週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

12球団がキャンプ打ち上げ!さあ、今キャンプを一番盛り上げた『2014春季キャンプ総合大賞』は誰の手に?

 3月3日、広島がキャンプを打ち上げた。これで全12球団の2014年春季キャンプが終了し、いよいよ本格的にオープン戦に臨むことになった。2月1日のキャンプインから、4週に渡ってお送りしてきたこのコーナーも、今週で最終回を迎える。今回はその総集編という意味で「2014年キャンプ大賞」を発表していこう。


日本人選手最重量体重はダテじゃなかった!
新人賞:井上 晴哉/ロッテ


 2013年ドラフト5位で日本生命から入団した井上には、今年のキャンプの新人賞を贈りたい。新人合同自主トレ期間中は基礎体力作りのトレーニング中心でランニングで遅れをとり、太りすぎているのでは? と首脳陣もファンも心配させていた。

 しかし、キャンプイン後はその実力をいかんなく発揮し、いい意味で手のひら返し。日本人選手最重量の115キロの体重に相応しい長打を連発し、一気にロッテ打線の中軸候補に躍り出た。

 伊東監督曰く「ギリギリまでボールを引きつけて打てる打者」。その通り、右打者ながら右中間方向へ大きい当たりを飛ばす長打が最大の魅力。紅白戦ではその体躯に似合わずランニング本塁打をかっ飛ばすなど、練習試合も含めた8試合で30打数13安打、打率.433、3本塁打、6打点をマーク。同僚のG.G佐藤に相撲勝負を申し込まれ、真っ向勝負を挑むなど、「アジャ井上」はキャンプ中で最も目立ったルーキーだった。オープン戦が本格化するこれからも、要注目の選手といえるだろう。

阪神の若手はひじょ〜にイイですね〜
助演男優賞:掛布 雅之DC/阪神


 昨オフ、阪神の長年の課題である“若手育成”と“打力強化”を命題にGM付育成&打撃コーディネーターに就任した掛布DC。ディベロップ(発達/Development)とコーディネーター(指導者/Coordinator)という意味の英単語のアタマを取り、DCとなった。簡単に言えば選手の才能を発達させる指導者という意味。その役割のとおり、今キャンプでは若手野手を育成した。

 本家のスケールには追いつかないが、そのスモールバージョンとして掛布DCが名付けた“小”バース・森田一成や、“小”掛布・今成亮太など、キャンプ終盤の対外試合で結果を残し、開幕スタメンも狙えるまでに成長。


▲“小”バース・森田一成


 ほかにも2軍から2年目の北條史也や、4年目を迎える一二三(ひふみ)慎太を1軍に推薦するなど、育成力に疑問が残る阪神に間違いなく風穴を開ける働きをみせてくれた。若手野手を伸ばす指南役をみせた掛布DCに、“助演”男優賞を贈りたい。

▲“小”掛布・今成亮太


あのグリーンウェルの再来がアタマをよぎる?
お騒がせ大賞:マウロ・ゴメス/阪神


 若手の成長などで盛り上げた反面、ファンを心配させた意味でも話題となった。このへんは、さすが阪神タイガースといったところか。

 入団決定してすぐに、夫人の出産のため2月1日の来日には間に合わないことが決定。その後、生まれたばかりの長女の体調不良でさらに来日が遅れ、2月10日にキャンプへ合流した阪神の新助っ人・ゴメス。

 「2日あれば体は仕上がる」と豪語し、フリーバッティングもパワフルな打球を連発で、一瞬ホッとさせたが、初の実戦となる予定だった2月23日の中日とのオープン戦を突然、欠場。原因は下半身の張りということだった。3月2日現在の情報では、大事をとって別メニュー調整を続け、最短でも7日のオープン戦に出場する方向だ。

 ここで思い出されるのが、阪神の助っ人史上最悪の“害人”と悪名高いマイク・グリーンウェルだ。そう、引退発表時に「野球を辞めろという神のお告げがあった」と仰天告白し、周囲を唖然とさせた「あの」外国人選手。キャンプ中にも関わらず「(自身の持つ)牧場と遊園地経営の契約更新のため、アメリカに一時帰国したい」を理由に帰国。その後「背筋痛を発症したので、しばらく日本には戻れない」と一方的に連絡して、結局再来日したのは開幕後の4月下旬だった。

