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野球マンガ格言集・球言!『グラゼニ』『砂漠の野球部』『大甲子園』より

「球言(たまげん)」とは、名作&傑作マンガに登場する野球格言≠フことである。野球というスポーツの真理を突いた一言、技術を磨く名言、駆け引きを制する名台詞の数々は、現実のプレーや采配にも役立ったり役立たなかったりするのだ!

★球言1


《意味》
 インコースへ避けきれない球が来たとき、開きの早い打者はバットを握る手に当たってしまい、致命傷になる可能性がある。対して、開きの襲い打者は背中で受けることができるため、大ケガを防げる。

《寸評》
 イチロー(マーリンズ)や黒田博樹(広島)を例に挙げるまでもなく、一流の選手はケガに強い。野球をやっている以上、ケガをする危険性は誰にでもあるが、上手く回避するのもまた“プロの技術”。一見、不運としか思えない死球でも、大ケガをしない選手には理由がある。

《作品》
『グラゼニ』(森高夕次、アダチケイジ/講談社)第13巻より


《解説》
 プロ野球、神宮スパイダース対川崎ブルーコメッツのナイター。ブルーコメッツの先発・古我は、荒れ球が特徴の剛速球投手。スパイダース打線は、的を絞れずに打ちあぐねていた。解説者の徳永が言う。

「しかし古我の荒れ方は バッターにしてみたら本当に怖いね 気を抜いていたら本当に当たりますよ」

 言葉通り、好調のプロ7年目・虹川がインコースの球を左手首に当て退場。骨折の恐れがあり、長期戦線離脱の可能性が発生した。

 さらに正捕手の丸金千太郎にも、インコースの球が襲いかかり背中を直撃。これを見た徳永は口を開く。

「これが『虹川』と『丸金』の差………です!」

 開きの早い虹川は避けきれないボールを手に当ててしまうが、開きの遅い丸金は背中で受けられる。丸金のほうが大ケガを回避できるというのだ。

★球言2


《意味》
 打者は自分が打てるコースの球を待ち、3割を打てれば強打者。打てないコースへ延々と投げ続けられたら、打率は下がっていく。練習によって、苦手なコースを得意なコースに変えることは難しい。

《寸評》
 苦手なコースを「打てない」と断言してしまうのは極端だが、甘い球を待ち、難しい球には手を出さないというのは、打撃の鉄則。打者がいくら頑張っても、やはり難しい球を打つのは難しい。普段の練習から割り切ってしまうことで、打撃の質も変わってくるはず。

《作品》
『砂漠の野球部』(コージィ城倉/小学館)第8巻より


《解説》
 夏の鳥取大会。わずか9人の部員ながら、全員が越境入学者という変わり種・オアシス学園は、2回戦で久世高を撃破する。

 この試合をVTRで確認した大門学園の井出時子監督は、オアシス学園の投手・土屋拳至の投球に驚愕。彼が、平均的な打者の苦手コースである内角低めか外角低めへ、同じボールを投げ続けていることを知る。

 バッターとは所詮、苦手なコースはどんなに練習しても打てないと、時子監督は部員たちに告げる。オアシス学園の土屋は「確率的に集中打を浴びづらい投球を延々とし続ける」ことで、最小限の失点に抑えようとしているのだと。

 時子監督が見破った通り、土屋は3回戦での鳥取東山でも、同様の投球を披露。3季連続甲子園出場の強豪打線を自分のペースに巻き込み、8回まで1失点に抑えていく。

★球言3


《意味》
 打った選手にコーチャーズボックスへ入られると、投手は球種を読まれているようでイヤな気持ちになる。特に、打たれた理由がわからない打者の場合、そのままコーチになられると気持ちが悪い。

《寸評》
 明訓の岩鬼正美がホームランを打った直後、三塁コーチに立つ姿を見て、光のエース・荒木新太郎が発言。

 殿馬一人曰く、岩鬼がド真ん中を打てたのは「(悪球打ちの岩鬼にとって)どまん中は悪球」だったから。もはや禅問答のような理由だが、だからこそ王者・明訓の不気味さも際立っていた。

《作品》
『大甲子園』(水島新司/秋田書店)文庫版・第8巻より


《解説》
 ついに始まった大甲子園の二回戦。明訓と戦うのは、青森代表のりんご園農。大方の予想を覆し、3回裏2死までりんご園農が明訓を4点リード。続いて打席に入るのは、明訓の一番・岩鬼正美。

 悪球打ちの岩鬼に対し、ド真ん中を投げ込むりんご園農の投手・中村千吉。しかし岩鬼は、このド真ん中を「キィーーーン」という快音とともに、レフトスタンド中段へ弾丸ホームラン。味方のナインすら理由がよくわからないまま、明訓は1点を返す。

 ダイヤモンドを回ってきた岩鬼は、すました顔で三塁のコーチャーズボックスへ。テレビでこの姿を見ていた光高の荒木新太郎は、「打たれたバッターにコーチに立たれると 球種を読まれているようで いやなもんだよ ピッチャーは」と仲間に解説した。


■ライター・プロフィール
ツクイヨシヒサ/1975年生まれ。野球マンガ評論家。幅広い書籍、雑誌、webなどで活躍。著書に『あだち充は世阿弥である。──秘すれば花、『タッチ』世代の恋愛論』(飛鳥新社)、編著に『ラストイニング 勝利の21か条 ─彩珠学院 甲子園までの軌跡─』(小学館)など。ポッドキャスト「野球マンガ談義 BBCらぼ」(http://bbc-lab.seesaa.net/)好評配信中。

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