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左右のナンバーワン・寺島成輝(履正社)、藤平尚真(横浜)。無失点男・高橋昂也(花咲徳栄)に注目!


 8月7日に開幕した夏の甲子園大会。連日各県代表校による熱い戦いが繰り広げられている。

 前回は、甲子園出場を逃したドラフト候補を紹介した。今回は甲子園への出場権を獲得した注目のドラフト候補を紹介していこう。

埼玉大会37回無失点、52奪三振!! 高橋昂也(花咲徳栄)


 花咲徳栄の最速152キロ左腕・高橋昂也は埼玉大会を無双した。6試合の登板で37回無失点、52奪三振と圧巻の投球。全試合通じての被安打はわずか11。5回戦の滑川総合戦では6回を投げ、9連続三振を含む14奪三振。参考記録ながら完全試合を達成した。

 そんな高橋のピッチングを各球団のスカウトも大絶賛。すでに巨人、中日、楽天のスカウトが「ドラフト1位の可能性もある」と話している。とくに巨人は、堤辰佳GM自ら決勝の聖望学園戦を視察したほど。

 昨夏の甲子園、高橋は3試合で8回1失点と好投。チームを8強に導いた。しかし今春のセンバツでは、初戦の秀岳館(熊本)戦で6回6失点。最速も139キロと本来のピッチングをできなかった。それだけに今夏への思いは強い。

 酸いも甘いも知り尽くした甲子園で、高橋の「今夏の無失点」がどこまで続くか注目だ!


バンビ2世最後の夏 藤嶋健人(東邦)


 1年時の夏の愛知大会からエース級の活躍を見せて2完投勝利、胴上げ投手となった藤嶋健人。その夏の甲子園でも先発勝利を挙げ、早くから世代を代表する投手と目されてきた藤嶋は、チームの主将として最後の夏を迎えた。

 中京大中京、愛工大名電など全国屈指の強豪校が集う愛知大会。今夏は34回を投げ、わずか2失点。最速146キロのストレートにスライダー、カットボール、落差のあるナックルカーブで強打者を次々となぎ倒した。

 藤嶋がすごいのはピッチングだけではない。高校通算48本塁打を放つパワーも兼ね備え、4番を任されている。昨秋の明治神宮大会初戦の秀岳館(熊本)戦ではレフトへ2打席連続の超特大アーチを放ち、チームの全得点を1人で稼ぎ出した。

 愛知大会優勝後、藤嶋は「最初から絶対に優勝するんだと思っていた。最後の甲子園をみんなで思い切り楽しみたい」と語った。投げて打って、甲子園の優勝旗を手繰り寄せる!



高校ナンバーワン左腕、初の甲子園へ 寺島成輝(履正社)


 高校ナンバーワン左腕と名高い履正社のエース・寺島成輝が、ついに甲子園のマウンドへ立つ。最速149キロのストレート、130キロ中盤〜140キロのカットボールが大きな武器だ。大阪大会では29回を投げ43奪三振と三振の山を築いた。

 中学3年時に世界大会で優勝。2014年、履正社がセンバツ準優勝を果たした直後に入学。一気に黄金期到来を期待させたものの、皮肉にもそこから履正社は甲子園出場はなし。寺島にとって悲願の甲子園だ。

 「負けて泣いたことはあるんですけど、勝って泣いたのは初めてです」と優勝後のインタビューで語った。

 すでにドラフト1位候補に推している球団も多い。巨人の山下スカウト部長は「完投能力があってレベルも高い。将来的にチームの軸になれる投手に成長すると思う。3、4球団は競合するんじゃないか。そのくらいの左腕」とコメント。競合必至といわれる田中正義(創価大)と共に、競合になる可能性も十分にある。

 「甲子園で150キロを出してみたい」とも語った寺島。大阪大会では149キロを計測し、大台は目の前。甲子園で更に一皮剥けたピッチングに期待したい!


驚異の身体能力を誇る高校ナンバーワン右腕 藤平尚真(横浜)


 高校ナンバーワン左腕の寺島に対し、「高校ナンバーワン右腕は誰だ?」となると、やはりこの投手の名前が真っ先に挙がるだろう。横浜のエース・藤平尚真。藤平も今回が初の甲子園出場となる。

 ストレートの最速は152キロ。常に140キロ前後から140キロ台中盤のノビのあるストレートを投げ込む。また、落差十分のフォーク、縦横2種類のスライダー、スローカーブと質の高い変化球も操る。そのため、ストレートだけに頼らず変化球でも勝負できるのが強みだ。

 中学生の時点でにストレートは140キロを超えていた藤平。野球以外でも、驚異の身体能力を生かして、陸上競技の走り高跳びでは全中2位、ジュニアオリンピック優勝と輝かしい記録を残している。

 また、藤平は投げるだけではない。先の神奈川大会、準々決勝の横浜隼人戦では第3打席にホームラン。次の打席ではバックスクリーン左へ推定130メートルの特大満塁ホームラン。4打数4安打7打点の大暴れで打者としても非凡さを見せつけた。

 履正社の寺島とは頻繁に連絡をとる仲だという。横浜と履正社の地方大会決勝が行われた朝には「2人で甲子園を盛り上げよう」とLINEで連絡を取り合い、有言実行の甲子園出場となった。

 また神奈川大会優勝後のインタビューでは「寺島と投げ合いたい。自己最速のストレートを見せられるように頑張りたい」と語った。

 高校ナンバーワン左腕・寺島の投げ合いはなるか? 最速更新はなるか? そして松坂大輔(ソフトバンク)以来の夏優勝はなるか? 藤平から一瞬たりとも目が離せない!



 今回取り上げた選手以外にも高校ナンバーワン捕手・九鬼隆平(秀岳館)、最速154キロ右腕・高田萌生(創志学園)、196センチのハーフ右腕・アドゥワ誠(松山聖陵)など期待のドラフト候補が出場を果たした。

 昨夏のオコエ瑠偉、平沢大河のような新たな甲子園スターの誕生にも期待したい。


文=山岸健人(やまぎし・けんと)

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