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国民的スター候補・筒香嘉智(DeNA)こそイチロー、松井秀喜の後継者。転機は高卒9年目の年!?

国民的スター候補・筒香嘉智(DeNA)こそイチロー、松井秀喜の後継者。転機は高卒9年目の年!?

 大谷翔平(日本ハム→エンゼルス)がポスティング制度を用いて海を渡ることになった。近年の日本プロ野球界における特別なスターだっただけに、プロ野球人気に陰りが見えないか、心配は募る。

 現状、プロ野球界を見渡すと野手のスター不足は深刻に思える。ON(王貞治、長嶋茂雄、ともに元巨人)、「イチ松」ことイチロー(マーリンズからFA)、松井秀喜(元ヤンキースほか)らが球界を牽引してきたものの、その後、彼らクラスのスターは不在。もちろん、好選手や名選手はたくさんいる。ただ、近年では柳田悠岐(ソフトバンク)、山田哲人(ヤクルト)らが目覚ましい結果を残しているものの、イチロー、松井と同じような社会的な人気を誇っているかというと疑問符がつく。

 このような時代に「次の国民的スター」となりうる実力を兼ね備えている選手といえば誰だろうか。筆者は、昨年の第4回WBCで侍ジャパンの4番として君臨した筒香嘉智(DeNA)を挙げたい。

 筒香は2018年シーズンがプロ入り9年目。では、先代国民的スターであるイチローや松井は高卒9年目のシーズンにどんな成績を残したのだろうか。筒香への期待を込めて、2人の高卒9年目を振り返りたい。

日本最終年のプロ入り9年目に有終の美を飾ったイチロー


 1991年のドラフト4位でオリックスに入団したイチローは、3年目となる1994年に当時のシーズン最多安打記録となる210安打を達成。そこから大ブレイクし、1999年まで6年連続首位打者、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞と圧倒的な存在感を見せ、9年目となる2000年のシーズンを迎えている。

 高卒9年目のこのシーズン、イチローはさらに好成績を残した。シーズン半ばまで4割近い高打率を維持。8月後半に脇腹を痛めた影響で最終盤を欠場となったが、打率.387で7年連続の首位打者を獲得。ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞にも7年連続で輝き、日本の頂点に立ったままオフにマリナーズへと移籍した。

 イチローと筒香は打者としてのタイプが違う。共通点は右投げ左打ちの外野手という点くらいかもしれない。しかし、筒香が圧倒的なスターになるためには、イチローのように他を寄せつけない成績が必要だ。筒香はイチローのような存在感を発揮することができるだろうか。

■イチローの高卒9年目の成績(オリックス、2000年)
105試合:打率.387(395打数153安打)/12本塁打/73打点
タイトル:首位打者、最高出塁率
表彰:ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞

松井は9年目に初の首位打者獲得


 一方で松井の9年目の成績はどうだったのか。松井は1992年のドラフトで長嶋茂雄監督が当たりくじを引き当て、巨人に1位入団。高卒1年目の1993年から2ケタ本塁打(11本塁打)を放ち、2年目には開幕スタメン出場。早くも星稜高時代に見せた甲子園での「スター感」がプロの世界でも解き放たれつつあった。大きなケガもなく8年目の2000年には42本塁打、108打点で本塁打王と打点王の二冠を獲得。さらなる高みを目指して高卒9年目となる2001年に臨んだ。

 このシーズンも前年同様に、ペタジーニ(ヤクルト)と激しいタイトル争いを繰り広げる。惜しくも本塁打、打点の二冠は譲ったものの、打率.333で自身初の首位打者を獲得。また、プロ入り以来、初めて全試合で4番に座った。そして、翌2002年の50本塁打を置き土産にヤンキースへと移籍した。

 筒香がレギュラーに定着したのは、ケガの影響もあり松井よりも遅い高卒5年目だ。単純に比較できないものの、長距離砲として同様の成績を残せるポテンシャルはあるだろう。野球ファンの多くはさらなる覚醒を望んでいるはずだ。

■松井秀喜の高卒9年目の成績(巨人、2001年)
140試合:打率.333(481打数160安打)/36本/104打点
タイトル:首位打者
表彰:ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞


筒香がスターとなり野球人気を復興してほしい


 筒香は派手なタイプではなく、どちらかというと「侍」といったイメージが似合う。もしかしたら、「スター」と呼ばれる華やかなタイプではないかもしれない。しかし、観客動員は伸びたものの野球人口の低下などの遠因もあり、低迷が囁かれる野球人気に歯止めを掛けるためにも、国民的な人気選手になってほしい。

 また、公の場でメジャー志望を打ち出していないが、イチローや松井のように日本中の誰もが認めるスターとなり、キャプテンとしてチームを優勝に導いた後に、胸中を打ち明けてくれるかもしれない。将来的なメジャーリーグ移籍にも期待したいところだ。そのためには、先人の2人のように高卒9年目を迎える2018年シーズンにさらなる飛躍を遂げてほしい。


文=勝田聡(かつた・さとし)

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