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テスト生出身の栗山英樹監督は「入り方は関係ない」。ルーキーに贈る監督たちの言葉は仕事でも生きる

文=勝田聡

テスト生出身の栗山英樹監督は「入り方は関係ない」。ルーキーに贈る監督たちの言葉は仕事でも生きる
 プロ野球の世界では10月後半にドラフト会議が行われ(今年は東京オリンピックの関係で11月5日に行われる)、その後、交渉がまとまれば12月上旬までには各球団が入団発表会を開くのが通例となっている。一般社会に例えると入団発表会は外部に公開するとはいえ、内定式に近いだろうか。

 その場では各監督が新加入の選手たちにコメントを送る。それは、社長からのメッセージみたいなものだ。さて、昨年の入団会見で監督たちが新人たちに送ったメッセージから、日々の生活で使うことができそうなものをいくつか紹介したい。

責任感を持って育てること


 昨年のドラフトの目玉のひとり、奥川恭伸を獲得したヤクルトの高津臣吾監督は自身も新監督とあって、自らの意気込みをこう述べた。

「僕も新人監督一年生として、この6名と一緒に全力で戦っていきたいと思います」

 自分も同じ新人として頑張っていくことを宣言し、その後に「預かる方としては責任も感じているが、しっかり鍛えて一流の選手にしたい」と続けた。

 この言葉は、期待と不安を持って入ってきた新メンバーに対して、「立場は違えど“新人”という意味は変わらない」ということを伝え、彼らの不安を和らげることができたのではないだろうか。

 ただ単純に「私も新人です」というだけで終わらず、「責任感を持って育てていく」というフォローもしっかり入れている。このフォローで信頼を得ることができるはずだ。決して言い訳っぽく「自身も新たな役職だから」と逃げるような挨拶で終わってはいけない。そんなことを高津監督は教えてくれている。

西村監督は「なんで?」の問いにも答える一言


 オリックスの西村徳文監督のメッセージはわかりやすかった。

「遠慮はいけない。力を発揮できない」

 西村監督が意図したことかはわからないが、これはダブルミーニングにも取れる。チーム内で遠慮していてはいけない、ということ。そして、相手の打者や投手に対して遠慮せず立ち向かえ、ということだ。

 新人選手はどうしても先輩たちや他の球団の選手たちに気後れしてしまう。自身の職場に置き換えてみたらわかるだろう。20歳前後で右も左もわからないところに入ったら、言いたいこともいえないはずだ。

 それをトップが「遠慮するな」と言ってくれるだけで、どれだけ気持ちが楽になることだろう。

 そして「遠慮するな」だけで終わらないのも見習いたい。「力を発揮できない」つまり、“持っている力を発揮するために遠慮はいけないよ”ということだ。さらに「遠慮はいけない」に対して、「なんで?」と疑問に思われる部分を先回りして、短いながらもしっかりと伝えている。この「力を発揮できない」の一言は大きい。

入ってしまえばチャンスはある


 日本ハムの栗山英樹監督は自身の新人時代を振り返りながらこんなコメントを残した。

「年齢も、どういう入り方も関係ない。僕の場合もテスト生で入って、いまだに野球をやらせてもらう環境にいます」

 現在では制度そのものはなくなっているため、想像しにくいかもしれないが、栗山監督はドラフト指名ではなく、ドラフト外での入団だった。

 それにも関わらず、ゴールデン・グラブ賞を受賞。現役を引退後にキャスターなどを経てから、日本ハムの監督を8年も務めている。今シーズンは9年目だ。

 「入り方なんて関係ない」とトップが取ってつけたようにではなく、自身の経験談からそう言ってくれると、不安もなくなるのではないだろうか。

 会社でも学校でもそれこそ部活でも入り方は人それぞれ異なる。その境遇の違いを不安に思う人も出てくるだろう。そんなとき、栗山監督のように力強く迎え入れる言葉を思い出したい。

文=勝田聡(かつた・さとし)

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