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CSファーストステージは投手戦を制した阪神に軍配!ファイナルステージはどうなる!?

福留孝介と前田健太の「PL意地の5球」


 クライマックスシリーズ(以下CS)第1戦の前日10日、衝撃のニュースが流れた。「名門PL学園野球部、消滅の危機」。監督不在が続く高校野球の超名門校、大阪府のPL学園高が、来年度の野球部員の受け入れを取りやめたというのだ。そして翌日、PL学園高がずっと輝いていた場所・甲子園球場で行われた阪神vs広島で明暗を分けたのは、そのPL学園高OBの2人だった。

 かたやPL学園高の4番として1年時から注目された福留孝介。かたや「桑田2世」と呼ばれ、こちらも1年時から活躍した前田健太。6回の裏、阪神の攻撃で2人が対決した。

 初球から前田の変化球がコースに決まらず、3連続ボールでカウント3ボール0ストライク。4球目の変化球は福留が強振し、一塁線へのファウルとなる。明らかな一発狙い。そしてカウント3-1となった5球目、前田が投じた内角ストレートは、ナチュラルにシュート回転し、見入られるように真ん中へ。もちろん、福留はこの失投を見逃さなかった。

「バッティングカウントだったので、思い切っていこうと」
「ランナーもいなかったですし、思い切っていくだけでした」

 試合後のコメントで、何度も「思い切って」と強調したように、福留がフルスイングした打球は、センターバックスクリーンど真ん中に飛び込む貴重な先制ソロホームランに。打たれた球は、前田のちょうど100球目。中4日での志願登板だったこの日、疲れが見え始めたところで浴びせた一発だった。

 今季、開幕当初は打率が2割を切るほどの絶不調だった福留。ところが9月以降は打率.357、4本塁打13打点と登り調子だったことに加え、広島戦4勝のうち3試合で福留が勝利打点を記録するなど、相性の良さは抜群だった。また、今季の対前田健太も8打数4安打と打率5割。PL対決は“先輩”福留孝介の貫禄勝ちとなった。



 この1点を、最多勝・メッセンジャーから最多セーブ・呉昇桓という最強リレーで守り切った阪神が先勝した。

 続く第2戦も、阪神・能見、広島・大瀬良の両先発投手が粘りの投球を見せ、第1戦同様に1点を争う投手戦に。両チーム得点圏までランナーを進めるもののあと1本が生まれず、延長12回規定によりスコアレスドロー。阪神は、抑えの呉昇桓が異例の3イニングを投げる執念が功を奏した。これで通算1勝1分となり、CSルールによってシーズン2位の阪神がCSファイナルステージへとコマを進めた。

ファイナルステージは先発の起用方法が鍵


 阪神は5度目のCSで、ファイナルステージ進出は初めて。ようやく鬼門を突破したといえる。そして15日から東京ドームでリーグ1位の巨人と対戦する。

 阪神としては鬼門突破の勢いそのままに、2005年以来となる日本シリーズ進出を果たしたいところ。ファーストステージで温存できた藤浪晋太郎、岩田稔でなんとか先勝したい。藤浪は今季、対巨人戦の成績は2戦して0勝2敗。防御率4.50とまったく振るわない。一方の岩田は5戦して2勝1敗。第1戦をどちらで挑み、チームにどうやって勢いをもたらすかが悩ましい。また、対巨人4勝1敗と抜群の相性を誇るメッセンジャーを何試合目に登板できるかもファイナルステージの鍵を握るだろう。

 一方、迎え撃つ巨人は、右ヒジ痛のため、菅野智之がCSでの登板は絶望視されているため、杉内俊哉、小山雄輝、内海哲也の3人が軸になるはずだ。明るい材料としては、状態が不安視されていた山口鉄也が12日に行われたBCリーグ選抜との練習試合で半月振りに実戦登板し、まずまずの投球を見せたこと。また、シーズン後半に復調の兆しを見せていた阿部慎之助も、練習試合で本塁打を連発し、好調をアピールしている。


▲山口鉄也

 今季の巨人vs阪神の成績は13勝11敗で巨人が勝ち越し。特に、8月末以降は巨人が4連勝している。伝統の一戦が生み出す、熱い展開に期待したい。

※パ・リーグ編はCSファーストステージが終了後、掲載します。


■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。ツイッター/@oguman1977

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