まずは東京の象徴的建造物であり、観光名所でもある東京ドームを紹介しよう。
東京ドームといえば、言わずと知れた国内初の屋根付き球場だ。また、人気球団・巨人の本拠地ということもあり、観客動員は5年連続1位。揺るぎない人気と動員力を誇っている。
その東京ドームで楽しめるビールは、売店と売り子が販売するサーバーからの生ビールのみ。瓶や缶はなく、その値段はなんと800円。12球団フランチャイズで唯一の800円台ということもあり、割高感は否めない……。
しかし、都心の好立地という条件に加え、最寄駅から徒歩2分ほどとアクセスも良好。その利便性を考えれば、この値段は致し方ないところか? いずれにせよプレミアムな空間での高級ビールは、また違った旨みがあるはずだ。
個人的には、昨年9月10日の広島優勝の瞬間を東京ドームで見られたこともあり、そのときのアサヒスーパードライの味たるや格別だったのを昨日のことのように覚えている。これぞまさにプレミアム。
次は東京のお隣、港町・横浜にそびえるのがDeNAの本拠地・横浜スタジアムだ。
こちらで目を引くのは、スタジアム限定ビールのベイスターズ・ラガーとベイスターズ・エール。この2つはクラフトビールのブームに乗って2015年シーズンから登場した球団オリジナル醸造ビールだ(当初はベイスターズ・エールのみ)。
横浜スタジアムでしか飲めないこの逸品は、濃いめの味のクラフトビールながら、飲みやすさが特徴。特にベイスターズ・エールは、アルコール度数4.5%と低アルコールで女性人気も高い。来場の際には両方とも味わってみるのをオススメしたい。
また、横浜スタジアムに10リットルのビールサーバーつきの「スカイバーカウンター」が設けられている。ビールと野球を愛する者にとって夢のようなシートだ。言うまでもなく大人気で、入手困難なプレミアムシートとなっている。
野球とビールを腹一杯堪能できるこのシート。死ぬまでに一度は行ってみたいものだ。
最後は、プロ野球の本拠地球場としては2番目に古く、昨年には90周年を迎えた明治神宮野球場。
渋谷、新宿に近い都心のど真ん中にそびえる球場ながら、その喧騒から離れた神宮外苑の森のなかにある佇まいには独特の風情がある。
神宮球場のイチオシビールも「ここにしかない」瓶ビールだ。値段は球場ビールとしては破格の450円。サーバーにこだわりのない、とにかく量を摂取したいというビール党には特にオススメだ。
筆者も球場ビールでは、神宮球場の瓶ビールを最も愛している。低価格もさることながら、冷たい瓶から注がれる黄金の液体からは、サーバーからのそれとは違う風情を感じるからだ。
ただ、可愛い売り子さんからビールを注いでもらうことを楽しみにしている方には残念なお知らせがある。重たい瓶ビールを運ぶ売り子さんは全て男性なのだ。女性の売り子さんとのコミュニケーションを求める方は、瓶とそのほかのビールを交互に飲むことをオススメする。
一方、女性の観客の皆様には、爽やかな男性の売り子さんから注がれるビールを堪能できる幸せなひと時となるのは請け合い。
また、神宮球場はフードの充実ぶりも忘れてはいけない。特に外野スタンド裏は、様々な店が並び、縁日のような賑わいを見せている。
そのなかでも、神宮球場名物のウインナー盛りはマストだ。白いトレーに並々と盛られた大小様々なウインナー。サイズは普通盛りとメガ盛りがあるが、メガ盛りともなれば溢れんばかりにウインナーが山盛りとなる。圧巻の量と球場の雰囲気で至極の肴と化す。これぞまさに球場グルメ最高峰といえるだろう。
山盛りのウインナーをビールで流し込む。この至福のときが訪れるのはもうすぐだ。この原稿を書きながら筆者の気持ちはすでにスタジアムに向かっている。ビールを飲みながら大好きな野球を見られる幸せ。それを与えたもうた野球の神様に、心から感謝したい。
文=井上智博(いのうえ・ともひろ)