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【プロ野球引退物語2017】育成出身の徳山武陽。才能開花を目前にして黄色じん帯骨化症を発症

【プロ野球引退物語2017】育成出身の徳山武陽。才能開花を目前にして黄色じん帯骨化症を発症

 越智大祐(元巨人)、大隣憲司(今オフ、ソフトバンクから戦力外通告)らが苦しんだ難病の「黄色じん帯骨化症」。昨シーズンオフにヤクルトでもこの病気が判明した選手がいる。中継ぎとして活躍した徳山武陽だ。リハビリを経て復帰を果たしたものの、今シーズン限りで引退に追い込まれた。ヤクルトは今浪隆博も「橋本病」の影響で引退。ケガだけではなく病気にも苦しめられた1年だった。

 徳山の打に目を向けると、投手としては珍しい両打ち登録となっている。今シーズン、両打ち登録の投手は三嶋一輝(DeNA)、土肥?昌(ヤクルト)、徳山の3人だけ。今オフにはチームメートの土肥も戦力外から引退となった。今ドラフトの指名選手で両打ちの投手は不在。来季、両打登録の投手は三嶋のみとなる。

育成出身として球団史上初のポストシーズン出場


 徳山は2011年の育成ドラフト1位で立命館大からヤクルトに入団。2年目のシーズン序盤に支配下登録される。迎えた初先発初登板では先頭打者の浅村栄斗(西武)に本塁打を浴びるほろ苦い1軍デビューとなった。結局この年は、勝利を挙げられなかったが、3年目の2014年に初勝利をマーク。徐々にステージを登っていった。

 才能が開花し始めたのは2015年。この年は中継ぎの一角としてキャリアハイとなる39試合に登板。2勝1敗、3ホールド、防御率3.58と結果を残し優勝に貢献した。ロマン、オンドルセク、バーネットの「ROB」、さらには秋吉亮もいたため勝ち継投に加われなかったものの、185センチの長身から放たれるストレート、そしてフォークボールで要所を締めた。

 また、チームが日本一へと歩みを続けるなか、CSでも登板。ヤクルト史上初のポストシーズン出場を果たした育成出身の選手となった。

 2016年はロマン、バーネットがチームを去ったこともあり、勝利の方程式入りを目指したが、開幕直後にインフルエンザを発症。その影響もあり1軍での登板は、わずか3試合に終わってしまう。復活を期して臨んだ秋のフェニックスリーグでは、身体の異変を訴え帰京。診断の結果「黄色じん帯骨化症」と判明し、すぐに手術を受けた。

2軍で初完封と活躍するも戦力外に……


 迎えた今シーズン、徳山の復帰は思いのほか早かった。開幕には間に合わなかったものの、4月30日に2軍で登板。1回を投げ無失点、2三振を奪う好投をみせる。その後も先発、中継ぎとして結果を残し、後半戦開始直後の7月22日に1軍へ昇格。しかし、出番のないまま25日に登録抹消されてしまう。それ以降、1軍に呼ばれることはなかった。

 結果的に最終登板となった9月29日のイースタン・リーグ、日本ハム戦では9回完封勝利。2軍戦とはいえ、プロ初完封を達成した。この時点では、来シーズンに向けて、いい形で締めくくることができたと思われたのだが……。

 しかし、その4日後の10月3日に戦力外通告を受け、約1カ月後に引退を発表。今後は球団に残り、広報として第2の人生を歩むことが発表された。

 2軍で結果を残していたことから、ファンの間ではSNSなどで「せめて1軍でのチャンスを与えてほしい」といった声も挙がった。しかし、本人は「手術前の状態に戻すことは難しい」と語っている。今の状態では2軍で通用しても1軍では通用しない、ということだ。やはり、ファンが思う以上に、1軍と2軍の差は大きいと感じさせる一言だった。

 2018年からは広報としてチームに貢献する徳山に、また神宮球場で会えそうだ。


文=勝田聡(かつた・さとし)

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