粋な演出にサプライズ発表も！　そろそろ気になる2016年プロ野球開幕投手は誰だ？

2016/3/1

　プロ野球の開幕戦というものは、単に「143分の1試合」ではない。特に開幕投手は「選ばれし者」が務める栄誉だ。今季も3月25日のオープニングゲームに向け、各チームで人選が進められている。その中から、春季キャンプ終了までに開幕投手が発表された例を見ていこう。

「栗山イズム」は今季も健在！　二刀流・大谷翔平に2年連続で初陣を託す

　2月22日午後2時22分22秒。関係者の持つ時計の針に目をやりながら、指揮官は口を開いた。

「2016年日本一に向かってチームは進みます。開幕投手、大谷翔平でいきます」

　日本ハム・栗山英樹監督は昨季に引き続き、大谷に初陣を託すことを発表。2並びの時間に合わせて発表したのは、投手と野手の“二”刀流が代名詞の大谷を意識してのものに違いない。

　ちなみに栗山監督といえば、毎年趣向を凝らした開幕投手の発表を行っている。昨季の大谷の場合は、ミスタープロ野球・長嶋茂雄の誕生日である2月20日11時11分に情報を解禁。11時11分というのは当然、大谷の背番号11が由来だ。この時は「長嶋さんが作ってくれたプロ野球界を翔平が引き継いでほしい」という想いから、大谷に自身初の開幕投手を託している。

　昨季の初陣は本拠地・札幌ドームで好投を見せ、勝利投手に輝いた大谷。今季は敵地・QVCマリンフィールドからのスタートとなる。体重増や新球・チェンジアップの評判も上々な二刀流男は、指揮官の熱き想いに応えられるか。

本人も驚いた通達。菊池雄星、プロ7年目で初の開幕投手

　大谷翔平の高校の先輩で、憧れだったという快速サウスポーも大役を担う。西武・田邊徳雄監督は宮崎・南郷キャンプを打ち上げた2月19日、菊池雄星の開幕投手を公表。菊池にとってはプロ7年目で初の栄誉、球団としても工藤公康（現ソフトバンク監督）以来24年ぶりに左腕からのシーズン発進となる。

　指揮官は公表に際し、菊池の背番号16にあやかり2月16日に通達したとコメント。こちらも栗山監督ほどではないが、粋な演出を行っている。本人は「まさか僕だとは思っていなかった」と本気で驚いていたようだ。

　それもそのはずで、チームには岸孝之や牧田和久といった経験豊富な投手がいる。彼らを差し置いての抜擢にはそれなりの理由が考えられるが、以下の説が有力だ。

・対戦相手オリックスとの好相性
本拠地・西武プリンスドームでのオリックス戦通算成績は4勝負けなし、防御率2.01

・先々の対戦カードを睨んでの起用
火曜始まりのカードでソフトバンク＆日本ハム戦が続く（4月中旬までH→F→H→F戦）

　もちろん戦略的な部分だけでなく、イマイチ殻を破り切れない印象の背番号16を飛躍させたい田邊監督の親心もあるだろう。果たして、この判断は吉と出るか凶と出るか。

ラミちゃん流のビッグインパクト！　前年3勝の山口俊を抜擢

「山口を開幕戦の投手にしようと考えている」

　まだ正月気分の抜けない1月4日、DeNA・ラミレス新監督が球団の仕事始めで大発表を行った。昨季わずか3勝に終わった山口俊を広島との開幕戦（＠マツダスタジアム）にぶつけるというのだ。

　元々チームメートとして接していた頃から、山口の潜在能力を買っていたラミレス監督。先述の発表時にも「エースになり得る器」「今年10〜15勝できる」と絶賛している。また、秋季キャンプで山口本人が猛アピールを行っていたことも決断を後押しした模様。日本球界を知り尽くすベネズエラ人指揮官は、今季11年目を迎える背番号11と心中する覚悟だ。

　山口は春季キャンプでの実戦で2試合に登板。計7イニングを無失点と、調整は問題なく進んでいるようだ。話題を呼んでいるのは、新球・ワンシーム。「フォークよりも気持ちシンカー気味に変化する」というボールで、打者の空振りや打ち損じを誘う。

　抑えを長年務めていたこともあり、どちらかと言えば力投派の投手だが、ワンシームの習得で投球スタイルも変化しそう。開幕戦でも凡打の山を築く姿が見られるだろうか。

2016年開幕カードならびに開幕投手予想（2月28日現在、一部内定あり）

＜セ・リーグ＞
巨人（菅野智之）vs.ヤクルト（小川泰弘）
＠東京ドーム

阪神（メッセンジャー）vs.中日（大野雄大）
＠京セラドーム大阪

広島（ジョンソン）vs.DeNA（山口俊）
＠マツダスタジアム


＜パ・リーグ＞
楽天（則本昂大）vs.ソフトバンク（攝津正）
＠koboスタ宮城

西武（菊池雄星）vs.オリックス（金子千尋）
＠西武プリンスドーム

ロッテ（涌井秀章）vs.日本ハム（大谷翔平）
＠QVCマリンフィールド

文＝加賀一輝（かが・いっき）

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