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高校野球・地方大会の注目選手レポート[東海編]〜毛利元哉(愛工大名電)、久保弘我(宇治山田商)、伊藤寛士(中京大中京)ほか

毛利元哉 もうり・もとや
愛工大名電3年/左翼手
右投左打・183cm86kg


パワーもミートセンスも超高校級


 打撃に関してはAクラスの評価を与えられる高校生屈指の左バッターだ。入学直後から起用され、これまで積み上げてきた高校通算本塁打数は40弾目前。詰まっても打球がスタンドインするなどパワーは十分で、飛距離が出せる。なおかつスイングが柔らかくて自在にミートでき、打撃全体に穴がない。

 夏の大会を迎えて打棒が火を噴き、手がつけられなくなっている。5回戦の半田戦でレフトへ通算38弾目の2ラン、準々決勝・刈谷戦ではライトへ39弾目のソロと2試合連発。特に前者は、ライナーでレフトスタンドへ突き刺さった一発で、並の高校生では打てない一発に関係者も舌を巻いていた。

 6月中旬に不振を脱し、右肩上がりで大会に臨むことができた。

「タイミングの取り方と体の使い方を工夫しました。右足に重心を置いていたのを、左足重心に変えたんです」(毛利)

 もともとバットを振れる選手だったが、さらに振り切れるようになり、打球の伸びも戻った。

 現時点での進路はプロ志望の可能性も残しており、プロ球団スカウトも追い続けている。50メートル走6秒1と脚力もあり、本人が志望すればドラフト指名が有力だ。

久保弘我 くぼ・こうが
宇治山田商3年/投手
右投右打・183cm76kg


腕を振って気合十分のストレート


 鈴鹿を相手に迎えての初戦、伊勢市営球場のスピードガンで最速145キロをマークした。同球場のガンは若干、高めに表示される傾向があると言われている。しかし、数球ではなく、バンバン140キロ台を連発していたから“140キロ超え”は確実とみてよい。

 とにかく腕がよく振れていた。腕の振りにスピードがあり、顔の前でビュンビュン振れる。気持ちが乗ってきたときのストレートは特に見応えがあった。ストレートでの空振りを狙って力を込め、実際に空振り三振に仕留めたシーンは胸がすくような迫力があった。

 打者に向かっていく気持ちの強さも十分。気持ちが前のめりな分、速いテンポで次から次へと投げ込んでくるから、打者は完全に圧倒されていた。

 もともと入学直後から、世代では県ナンバーワン投手との呼び声が高かったが、回り道をしている。昨年5月、宇治山田商は部内暴力などが発覚。久保がいた当時2年生(現3年生)の学年が加害者だったため、しばらくは反省期間を過ごした。

 今春県大会で久保は不調だったが、最後の夏の復活に底力を感じた。プロ志望届提出の可能性もある。

伊藤寛士 いとう・かんじ
中京大中京3年/捕手
右投右打・172cm86kg


センターから右へ長打放つ剛柔兼備の豪打


 宿敵・愛工大名電との対決となった愛知大会決勝戦。3回裏に1点差に迫るホームランを放ち、さらに7回裏、同点に追いつくタイムリー二塁打をかっ飛ばした。4番打者としてチームの5年ぶり甲子園出場に大きく貢献した。

 高校通算44本塁打で、パワフルかつ柔らかな“剛柔兼備”のスイングをする。本人が「自分は引っ張る打者だと思っていない。センターを中心に広角に打ち分けることを意識している」と話すように、センターから右方向へ打ち返せるし、なおかつそれが持ち前のパワーで長打になる。決勝戦での値千金弾もバックスクリーン右へ打球を届かせたもの。あの位置までもっていける高校生の右打者はなかなかいない。

 プロ球団スカウトもその打撃技術に舌を巻いている。穴がないし、タイミングの取り方もよい。あるパ・リーグ球団スカウトに、東海地方で最も“ビビッときた”打者を尋ねたところ、伊藤の名前が挙がった。当地のナンバーワン打者は、左で毛利(愛工大名電)、右で伊藤という位置づけになっている。

 現時点でプロ志望届は出さないものとみられるが、並外れた打撃技術を甲子園で披露し、全国有数の打者として名声をとどろかせる。

☆その他の評価上昇選手☆

内田 大貴 うちだ・だいき
誉3年/投手
左投左打・172cm68kg
◎惜敗も東邦相手に必殺スライダー駆使し10K。投球が高精度

福本 裕亮 ふくもと・ゆうすけ
愛工大名電3年/投手
左投左打・183cm70kg
◎制球・キレ・ノビ秀逸で豊川打線に芯をくわせずピシャリ

谷川原 健太 たにがわら・けんた
豊橋中央3年/捕手
右投左打・173cm78kg
◎通算40弾の強打。捕手の候補不足の今年、ドラフト指名も

加藤 一生 かとう・いっせい
富田3年/投手
右投右打・172cm75kg
◎バランスよく回転のよい140キロ前後。初戦でパ2球団視察

橋本 侑樹 はしもと・ゆうき
大垣日大3年/投手
左投左打・178cm71kg
◎左ヒジ疲労骨折から復活。打ちづらいフォームで最速141キロ

湯口 郁実 ゆぐち・いくみ
大垣日大2年/遊撃手
右投左打・167cm66kg
◎流し打ち一辺倒から引っ張れる強打者に変身。好守健在

今井 順之助 いまい・じゅんのすけ
中京2年/一塁手
右投左打・177cm85kg
◎驚愕の3戦連発で通算35弾に。県岐阜商戦でブレーキ

出口 匠 でぐち・たくみ
津田学園3年/三塁手
右投右打・173cm87kg
◎通算40弾の強打に、今夏菰野戦で最速146キロ完投勝利も

山川 華人 やまかわ・かいと
木本3年/捕手
右投右打・178cm83kg
◎馬力十分で器用さもある素材。投手兼任で140キロ台の剛球


■ライター・プロフィール
尾関雄一朗(おぜき・ゆういちろう)/1984年生まれ、岐阜県出身。新聞記者を経て、現在は東海圏の高校、大学、社会人を精力的に取材している。絶大なネットワークを持ち、多くの「隠し玉選手」を発掘、そのつど『野球太郎』誌面で発表している。中日新聞のウェブサイト『中日新聞プラス(http://chuplus.jp/blog/list.php?category_id=486&pl=131739992)』で、中部地区のアマチュア野球の連載をしている。

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