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七夕の季節に思い出したい、江川卓vs.掛布雅之。因縁のライバル対決



 7月、七夕、星祭り。街を歩けばあちこちで七夕飾りが賑わい見せる。

 夢の球宴・オールスターゲームが開催される7月とあって、この時期はいつも以上に「ライバル対決」が気にかかる。球界では過去、さまざまなライバル対決が繰り広げられてきた。長嶋茂雄vs.村山実、王貞治vs.江夏豊、野茂英雄vs.落合博満、イチローvs.松坂大輔……。なかでも、80年代きってのライバル対決といえば、「江川卓vs.掛布雅之」を外すわけにはいかない。

 「巨人のエース」と「阪神の4番」によるライバル対決は、1979年から1987年までの9年間、167打数に渡って繰り広げられた。その初対決の日が、奇しくも1979年の7月7日。どちらが織姫でどちらが彦星かはわからないが、「七夕対決」として大きな注目を集めたという。その記念すべき初対決の様子をプレイバックしたい。


1955年生まれの同級生対決



 1979年は江川卓のルーキーイヤー。前年ドラフトでの「空白の1日」と阪神の強硬指名、小林繁も交えた因縁トレードもあって、阪神戦における江川の登板は、とにかく注目度が高かった。

 7月7日、後楽園での巨人対阪神は、江川にとって2度目の阪神戦。初戦では掛布が欠場していたため、この日が初対決となった。

 「巨人の新エース」と「阪神の若き主砲」という構図に加えて、2人は同じ1955年生まれ。誕生日も16日しか違わない同級生だ。加えて、高校からスーパースターだった江川に対して、高校から入団テストを経てドラフト6位指名された雑草・掛布。といっても、掛布には5年間先にプロで戦ってきた自負もある。その対決は当時の日本中の注目の的だった。

《七夕対決。僕の奥さんの誕生日だったから覚えてる。その前日から、もうマスコミに「いよいよ江川と対決です」と煽られて。本当、嫌だったね》(江川卓・掛布雅之著『巨人-阪神論』より、掛布の言葉)


「そうか、江川も怖いんだ」




 1回、2死走者なしで、この日3番に座った掛布との初対決を迎えたマウンド上の江川。1球目に選んだ球はカーブだった。

《これが後々に痛恨の1球になるわけですよ。一生悔いの残る1球なんですけど。(中略)なぜカーブのサインに納得したかと言うと、前の年に掛布がオールスターで3打席連続ホームランを打っているのを僕はテレビで見ているんですよね。(中略)プロ中のプロが集まる舞台で1試合3本のホームランを打っているバッターと対決せねばならない。そういう心理から初球にストレートをいけなかった。当時の自信の無さの表れですよね》(江川卓・掛布雅之著『巨人-阪神論』より、江川の言葉)

 このカーブは外れてボール。そして、カーブを見たことで掛布に余裕が生まれた。「そうか、江川も怖いんだ」と感じることができたのだ。

 その後、カウントは3ボール1ストライクに。そして5球目、江川が投げたカーブを今度は掛布がすくいあげ、ライトスタンドへのホームラン。掛布は江川から通算14本のホームランを打っているが、これがその記念すべき1本目となった。

 9年間の対戦成績は、167打数48安打33打点14本塁打、打率は.287。一方、江川が掛布から奪った三振は21個。どちらに軍配が上がったのか、なんとも判断が難しい成績といえる。ただ、掛布が江川のカーブをホームランにしたのはこの最初の対決だけ。以降は、ストレートの真っ向勝負にフルスイングで応えるのが、二人の対決の基本軸となった。


ホームランで始まり、三振で終わる



 ライバル対決、と評される戦いは、得てして周囲が勝手にはやし立てているだけの場合も多い。だが、「江川対掛布」は、お互いがお互いをライバルと認めた、まさに因縁の対決だった。上述した『巨人-阪神論』のなかで、二人はお互いについてこうコメントしている。

《(自分は)江川に育ててもらったと言ってもいい。あのストレートを打つために、それだけのスイングをいろいろと考えたりするんですから。技術的に凄くレベルアップさせてもらったと思いますよ》と語ったのは掛布。

《掛布の状態がいい時は、それが僕にとっても指標になるんです。掛布が、どういうふうに打球を飛ばすかによって自分の調子が分かる。掛布の調子が悪いと、そりゃ試合は楽ですよね。だけど自分を計る指標がなくなるわけですよ》と江川。

 二人の最後の対決は1987年9月27日の後楽園球場。結果は空振り三振。ホームランで始まり、三振で終わる。それが、江川卓vs.掛布雅之のライバル対決だった。


 今の球界で、これほどまでにお互いを意識したライバル関係は、なかなか思い浮かばない。それがどうにも寂しいし、物足りない。なればこそ、オールスターゲームに期待したいところだが、最近は交流戦直後ということもあって話題性も新味も乏しい。勝負よりもイベント的ですらある。4日には監督推薦選手も発表され、全出場メンバーが決定する今年のオールスターゲーム。これぞプロ、と唸るライバル対決は見られるのだろうか?


文=オグマナオト

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