【2016夏の高校野球】《徳島観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド
7月9日~26日(オロナミンC球場)
鳴門が県内前人未到の夏5連覇に王手!
140キロ投手を5人を擁し独走体勢か
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●鳴門「140キロ5人衆」誕生
「河野竜生が145キロ、松本凌斗が141キロ。矢竹将弥が140キロに尾崎海晴が140キロ。あ、中山晶量も昨年の今ごろ146キロを出していますね。スピードは意識させていませんが」
こうサラっと最速数値を公開したのは鳴門の福本学コーチ。しかも河野以下の利き腕とフォームは「左上・右上・左上・右横・右上」。こんなヨリドリミドリの投手陣は空前絶後だろう。
とはいえ、マウンドに立てるのは1人だけ。1年夏から甲子園の舞台を経験した中山は直近の公式戦・総体協賛ブロック大会ではベンチからも外れ、応援の太鼓を担当していた。太鼓担当といえば明治大サッカー部入学当時の「アモーレ」こと長友佑都(日本代表DF)が有名だが、中山もその系譜を継いでトップへ這い上がるのか? 太鼓でつかんだリズム感は最後の夏への糧となるのか注目。
鳴門の投手陣以外にも急成長投手は各校に点在している。鳴門渦潮の近藤壱来は元・日本ハムトレーニングコーチの花増幸二部長の指導により最速143キロまで球速を伸ばした。石本光紀(海部)も長い手足を利して最速139キロ。徳島北では2年生長身右腕コンビの前田大成と新田大輔が控える。左腕・紀本幸太郎(富岡西)のシュートや任介澪志(新野)のクロスファイアーは右打者には厄介この上ない。
増田大輝(巨人)の実弟である増田将馬(徳島商)は投手専念で徐々に投球術を覚え、大東右頌(城南)は独特のボールの持ち方で打者のタイミングをずらす。生光学園の黒石真生は昨秋、中辻颯の故障で三塁手から投手に転向。筋のよさが光り、中辻復帰後も2本柱を形成する。
そして玉岡翔太(辻)の投球も必見。162センチの小兵ながら春以降に球速を10キロ上げ、現在最速135キロ。軟投派左腕・滝上和弥とのコンビはシード校の脅威となる。
板野の2年生右腕・森井紘斗は最速144キロを記録しているものの、春の県大会後に右ヒジの疲労骨折が発覚し手術。順調にリハビリは進んでいるが、夏の出場機会は代打か野手に限られそうだ。

▲河野竜生(鳴門)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●海部の「ドラッグバント名人」
手束海斗や鎌田航平など、鳴門に好選手が目立つが、海部には変わった特技を持つ選手がいる。
1番・右翼手の大瀧隆也は人呼んで「ドラッグバント名人」。あらかじめ前に出てくる内野手をあざ笑うかのように、ことごとく間を破って内野安打を奪う。本人も「コツはわからない」という天からの贈り物だ。
強肩捕手にも注目。佐原雄大(鳴門)、増井大翔(池田)、前田将吾(徳島北)、市原弘仁(徳島商)、佐尾山遼(城南)はいずれも2秒1を切る二塁送球タイムを持つ。各人リード面での課題はあるが、肩は大きな強みになる。
さらに武岡大聖・橋本玲汰の生光学園コンビや佐藤将矢(城北)の長距離砲。森下義伸(辻)を筆頭に藤原晴陽(城東)、八木紳吾(板野)などの俊足選手も続々と成長を続ける徳島県高校球児。成長の先が楽しみだ。

▲手束海斗(鳴門)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●鳴門、無風区で5年連続出場濃厚か!?
「そんなことはないです」。何度聞いても森脇稔監督は即座に否定するが、第1シード・鳴門の徳島県勢初となる5年連続夏の甲子園出場は揺るがない。最速140キロ台の投手を5枚抱え打線も強力。「無風区」になる予感。唯一、戦力的に鳴門を止める可能性があるのは、黒石真生、中辻颯の右腕2枚をそろえる生光学園のみ。第2シード・城南と第4シード・富岡西はエース1枚のみでは苦しいだろう。ノーシード勢では同等の実力派投手が2枚いる徳島北、辻などが大穴候補。
地区勢力ピラミッド

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