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日本シリーズの行方のカギを握る“逆シリーズ男”の存在をあえてチェック!

 いよいよ目前に迫った2013年プロ野球日本シリーズ。今週26日(土)、パ・リーグの本拠地からスタートする。7試合制で行われる日本シリーズは過去、幾多のドラマを生んできた。そして短期決戦ならではの、シリーズの行方を左右する選手が必ず出現する。ファンはその選手を“シリーズ男”と呼び、大舞台に強い選手として語り継いでいく。

 しかし、その勝負強い男とは正反対の“逆シリーズ男”に注目が集まるようになったのはいつの頃からだろうか。シーズン中に大活躍したが故に、日本シリーズでも同様の活躍をみせてくれる…というファンの思いとは裏腹に、大舞台かつ短期間だからこそ、その不調はさらに目立つ結果となり、不調から脱することができないまま日本シリーズは終わってしまう。そんな選手が現れてしまうのも事実だ。

 今回のこのコーナーでは、2013年日本シリーズで“逆シリーズ男”になり得る可能性がある選手を調べてみた。もちろん、シリーズ前に選手の不調を祈る野球ファンはいない。しかし、過去のデータを紐解くと、意外な選手が浮かび上がってくるのだ。過去に“逆シリーズ男”とよばれた選手には、一定の条件があったのだ。まずはその条件を洗い出してみよう。


■逆シリーズ男になってしまう“条件”とは?

【条件その1】そのシーズンのタイトルを獲得した男

 これはそのシーズンでタイトルホルダーとなるほどの活躍をみせたが故に、日本シリーズでの成績が悪いと、余計に不調が目立つという要素もある。

 例えば昨年、最優秀防御率を獲得しパ・リーグMVPにも輝いた吉川光夫(日本ハム)は巨人との日本シリーズで2試合に登板し0勝2敗、防御率12.15と散々な成績だった。

 打者では2006(平成18)年のタイロン・ウッズ(中日)が挙げられる。その年のセ・リーグ本塁打、打点の2冠王に輝いたウッズだったが、日本ハムとのシリーズでは15打数4安打0打点0本塁打と全く機能しなかった。

 翌年、奇しくも同カードとなった2007年のシリーズでは逆にパ・リーグ首位打者に輝いた稲葉篤紀(日本ハム)が17打数1安打0打点、打率.059と大ブレーキ。2人とも“逆シリーズ男”と呼ばれてしまった。

 さらに2005年ロッテvs阪神の日本シリーズでは、セ・リーグMVPの金本知憲が13打数1安打0打点、打率.077、147打点で打点王に輝いた今岡誠が14打数2安打1打点、打率.143と、サッパリの成績だった。

【条件その2】なぜか、捕手出身者の男

 そして興味深いデータとして挙げられるのが、過去の逆シリーズ男は「捕手」で入団した選手が多いという事実だ。2008年の西武vs巨人では、捕手出身の小笠原道大が23打数5安打1本塁打1打点、打率.217と結果を残せず、巨人は日本一を逃してしまった。

 また2001年のヤクルトvs近鉄ではシーズン全140試合に出場し、打率.320、17本塁打、95打点をマークするなど「いてまえ打線」の中軸を担っていた礒部公一がそのシリーズでは無安打に終わってしまう。

 さらに2002年の巨人vs西武では、当時西武に在籍していた和田一浩(現中日)が日本シリーズでは15打数0安打とチャンスでことごとく凡退。このあたりから“逆シリーズ男”というキーワードが定着してきたような気がする。
※和田は初めての日本シリーズで痛い経験をしたことを生かし、その後は優秀選手賞を2度、敢闘賞を1度、2010年にはクライマックスシリーズMVPを獲得している。

【条件その3:活躍したのが1、2年と経験の浅い男】

 さらにもう一つ、条件としてあげられるのが日本シリーズに出場したシーズンを含め、その1〜2年間で大活躍をみせた選手がシリーズではサッパリ…というケースだ。いわゆる“飛ぶ鳥を落とす勢いの選手も、日本シリーズでは痛い目を見ることが多い。

