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先頭打者被打率が悪化! 楽天・松井裕樹の不調を象徴する数字と改善すべき課題とは?


 今季、パ・リーグの抑え投手が精彩を欠いている。日本ハムの増井浩俊、オリックスの平野佳寿ら、調子が上がらず要所で痛打を浴びるケースが目立つのだ。

 楽天の松井裕樹も同様である。6月20日現在の成績は30試合、防御率5.22、0勝3敗14セーブ。チームが今季初の同一カード3連勝を決めた19日のDeNA戦でも、代打・白崎浩之にあわや同点弾という当たりを左翼フェンスぎりぎりまで飛ばされ、ヒヤッとさせた。

 抑え2年目の今シーズンが振るわない理由は、昨年の疲労蓄積、春季キャンプの調整不足、打たれ始めるとメンタルの切り替えが上手くいかないなど、いろいろな要素がある。その中で、数字で1つコレといったものを挙げるなら「先頭打者被出塁率」だ。

先頭打者を抑えることの重要性


 イニングの先頭打者を抑えることは、ピッチングの基本だ。先頭打者に出塁されると、どんな投手でも100%の力を発揮することは難しい。塁上の走者に注意力を奪われることがリズムを乱す原因にもなる。セットポジションからの投球で球威・球速がダウンし、打者に痛打されるリスクも高まってしまう。投手不利のファクターが多くなる。

 昨年は開幕前にミコライオが椎間板ヘルニアを発症。松井裕は高卒2年目ながら、その代役として抑えに抜擢されると、63試合で防御率0.87、3勝2敗、球団史上最多の33セーブを残した。躍動感あふれる投球で打者をグイグイねじ伏せたあの活躍劇も、先頭打者の被出塁率を.271に抑えたことが、大きかった。


2回に1度の出塁を許す先頭打者との対戦こそ改善ポイント


 今年の松井裕はこの基本を徹底できず、昨年3割以下に抑えたその被出塁率は.531と悪化している。とくに制球を乱し歩かせる場面が多いのだ。ここまで出した四球21個中、先頭打者へは8個。このことが、後々の災難へつながっている。

 4月17日のソフトバンク戦が象徴的だ。4点リードの9回、代打・吉村裕基に同点3ランを浴びるなど4失点を喫した。このときも先頭に四球を与えている。5月14日・15日の敵地ロッテ戦。松井が2戦連続でサヨナラ打を浴びた衝撃的な敗戦は、いずれも先頭打者に四球と二塁打で出塁を許したことで始まった。このように、失点した8試合中6試合は、先頭打者に出塁されたことが起点になっているのだ。

楽天浮上のためにも、背番号1の早期復調は必須


 交流戦で5位に浮上した楽天は4位・西武とのゲーム差も3.0まで縮めた。前半戦終了までに4位浮上、3位・日本ハムを視野に入れるためにも、背番号1の復調は欠かせない。マウンドに上がり、最初に対戦する打者=先頭打者を、雑念なしでシンプルに全力で抑える。このことができれば、ピッチングの調子も上向くはずだ。


文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。

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