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《テリー伊藤インタビュー2》ミスター・長嶋茂雄の系譜を継ぐ選手は誰だ?

「誰だろう? 長嶋さんのときとは時代が違うからなぁ……」


 現役選手の中でもっとも長嶋イズムを継承しているのは誰か? そんな問いを投げかけたところ、20秒間の沈黙の後、テリー伊藤はやっと口を開いた。

「……子どもたちの夢、という意味で言えば、やっぱり無茶苦茶な働きをしている日本ハムの大谷翔平だよね。性格は長嶋さんと違ってちゃんとしてるのかもしれないけど(笑)」

 『長嶋茂雄を思うと、涙が出てくるのはなぜだろう』(ポプラ新書)を上梓したテリー伊藤に訊く、プロ野球の今。まずは「長嶋茂雄の後継者」について語ってもらった。

☆記憶にも記録にも残る男・大谷翔平

 自分がもし小学生だったら、間違いなく大谷になりたいよね。だって、投げては160キロ。打ってはホームラン。そして、プレーだけじゃなく見た目もいい! 手足が長くて顔がちっちゃくて、9頭身はあるんじゃないかっていう。

 確かに、ピッチャーに専念したら20勝できるかもしれない。一方で、今のままでは規定打席や規定投球回には到達できない。それを中途半端、という人もいます。でも、今のプロ野球選手の中で、子どもたちの夢を一番、担っているのは彼であることはもう間違いないですよ。その点でも、記録よりも記憶に残る男、と言われたミスターに通じる部分がありますよね。

 あと、大谷はバッティングも柔らかいでしょ。大田泰示(巨人)の硬いバッティングと比べると対照的だよねぇ。顔もまた対照的。大田はどちらかというと舘ひろし系。『泣かないで』とか『西部警察』っぽい顔してるじゃないですか。それに比べて大谷は甘いマスクで、しかもピッチャーもバッターもできる。アレはちょっとズルいよねぇ。きっとススキノなんかに行っても、悪さなんかしてなさそうだよね(笑)。

中田翔のヤンチャぶりに期待したい


 ただ、個人的にはもうちょっとハチャメチャな選手のほうが好き。まぁ、今の時代、朝まで飲んでそのままホームラン、ってわけにもいかないのはわかるんです。100万円の札束をポケットに入れて球場に来る、破天荒な野球選手もいなくなっちゃった。そういう点がつまらないけど、時代だからねぇ。

 その意味では、大谷と同じ日本ハムの中田翔には、もっとヤンチャにがんばってほしいよね。中田は早くに結婚して子どもも生まれたでしょ。あの辺も、坂本(勇人)や長野(久義)といった最近のジャイアンツの選手にはない部分で好印象です。長野なんか、結婚を決意するまでいったい何年かかってるんだよ! っていうね(笑)。

 野球選手はモテますよ。金もある、車もある、そして力もある。高校・大学までずーっと野球部で束縛されていて、プロになって「やっと遊べる!」と思うのが普通ですよ。でも、中田翔は遊ばずに結婚した。その辺は、ボクシングの亀田興毅と似てますよね。興毅も世間で言われてるような人間じゃないんですよ。実にしっかりしてる奴なんです。中田も興毅も、骨のある人間だと思いますよ!


スターの匂いがする筒香、岡本、そして清宮幸太郎


 長嶋さんの後継、ということではなく、最近の若手選手でスターの匂いがするのはDeNAの筒香(嘉智)だね。彼からは今、ホームランの匂いが漂っています。ああいう選手は久しぶりな気がするんですよ。当たった時の打球の速さにしても、打席でのオーラにしても、他の選手とは違うものがありますよね。

 今年のキャンプでも松井秀喜(元巨人ほか)が指導したらしいですけど、やっぱり、一流が見ると一発でその凄さがわかるんだろうね。そういう意味でいえば、ジャイアンツのドラフト1位、岡本和真もその系図に入ってほしい選手です。期待したいなぁ。

 そして、わが母校、早稲田実業の1年生、清宮幸太郎。僕、神宮第二球場での試合を観に行ったんです。凄い男が現れたね。気が早いけど、ジャイアンツで待ってますよ!


■プロフィール
テリー伊藤(てりーいとう)/1949年東京都生まれ。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大に入学。大学卒業後、テレビ番組制作会社「IVSテレビ」に入社し、『天才たけしの元気が出るテレビ』(日本テレビ系)、『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)などヒット番組を手掛け、演出家として名を馳せる。その後、ラジオパーソナリティ、コメンテーター、そして、これまで共著も含めて40冊以上を刊行する著作家としても活躍する。最新刊『長嶋茂雄を思うと、涙が出てくるのはなぜだろう』(ポプラ新書)が発売された。

■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」、「AllAbout News Dig」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。近著に『福島のおきて』(泰文堂)。Twitterアカウントは@oguman1977(https://twitter.com/oguman1977)

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