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ブラバン応援ウォッチャー・ブラ清水くんに訊く!高校野球★必聴ブラバンはどこだ?

 『野球太郎』、『週刊野球太郎』では初登場の“ブラ清水くん”。「ブラ」とはブラスバンドのこと。拓大紅陵の応援に出会ってから応援演奏の世界にのめり込んだ。そんなブラバン応援ウォッチャー・ブラ清水くんにブラバン応援の素晴らしさを教えてもらった。


◆今夏もいざ千葉大会へ

 夏の甲子園切符をかけた熱き戦いが各地方で繰り広げられる頃、ブラ清水くんの熱すぎる戦いも人知れず始まる。忙しい仕事の合間を縫って、毎年千葉大会への遠征だけは欠かさず行ってきた。

「夏の大会では、千葉は1回戦からほぼどの学校も吹奏楽が来ています。それはたぶん県の特色やと思うんです。甲子園に憧れて……という話がよくありますが、僕の場合はQVCマリンが聖地のような感じ。ホントにきれいで、雰囲気がすごく好きですね。甲子園もそうなんですが、球場の壁が結構あって、いい感じで音が反響するんです」

 音の反響。これがブラ清水くんにとって重要ポイントである理由は、スタンドの演奏や歓声すべてをその場で録音しているからだ。昨年の春からは動画撮影も開始。1試合丸ごとの録音を続け、音源コレクションは1000試合を超えた。人々が洋楽やJ-popを聴くように、移動中や空いた時間、常にBGMで応援風景を聴きながら試合の感動を何度も思い起こすことが、ブラ清水くん人生最高の楽しみになっている。

「2004年頃から始めたので……、10年? ああ、もうそんなに経つんですね、こんなことやり始めて。びっくりしますよね。自分でも何してんのかなって思いますよ(笑)」

 と、遠い目をしつつも、今年は同じ録音機器やマイクをもう1台ずつ購入。1塁側と3塁側で同時録音をするという初の試みを計画中とのことだ。



◆思い出のシーンベスト3

 早10年。語り尽くせぬ録音の日々の中でも、特に印象に残るシーンベスト3を挙げてもらった。

「まず最近でいうと、去年の夏の千葉大会準々決勝の拓大紅陵。専大松戸相手に0−1で負けていたんですが、8回表の攻撃の前に、吹奏楽部の吹田(正人)先生が、一般生徒のみんなに、『みんな今日は応援してくれてありがとう、あと2イニングを応援頼むぞ』みたいな感じで、檄を飛ばしていたんです。熱いシーンだなって」

 ブラ清水くんが“オリジナル曲数世界一!”と絶賛する拓大紅陵。毎年そのオリジナル曲をつくっているのが、吹田先生なのだ。

「高校野球応援では有名な方で、熱意がすごいんです。そんな学校はたぶん全国探してもないと思います。学校の先生って、野球の試合に来ても、ツーンとすまして、っていう人が多いんですけど、その先生はみんなと一緒に応援しようっていうところがいいなって。拓大紅陵はホントに一般客も、もちろん父兄とかもみんなで応援する。曲だけじゃなく、トータルで一番の学校かなと思います」

 次に思い出に挙げるシーンは、2010年夏の甲子園球場。

「沖縄の興南が春夏連覇したときの話です。吹奏楽のトランペットって、みんな前を向いて吹くんですけど、数人が外野の方を向いて吹いていたんです。僕の経験上、アルプス席の外野寄りって、吹奏楽の音が聞こえにくいんですね。それを知っててやっていたのかはわかりませんが、外野寄りに座っている人にも音が聞こえやすいような配慮をしていたことがすごく印象に残りました」

 3つめは、2007年秋の近畿大会準々決勝で、智辯和歌山の吹奏楽ではなく、口ラッパのオリジナル応援を見たこと。

「その年の近畿大会は奈良開催で、橿原公苑野球場(現佐藤薬品スタジアム)だったんですが、球場規定で、たしか夕方6時以降は、鳴り物を使った応援が禁止でした。吹奏楽部は途中からは演奏せず、応援団やチアとかもみんなで、曲を口ラッパでやっていました。そんな機会にはなかなか出会えない。全国大会ではまずないことですし。あとから思えば逆に貴重なものが見れたからよかったかなって。そのときは自分も口ラッパで応援に参加しました」


◆日々の生活でも応援的視点

 応援曲以外の音楽を聴くことはあまりないというブラ清水くん。

「聴くことがあっても、応援的視点で、この曲だったら野球の応援に使えるんちゃうかみたいなことをつい考えてしまいますね」

 では、高校野球応援に使ったらいいと思うのはどんな曲なのか。

「いっぱいあります。有名な曲でいえば、洋楽だと、Owl City & Rae Jepsenの『Good Time』。サビの“wow wow…”のところは、吹奏楽が来ないときの口ラッパ応援でも使いやすいかなと。あとは、One Directionの『Live While We’re Young』やDaddy’s Groove feat. Mindshakeの『Surrender』。日本の曲だったら、ONE OK ROCKの『完全感覚Dreamer』とか。広瀬香美の『幸せをつかみたい』なんかは、“決定的チャンス 勝利を〜〜つかみたい”と替え歌にしてもいいかと。横浜DeNAベイスターズがチャンステーマとして使用している木村由姫の『LOVE & JOY』もいいですね。WBC日本のチャンステーマも、高校野球応援では聴いたことがないのでいいかもしれません」

「吹奏楽部が普段、自分たちの活動の中で練習している曲の一部分を応援に取り入れるのもいいかと思います。それならすぐに演奏できると思うので。昨秋は関東大会で習志野が『ベン・ハー』を演奏していました。2012年に全日本マーチングコンテストで金賞を受賞したときの曲だそうです。野球応援だから野球の曲を使わなければいけないことはないと思います」

◆都市対抗も見に行きます!

 18日からは都市対抗野球も開幕する。今年も高校野球の千葉大会観戦後には東京ドームに寄って都市対抗を見る予定だと話すブラ清水くんに、社会人チームのおすすめ応援を聞いてみた。

「一番は、Honda(狭山市)です。オリジナル曲がたくさんあって、個人的に全部気に入っています。ノリもいいですし。セガサミー(東京都)は『ファイヤー』っていう曲が好きです。東邦ガス(名古屋市)の場合は、曲がどうというより演奏が、キーが高いというか、あえてちょっと荒っぽくしてるみたいな。観衆の気分も高揚させるような演奏の仕方が好きですね。熱いのはJR九州(北九州市)。応援の気持ちが。声も出てますし、伝わってくるものがあります。他チームとは違うものを感じますね」


 ブラバン応援ウォッチャーというと、曲に注目していると思われがちだが、実際には、熱さや雰囲気のほうに惹かれることが多いそう。

「曲だけじゃない。むしろ曲と声援を合わせて。それが普通の音楽を聴くのとは決定的に違うところです!」

<後編につづく>

■プロフィール
清水祥人(しみず・よしと)/1983年生まれ、大阪府出身。拓大紅陵高(千葉)をきっかけに応援曲の世界にのめり込み、2004年から球場でのナマ録音を始める。2010年には『高校野球小僧』で、業界史上初の「ブラバン・スカウティングレポート」を発信。ブラスバンド応援に精通していることから、筆者が勝手に“ブラ清水くん”と命名。会社員。

■ライタープロフィール
小林美保子(こばやし・みほこ)/兵庫県在住のライター。東京のスポーツライター事務所を経て、フリーとなる。取材活動は地元・兵庫を中心に近畿、中国地方などを幅広くカバーしている。

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