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オリックス救援陣を攻略した日本ハムがファイナルへ進出!秋山監督退任が発表されたソフトバンクと対戦へ!

オリックスをここまで強くした「守護神・平野佳寿の25球」に拍手を!


 2010年から今季まで5年間、積み上げた公式戦の登板数は327。もちろんリーグ最多の登板数であり、今季も公式戦62試合に登板して40セーブを記録。球団記録を塗り替えたのが、オリックスの守護神・平野佳寿だ。他球団のファンも認める鉄腕は、疲労が重なるシーズン終盤、万全の体調でなくとも、チームのためにマウンドに登り続けた。

 第1戦は大谷翔平の熱投で日本ハムが、第2戦はT-岡田の逆転3ランでオリックスが勝利し、1勝1敗で迎えた第3戦。同点のまま9回に入り、森脇浩司監督はためらいなく、馬原孝浩から平野佳寿にスイッチ。ポストシーズン2試合目、今季通算64試合目の登板だった。

 球速表示はありながら、平野佳寿の伸びのあるストレートが影を潜めているのはわかっていた。シーズン終盤、ソフトバンクと激しい首位争いを繰り広げている最中も、リリーフ失敗は目についた。本来の球筋ではないのは、明らかに疲労によるもの。9回表、先頭の市川友也に内野安打を打たれ、最悪のシナリオが頭をよぎる。ところが、平野佳寿は粘り強い投球で2死までこぎつけ、陽岱鋼を迎えた2死二塁の場面では、ストレートを5球続けた後、渾身のフォークで空振り三振。悪いなりに抑えるその姿は、守護神と呼ぶにふさわしい投球だった。

 しかし、野球の神様は時に残酷な仕打ちをする。続く10回表、森脇監督は珍しく、平野佳寿を回またぎで起用。レギュラーシーズンでは、3月28日の日本ハム戦と5月26日のDeNA戦の2試合だけしか回またぎを経験していない。森脇監督には「4番の中田を抑えるまで……」という計算があったかもしれない。嫌な予感はした。

 平野佳寿が中田翔に投じた2球目は150キロのストレート。球速はありながらも、伸びがない「棒球」を、今季パ・リーグ打点王が見逃すはずはなかった。打球はバックスクリーンへ一直線。次打者の大谷翔平、小谷野栄一、近藤健介を打ち取り、この回は25球を投じて味方の反撃を待つ平野。しかし、これで勝負は決まってしまった。

 たった3試合で勝者と敗者がここまでハッキリするポストシーズンは、悪魔のようなゲームだ。Bクラスの常連だったオリックスが今季、優勝争いするまでに変身。勝利を積み重ねてきた立役者は、紛れもなくリーグ屈指の救援投手陣たち。ところが皮肉にも、CS第1戦、3戦ともに、疲労困憊の彼らが打たれて敗れてしまった。

 しかし、パ・リーグファンはオリックスのリリーバーたちの恐ろしさを十分に知っている。昨季5月28日から今季8月31日まで、7回終了時にリードした試合は100連勝。「勝利の方程式」の最後を締め括る平野佳寿は、間違いなくリーグNo.1の守護神である。その守護神が今季最終登板で投じた25球に、拍手を贈りたい。結果はどうあれ、オリックスをここまで強いチームにしたのは平野佳寿なのだから。



さぁ、ファイナルステージ! 秋山監督、有終の美を飾ることができるか?


 ドームである京セラドーム大阪でまさかの“水入り”の影響もあり、CSが始まって以来、初めて移動日なしでファイナルステージ、決戦の地・福岡に乗り込む日本ハム。

 接戦続きの今年のCS。パのファイナルステージもロースコアの戦いが予想される。カギを握るのは両チームの中継ぎ投手陣とみた。ファーストステージで好投した鍵谷陽平、満身創痍ながら頼りになる宮西尚生、今季わずか10試合の登板ながら、大一番で抜擢された白村明弘ら、栗山英樹監督の博打にも似た、思い切りの良い継投策がハマれば、接戦に強い日本ハムに勝機が生まれるだろう。

 一方のソフトバンクは、いかに安定感抜群のリリーフ陣へ繋ぐか。森福允彦、五十嵐亮太、サファテらにリードした状態でバトンを渡せば、アドバンテージの1勝も合わせて、日本シリーズ進出が見えてくる。

 ところが、ソフトバンクに“緊急事態”が発生した。秋山幸二監督が今季限りで退任する、と発表。内川聖一や松田宣浩ら、意気に感じる選手が多いだけに、気合いが空回りしないことを祈ろう。

 リーグ優勝を果たしながら、退任した監督は過去にもいる。2003年に阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた星野仙一監督は、健康上の理由でその年に退任。2007年の日本ハムは、シーズン途中にヒルマン監督が退任表明し、2011年の中日・落合博満監督は契約上の理由で、ポストシーズン前の9月に退任が発表された。ちなみに3監督とも、その年の日本シリーズには進んだものの日本一の座に就くことはできなかった。果たして、秋山監督は有終の美を飾ることができるのだろうか……。




■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは@suzukiwrite

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