阿部は40歳で、野手ではセ・リーグ最年長。今季も代打での起用が中心で、ここから量産体制に入ることは考えにくい。一方の中村は8月15日で36歳。通算400号以降も本塁打を重ねており、7月27日に今季20号、通算405号を放ち、歴代本塁打ランキング単独17位に浮上している。ここまでのペースを維持できれば、4年ぶりのシーズン30本塁打も視野に入ってくる。通算本塁打ランキング16位の小久保裕紀(413本)を抜く可能性も十分だ。

第1位:近本光司がオールスターゲームでサイクル安打


 近本光司(阪神)が7月13日に甲子園球場で行われたオールスターゲーム第2戦で、1992年の古田敦也(ヤクルト)以来となる史上2人目のサイクル安打を達成した。

 この日は「1番・中堅」でスタメン出場した近本。初回、山岡泰輔(オリックス)から右中間スタンドへ先頭打者本塁打を放って勢いに乗ると、2打席目は高橋光成(西武)から一塁線への二塁打、3打席目は美馬学(楽天)から一、二塁間をゴロで破るライト前と好打を連発。

 サイクル安打へリーチをかけて迎えた第4打席は平井克典(西武)から右中間への二塁打。仕切り直して迎えた5打席目、高橋礼(ソフトバンク)からレフトオーバーの一撃を放ち、パ・リーグ守備陣の「サービス気味の連係プレー」も後押しとなり、三塁まで到達。快挙達成となった。

 このゲームでは、同時に1試合4長打というオールスター新記録、史上初となる新人先頭打者本塁打、さらにタイ記録となる12塁打などもマーク。13対3とセ・リーグの大勝にも貢献し、文句なしのMVPに選出されたのだった。

文=藤山剣(ふじやま・けん)

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