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【プロ野球引退物語2017】 不思議なキャラで愛された今浪隆博(ヤクルト)の渋い野球人生

【プロ野球引退物語2017】 不思議なキャラで愛された今浪隆博(ヤクルト)の渋い野球人生

 先日のドラフト会議では支配下82名、育成32名の合計114名が指名された。各球団は指名選手たちへ挨拶を行い、仮契約などを行っている真っ只中だ。来シーズン以降、それぞれの役割を存分に発揮し、スター選手へと育ってほしい。

 一方で今シーズン限りをもって現役を引退する選手もいる。甲状腺機能低下症が原因でユニフォームを脱ぐ今浪隆博(元ヤクルトほか)もそのひとりだ。連載企画「プロ野球引退物語2017」の第1回は日本ハム、ヤクルトを渡り歩いた今浪を取り上げたい。

日本ハム時代からプレー以外で注目を浴びる


 今浪は2006年大学生・社会人ドラフト7巡目で日本ハムに入団。当時、日本ハムのGMだった高田繁氏(現DeNA GM)と同じ明治大卒のアベレージヒッターという触れ込みだった。しかし、分離ドラフトにおける7巡目指名という評価からわかる通り、大きな期待をかけられていたとは言いがたかった。

 2年目に1軍デビューを果たすも出場はわずか1試合。本格的に試合へ出場するようになったのは5年目の2011年からだった。二塁、三塁、遊撃とマルチに守れるユーティリティープレーヤーとして重宝され、84試合に出場。その後も、打率は低かったものの、控え選手として地位を確立する。

 しかし、その状況に対し何にでも対応するユーティリティーさよりも、ヒーローインタビューなどで見せる(いい意味での?)暗さや、プレー以外の話題が先行しいていた。真顔でのギャグ、「スタメンになりたくない」発言など挙げていけばキリがない。

 2014年、今浪は開幕直後にヤクルトへトレード。なお、交換相手は高校生ドラフトではあるものの、今浪と同じく2006年に指名された増渕竜義だった。

ヤクルト移籍後は打撃も開花


 ヤクルトに移籍後も、今浪の立ち位置は変わらなかった。ユーティリティープレーヤーとして重宝される控え選手。そして、どこで笑っていいのかわからないようなコメントを発する不思議なキャラクターで存在感を発揮した。

 移籍2年目となった2015年は規定打席には届かなかったものの、打率.317を記録し、プロ初本塁打もマーク。守備の便利屋としての起用だけではなく、ときにはスタメン、ときには代打の切り札としてプレーし、リーグ優勝に貢献した。神宮球場の終盤で流れる登場曲『スターライトパレード』は「代打・今浪」の合図。スタンドの盛り上がりが高まるシーンとなった。

 そんな今浪だが、昨シーズン終盤に甲状腺機能低下症を発症し登録抹消。以降は満足にプレーできなかった。今シーズンも7試合の出場に留まり、戦力外通告。現役引退を決断する。

 現役引退が発表された10月3日、神宮球場でのヤクルト最終戦。今浪は、試合に出場することは叶わなかったが、球場横のクラブハウスでファンに挨拶。また、試合の合間には『スターライトパレード』が流され、応援歌も鳴り響いた。同日に戦力外通告を受けた飯原誉士のそれとともに……。

 生え抜きではなく、在籍期間はわずか3年。それにもかかわらず、10年以上ヤクルトでプレーしている飯原と同じように温かい扱いを受けたのは、そのキャラクターが愛されていたからだろう。

 ケガや力の衰えによる戦力外ではなく、残念ながら病気による引退となった今浪だが、第2の人生でも天然のキャラクターを生かして頑張ってほしい。


文=勝田聡(かつた・さとし)

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