 再来日後は「勝利に貢献したい」と威勢の良いコメントを発するも、5月10日の巨人戦で自打球を当て骨折。今季絶望となり、14日には退団が決定した。推定年俸は3億円とも4億円ともいわれたが、通算成績は全7試合に出場して打率.231、5打点、0本塁打と完全に期待外れに終わったしまった。まさか、ゴメスはグリーンウェルみたいにはならないだろうと、阪神ファンは祈るばかりだ。

「キヨシの“ひとり五輪”」パフォーマンス
五輪特別賞:中畑 清監督/DeNA


 今年は4年に一度の冬季五輪が開催された。ソチ五輪も大いに盛り上がり、プロ野球も連日押され気味な印象があった。しかし、その五輪に真っ向から勝負を挑んだのがDeNAの中畑清監督だ。

 恒例の早朝散歩時や球場入りの際、報道陣とのやりとりから自然発生的に開催された「キヨシの“ひとり五輪”」。早朝に行われたソチ五輪の結果を話題に、中畑監督が競技のモノマネを続けた。例えばノルディックスキー・ジャンプ競技で41歳ながら銅メダルを獲得した葛西紀明を讃えながら、報道陣の用意したヘルメットとゴーグルを付けてジャンプのモノマネ。カーリングではこれまた報道陣の用意したデッキブラシを渡され、防波堤をゴシゴシ。傘を2本手渡され、スキーのストックよろしくポーズをとってモーグルのモノマネをするなど、メダリストたちも真っ青のパフォーマンスを続けた。

 だが17日には突如、「キヨシの“ひとり五輪”」は集結を迎えた。「(パフォーマンスは)もうやらないよ」と寂しく話した中畑監督。どうやらコーチ陣から、監督としての威厳を考慮してくださいと、クギを刺されたようだ。

 しかし中畑監督はメゲなかった。ソチ五輪が閉幕した24日、報道陣に改めて感想を聞かれると、「最後は万歳三唱で締めたいと思います!」と宜野湾に向かって万歳三唱。これで正式に「キヨシの“ひとり五輪”」は閉幕したのだった。

 キャンプは監督が一番目立った形となったDeNA。シーズンでは選手が主役となれば、久しぶりのAクラス進出が見えてくるが、監督が一番目立ったままだと……。


やはり“ゴジラ”は健在! 古巣に恩返しする姿勢は大賞に相応しい
2014年キャンプ大賞:松井秀喜/巨人


 お待たせしました!
 2014年プロ野球キャンプ大賞はズバリ、12年ぶりに宮崎帰ってきた、松井秀喜臨時コーチで決まりでしょう。

 キャンプイン初日から、強化指定選手に指名された6年目の大田泰示を指導するなど、精力的な動きをみせた松井臨時コーチ。フリーバッティングに登場して柵越えを見せたほか、宿舎ではナインの前で自身の体験談を一人語りし、その後は15分間の質疑応答を行ったとか。かつての所属チームに恩返しの意味もこめて、“松井秀喜”の全てを伝えようとするその姿勢は2014年キャンプ大賞に相応しいといえるだろう。

 さらに引っ張りだこの松井臨時コーチは18日(日本時間19日)から米フロリダ州タンパで行われるヤンキースのキャンプにも臨時コーチとして参加している。ヤンキースにはあのイチローが所属しており、日本が生んだ好打者と強打者の夢の共演が実現。コーチする側の松井(39)よりもコーチされる側のイチロー(40)のほうが年上ということで、対応が難しそうなところだが、普通に喋りかけたかと思えば、急に敬語に変えて挨拶するなど、イチローなりの歓迎を受け入れる松井コーチという微笑ましい関係性がうかがえた。


 キャンプも終了し、いよいよ開幕まで1カ月を切ったプロ野球。「2014年の主役はソチ五輪でも、サッカーW杯でもなく、プロ野球だぜ!」といえるような、アツい戦いを期待しましょう!


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。“ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方