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Bクラスから就任1年目で優勝。井口資仁、小川淳司新監督はあの2つの「優勝劇」に続くか?

Bクラスから就任1年目で優勝。井口資仁、小川淳司新監督はあの2つの「優勝劇」に続くか?

 2018年のプロ野球では、ロッテ・井口資仁監督とヤクルト・小川淳司監督と2人の新監督が采配を振るう。過去に監督経験のある小川監督は再登板だが、共通項は最下位からの出発という点だ。

 今季のロッテとヤクルトはAクラスから大きく離されたが、まずは両監督ともクライマックスシリーズを目標に立て直すことになるだろう。ただ、過去には、Bクラスのチームを任された新監督が一気に頂点まで上り詰めた例もある。今回はそんな、新監督の心の支えになる2チームの快進撃を取り上げたい。

新時代を祝した優勝


■2008年の西武:5位→リーグ優勝・日本一

 2007年に、1981年以来26年ぶりとなるBクラス(5位)に転落した西武。伊東勤監督が責任を取って辞任し、後釜として当時2軍で指揮を執っていた渡辺久信監督(現シニアディレクター兼編成部長)がチームを任された。

 初の1軍監督ということで、その手腕についてはファンも半信半疑だったが、大久保博元打撃コーチがアーリーワークなどで若手野手を鍛え上げると、中村剛也が本塁打王、栗山巧が最多安打とブレイク。中島裕之(現宏之、オリックス)やG.G.佐藤、片岡易之(現治大、巨人コーチ)らとともに「No Limit打線」を形成してチームをけん引した。

 4月に首位に立った西武は快調に走り続け、一度も首位の座を明け渡すことなくリーグ優勝を果たす。日本シリーズでは5戦目に巨人に王手をかけられるも、6、7戦を連取して日本一に輝いた。

 ちなみに2008年は、チーム名を「埼玉西武ライオンズ」にあらためた年でもある。まさに西武新時代の幕開けとして、球団歌の歌詞にある「ミラクル元年」(※)にふさわしい快進撃となった。

(※歌詞の「ミラクル元年」は西武ライオンズが生まれた1979年を指すと言われている)

崖っぷちからの栄冠、地獄からの生還


■2015年のヤクルト:6位→リーグ優勝

 2010年のシーズン途中に辞任した高田繁監督の後を受けて就任した小川淳司監督。2011年は2位、2012年は3位といい滑り出しを見せたが、一転、2013年と2014年は最下位に沈んだ。

 そんな窮状のなかで小川監督に代わって就任したのは、現役、2軍監督、1軍コーチとヤクルト一筋の真中満監督。ちなみに2軍監督としては、2013年のイースタン・リーグ優勝という実績を上げていた。

 2年連続最下位から脱却するため、球団も新人監督を積極的にバックアップ。FAで成瀬善久と大引啓次、そして助っ人外国人としてオンドルセクを獲得して、2015年のシーズンに備える。

 ヤクルトは、開幕後は首位に立ったり最下位に転落したり、ジェットコースターのような順位変動を見せながらも10月2日の阪神戦で勝利し、リーグ優勝を達成した。

 選手に目を向けると、山田哲人が本塁打と盗塁王とトリプルスリーを達成。畠山和洋は打点王、川端慎吾は首位打者と最多安打、バーネットは最多セーブに輝くなど、投打の主力の活躍も大きかったが、彼らをまとめ上げ、1年で最下位から優勝までチームを押し上げた真中監督の手腕も見逃せない。

 この年の日本シリーズではソフトバンクに敗れたが、まさに痛快な逆転劇だった。


歴史的偉業に挑めるのは1回だけ


 この10年で「前年Bクラスからの2、3位」はちらほら見受けられるが、「優勝」となるとこの2チームだけ。とてつもない偉業だ。

 冒頭でも触れたが、クライマックスシリーズがあるため、近年は「3位以内ならひとまずよし」という風潮がある。しかし、選手1年目と同様に監督1年目は1度きりしかない。そんな特別なシーズンなのだ。困難だとはわかっているが、逆にBクラスからの優勝という夢を見たくなるもの。

 筆者は西武ファンだが、2018年は小川監督とともに、ライバルチーム・井口監督も密かに応援する。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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