週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

《甲子園・私立vs.公立》今夏、甲子園に出場する公立校は? そもそもなぜ公立は愛されるのか?


 今年も幕を開けた夏の甲子園。甲子園といえば、独特の空気感が選手たちに襲い掛かり、ときには選手たちを後押しする追い風となる。

 その最たる発現が“旋風”だ。近年では2007年のがばい旋風(佐賀北)が有名。無名の公立校が強豪私立に立ち向かう構図は高校野球ファンの「判官びいき精神」を大いにくすぐり、決勝の広陵戦では広陵の応援席を除いて、佐賀北応援ムード一色となった。

 「広陵が可哀想だ」という声も挙がり、判官びいきが判官びいきを呼ぶほどだった。

 以下の通り、長い高校野球の歴史を見ても、有名な“旋風”の多くは公立校によるものだった。

・蜃気楼旋風(富山・魚津/1958年夏)
・さわやかイレブン(徳島・池田/1974年春)
・24の瞳(高知・中村/1977年春)
・新湊旋風(富山・新湊/1986年春)
・利府旋風(宮城・利府/2009年春)

そもそもなぜ日本人は公立校が好きなのか?


 「施設充実、戦力充実の私立。それに立ち向かう公立」

 甲子園で判官びいきが起こる第一要因として挙げられるのがコレだ。ある意味では「弱い者を応援する」という義に沿っているが、もっと大きな要因があるのではないだろうか。

 実は日本の高校の多くが国公立なのだ。現在、高校総数のうち、約75パーセントが公立校。生徒数では約70パーセントが公立の高校(中等教育学校なども含む)に在籍しているのだ。思ったよりも高い割合ではないだろうか。

 さかのぼれば、公立の比率はもっと高くなる。つまり、日本人の大多数は国公立高校出身。

「オレは公立出身だから公立が好きだ!」

 という主張を聞いたことはないが、大多数が無意識のうちに公立好きの傾向になるのも頷けるだろう。

今夏、甲子園に挑む公立校は?


 そんな理由もあり、特別に高校野球ファンから大きな期待が注がれる公立校。過去の伝説的な旋風と同じような圧倒的な熱量を持ったブームを起こすのは、やはり公立校の可能性が高い。

 それでは、この夏、甲子園に出場する公立校を紹介しよう。

・大曲工(秋田/県立/初出場)
・いなべ総合学園(三重/県立/6年ぶり2回目)
・市尼崎(兵庫/市立/33年ぶり2回目)
・市和歌山(和歌山/市立/2年ぶり5回目)
・境(鳥取/県立/初出場)
・出雲(島根/県立/初出場)
・鳴門(徳島/県立/5年連続11回目)
・唐津商(佐賀/県立/5年ぶり5回目)
・長崎商(長崎/県立/29年ぶり7回目)
・嘉手納(沖縄/県立/初出場)

 スポーツ新聞などの予想でもっとも下馬評が高いのは、春夏連続出場のいなべ総合学園。校名的には私立っぽさがあるが、県立校で13万平方メートルの広大な敷地を持つ。うち体育施設は6万平方メートルにも渡り、充実した環境の“ニュータイプ公立校”といえるだろう。

 また、鳴門も「徳島県内無敵」と名高い。ちなみに徳島県は現在に至るまで私立校の甲子園出場がない全国唯一の地区だ。

 そのほかの学校は残念ながら高い下馬評を得てはいないが、逆にいえば“旋風”に期待できる。特に境、出雲の山陰勢や大曲工は、近年不調の県勢の鬱憤を晴らす活躍ができれば即旋風だろう。

 初出場の嘉手納にも判官びいきの期待がかかる。ただでさえ沖縄は公立や私立を問わず、旋風が起きやすい“特区”。旋風マニアにはたまらない注目校だ。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方