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崖っぷちから這い上がれ! 2017トライアウトを追う!

崖っぷちから這い上がれ! 2017トライアウトを追う! 注目選手は誰だ!?

 清宮幸太郎(早稲田実、3年)に沸いた今年のドラフト。多くの指名選手がプロ野球の門をくぐる。

 一方、来る者あれば去る者あり。華々しい舞台の裏で、戦力外通告というシビアな判断を下された選手もいる。そんな選手たちが、プロ野球選手として最後の望みをかけるのが合同トライアウトだ。

 今年は11月15日にマツダスタジアムで行われる。参加を表明しているメンバーのなかには、かつてのドラ1選手やチームに大貢献した選手の名前も見受けられる。

 そこで今回は合同トライアウトでの注目したい元ドラ1の2人と、現実的に参加する可能性は低いが、参加してでもグラウンドに戻ってきてほしいある投手をピックアップしたい。

前所属チームよろしく自身も狙う下克上


 今年の合同トライアウト参加予定の元ドラ1選手は2人いるのだが、その1人がDeNAの松本啓二朗だ。

 リトル時代、シニア時代、高校時代(千葉経大付高)とあらゆるカテゴリーで全国大会を経験。大学時代(早稲田大)には大学日本代表に選ばれるなど、まさに「野球エリート」という経歴の持ち主だ。

 2008年のドラフトで阪神と横浜(現DeNA)が1位競合。交渉権を獲得した横浜に入団した。ルーキーイヤーの開幕戦から1番・中堅で先発出場したまではよかったのだが、そこで流れに乗ることができず、以降は1軍と2軍を行き来することに。

 2013年には新外国人・モーガンの不振などが重なって、自己最多の72試合に出場したものの、レギュラー奪取までには至らず。そしてチームの躍進を担う後輩たちに押し出されるように、今季限りで戦力外通告を受けた。

 来年で32歳になるが、「体はどこも悪くない」と本人が言っているように大きな故障歴がないのは強み。まだまだ体が動くだけに、合同トライアウトにも万全なコンディションで臨んでほしい。

紆余曲折の野球人生に再び光を


 もう1人の元ドラ1は、2005年の高校生ドラフト1順目で楽天に入団した片山博視。報徳学園時代はエース兼4番として甲子園に出場し、高校通算36本塁打を放ったことから、投手でも野手でも上位指名候補と謳われた逸材だ。

 世が世なら二刀流と騒がれていたかもしれないが、プロには投手として飛び込み、3年目の2008年に先発デビュー。初勝利を初完投・初完封で飾るなど、ローテーション投手としての未来が見えかけたが……。

 2009年は故障で1軍登板なし。2010年はブラウン新監督の元でセットアッパーへと転向することに。2013年まで中継ぎで活躍したものの、再び先発投手を目指したところで左ヒジ痛を発症してしまう。

 これが原因で投手を断念することとなり、野手転向に活路を見出したがうまくいかず。そして今季、12年間所属した楽天から戦力外を告げられた。

 こうして新天地を求めてトライアウトに挑むことになった片山。これまでに得た経験値は同年代の選手のなかでも相当に濃いはず。

 プロ野球界の酸いも甘いも味わった元ドラ1は、這い上がれることができるか。復活のドラマを見てみたい。


必要とされる居場所を探す旅に


 3人目は……、まだ参加を表明していない、というよりも、トライアウト参加は現実的ではないが、参加してでも現役を続けてほしい1人の投手を取り上げる。現役続行を求めて日本ハムを退団した武田久だ。

 2006年から2013年まで長きに渡って活躍。3度の最多セーブに輝くなど、日本ハムのブルペンを支えてきた。だが、2014年の開幕戦での救援失敗から歯車が狂い始め、2015年には両ヒザにメスを入れるなど年々、武田を取り巻く状況は悪化していた。

 そんな逆風のなかで再起を目指し、2016年は5試合、今季は7試合に登板。しかし、思うような結果を出せず、チームから引退を勧められることに……。しかし、それで復活への闘志が燃え上がったか、北海道を去る決意を固めた。

 来年は不惑を迎えるということで、年齢的には厳しい。ただ、武田の中に「引き際の美学」があるのなら、とうにユニフォームを脱いでいたはず。それを選ばなかったベテラン……ということで、今はただただ彼の意地を感じたい。


陽のあたる場所へ、もう一度


 戦力外を通告された選手が、これからもプロとしてあり続けることができるか。その最後の砦と言えるトライアウト。毎年、参加者の1割にオファーが掛かればいい方という、まさに狭き門である。

 とはいえ、少しでも可能性があるなら最後のチャンス賭けたい。筆者が同じ立場でも、間違いなくそう思うだろう。

 とくに今回挙げた選手たちは、プロ野球の華々しさを知っているだけに、このまま終われないという想いを人一倍抱えているはず。

 窮鼠は猫を噛むか。選手たちの人生を掛けた戦いは、明日幕を開ける。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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