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黒田はフライアウトの2倍のゴロアウトを記録! 現役メジャーバリバリの投球を継続中!!

 今季、黒田博樹、松坂大輔、田中賢介、中島裕之の4選手がアメリカから帰ってきた。大きな注目を集める中、久しぶりの日本球界で開幕からどんなプレーを見せているか、振り返ってみよう。

(今回取り上げるのは黒田、松坂、田中賢介の3選手ですが…)
(成績はすべて4月5日終了時点のもの)

☆ドア系の変化球を中心にゴロを量産・黒田博樹

 今季、アメリカから日本球界に復帰した4人の中でも特に注目を集めているのが広島の黒田博樹だ。20億ではなく広島を選んだ、という点が報じられがちだが、冷静に考えれば、メジャーリーグで5年連続2ケタ勝利を挙げている投手が日本にやってきたのだ。バリバリのメジャーリーガーが、どんなピッチングをするのか。男気もいいが、黒田の投球をもっと見てほしい。

 ところで、黒田が得意にしている球としてフロントドアやバックドアという言葉をよく耳にする。一体どういう球なのか、簡単に説明しよう。

 フロントドアとは、右投手が右打者に対し、スライダーやカットボールを内角のボールゾーンからストライクゾーンに変化させる球。左打者に対しては、ツーシームやシンカー系を内角のボールゾーンからストライクゾーンに変化させる。

 バックドアとは、右投手が右打者の外角ボールゾーンからツーシームやシンカー系を内側に変化させる球。左打者に対しては、スライダー系を外角ボールゾーンからストライクゾーンに変化させる。

 投手の左右を問わず、内角のボールゾーンから入れる球がフロントドア、外角から入れる球がバックドアと考えれば覚えやすいだろう。また、フロントドア、バックドアをまとめて「ドア系」ともいう。

 黒田はメジャーでツーシーム、スライダーを使ったドア系の球を駆使し、ゴロを打たせるピッチングを磨いた。ゴロアウトとフライアウトの割合を見ると、メジャー7年通算で1.35(フライアウトよりゴロアウトのほうが1.35倍多い)を記録している。


 広島復帰後、初登板でいきなり初勝利。4月4日の中日戦は7回3失点ながら打線の援護がなく初黒星を喫した。2試合で1勝1敗、防御率1.93がここまでの成績だ。

 日本に復帰した後も黒田のゴロを打たせるピッチングに変化は見られない。2試合の通算でゴロアウトは20、フライアウトは10、三振は11(ゴロアウトには犠打も含む)。ゴロアウトとフライアウトの割合は2.00だ。

 黒田がゴロの山をどれだけ築くことができるか。ゴロアウトを打たせているほど調子がいいとも考えることができ、バロメーターとして見てもいいだろう。

 一方、松坂大輔に関してはショッキングなニュースが飛び込んできた。

 3月31日に福岡市内の病院で検査を受け、炎症はなかったものの、右肩筋疲労のため無期限ノースロー調整を行うこととなったのだ。肩の筋疲労は、靱帯や骨に異常があるわけではなく、一般的な故障とは異なる。症状も個人差があり、全治も不明だ。

 今は1日も早い復帰を願うばかりである。

☆2番が似合う田中賢介! しかし、まだバントなし!?

 3年ぶりの日本ハム復帰となった田中賢介。アメリカでの2年間はメジャーで15試合しか出場できず、悔しい思いをしたはずだ。

 今季は開幕から全試合に出場し、打率.314、出塁率.400とチャンスメーカーとして申し分ない成績を残している。5日のオリックス戦は3番・二塁手として出場したが、ほかの試合は2番・二塁手。日本ハムの「2番・二塁手」は、やはり田中賢介がよく似合う。


 田中賢介といえば、通算犠打数168とバントの名手でもある。2007年には当時のパ・リーグ記録となるシーズン58犠打を記録した。ところが、今季はここまで犠打を1つも記録していない。まだ9試合しか紹介してないとはいえ、驚きの数字である。

 これには田中の状態よりも、チームの戦略、戦術が関係しているだろう。
 昨季の日本ハムはチーム全体でリーグ2位の172犠打を記録した。いわゆる犠打を多用するチームだった。しかし、今季はチーム全体の犠打がリーグ最少の3。陽岱鋼と近藤健介、西川遥輝がそれぞれ1つずつ記録しただけだ。

 参考までに、以下に今季パ・リーグのチーム犠打数をあげるが、日本ハムの3は楽天と並びリーグ最少である。

ソフトバンク=5(今宮健太、鶴岡慎也が各2、中村晃が1)
オリックス=4(平野恵一、安達慎也が各2)
ロッテ=6(田村龍弘が2、荻野慎也、鈴木大地、角中勝也、根元俊一が各1)
西武=4(金子侑司が2、炭谷銀仁朗、木村文紀が各1)
楽天=3(後藤光尊、阿部俊人、小関翔太が各1)

 現段階で日本ハムは犠打の企図数を減らしたとは断言できないが、田中の成績とともに日本ハムの戦術にも注目したい。


■ライター・プロフィール
京都純典(みやこ・すみのり)/1977年生まれ。データ関係の仕事を得意とする野球ライター。『プロ野球本当の実力がわかる本2015〜セイバーメトリクスで見るプロ野球〜』 (日刊スポーツ出版社)の監修を務めた。『野球太郎[Special Edition] プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2015』の巻頭ページにて、2015年注目トピックの全データを解析した。中日ファン。

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