 例えば松中信彦(現ソフトバンク・当時はダイエー)は1999年に126試合に出場して23本塁打を放つなど、プロ入り3年目でレギュラーに定着。2000年は33本塁打、106打点、打率.312をマークしてパ・リーグMVPに輝いた。しかし、その年の巨人との日本シリーズでは19打数1安打2打点、打率.053と全く打てず、ファンから厳しいヤジを浴びる結果となってしまった。

 また、現在は阪神のコーチを務めている関川浩一もこのケースに当てはまる。1997年オフに阪神から中日にトレードされ、広いナゴヤドームで外野手に専念すると大ブレイク。1998年には125試合に出場し、リードオフマンとしてチームを牽引。1999年には打率.330、60打点、20盗塁とキャリアハイの成績を残してダイエーとの日本シリーズに挑んだ。しかしシリーズ4戦目まで無安打と、リードオフマンの仕事が全くできなかった。そのシリーズでの不調が翌年にも影響し、低迷が続く原因にもなってしまった。

 また、シーズン終盤の9月、10月に調子を落としたまま、日本シリーズに臨む選手も「逆シリーズ男」になる可能性が高いという。前述した選手たちのなかでも何人かは、そのケースに当てはまるのだ。

 以上の条件を基に、2013年日本シリーズ出場チームのなかで「逆シリーズ男」候補選手を選んでみた。

■2013年“逆シリーズ男”候補は誰だ?
巨人
◎(本命):村田修一
 今年のセ・リーグの打撃部門はバレンティン(ヤクルト)とブランコ(DeNA)が総ナメしており、余り参考にならない。そのなかで打率.316とセ・リーグ3位の打率を残した村田はタイトルこそ獲得していないが、それに近い成績を残している。また7、8月は4割を超える高打率を誇っていたものの、9月以降は急降下。ちなみに昨年の日本シリーズは22打数4安打で打率.182とブレーキになったしまった“実績”もある。



〇(対抗):ロペス
 来日1年目で大活躍したロペス。シーズン中は素晴らしい「繋ぎ役」として活躍した。しかし日本での経験は浅く、日本シリーズでは攻め方をガラッと変えられたりすると、順応できるだろうか。また、9月下旬にはケガで戦列を離れるなどパッとしなかった。日本シリーズにはどんな調子で臨むのか、要注目だ。

▲(穴):阿部慎之助
 村田と同様に、バレンティンやブランコがいなければタイトルホルダーになっていた成績を収めていた阿部。攻守に渡る中心選手なだけに、短期決戦では対戦チームから徹底的にマークされるだろう。さらには捕手であることも気がかりだ。


楽天
◎(本命):田中将大
 パ・リーグ投手部門のタイトルを総ナメ。シーズン中の活躍、直近のクライマックスシリーズを振り返れば、日本シリーズでの不調は考えづらい。しかし、その圧倒的な活躍があるだけに、日本シリーズでは「まさか」があるかもしれない。たった「1敗」でも大きく日本シリーズの行方を左右してしまう可能性もある。巨人は徹底的にデータを集め、対策を練ってくるだろう。

〇(対抗):銀次
 ここ1〜2年でブレイクし、さらにシーズン後半まで首位打者争いを演じたものの、9月に失速した銀次。条件にピタリと当てはまるのがなんとも不気味だ。さらにもう一つ、入団時は捕手だったという点も忘れてはならない。そういう意味では同じく、捕手登録の岡島豪郎も気になるところだ。

▲(穴):マギー
 来日1年目の外国人助っ人という意味ではジョーンズも一緒だが、マギーは三塁も守っている。守備の上手くないマギーに対して、巨人打線は短期決戦ならではの攻撃を仕掛けてくるかもしれない。守備で掻き回されて、打撃のほうも不振に陥る…といった悪循環は、過去の日本シリーズでも見かけた光景だけに、注意が必要だろう。


 選手にとってはありがたくない“逆シリーズ男”の称号。果たして今シリーズでは誰がブレーキになってしまうのか…。いや、反対に彼らが通常通りの活躍をすれば、日本一が大いに近づくはずだ。選手たちの健闘を祈りたい。


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

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