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2番・坂本勇人…。奇策? やぶれかぶれ? 今季の“珍オーダー”を球団別に選定!(セ・リーグ編)


 野球のオーダーには美しさがある。古くは巨人の「3番・王貞治、4番・長嶋茂雄」など、その字面と並びだけでもファンを熱くさせる情景が思い浮かぶ。

 ただ、長いシーズンではイレギュラーもある。またはアクシデントで想像もできない並びが生まれることもある。結果は別として、イレギュラーなスタメンにもファンの心を揺さぶる「何か」がある。

 今シーズンはどんな並びがあったのか。球団別に今季一番の“珍オーダー”を勝手に選んでみた!

ドミニカの2連星


■9月24日:広島(対中日)
1(遊撃):田中広輔
2(右翼):野間峻祥
3(中堅):丸佳浩
4(左堅):バティスタ
5(一塁):メヒア
6(三塁):西川龍馬
7(二塁):小窪哲也
8(捕手):會澤翼
9(投手):野村祐輔

 早々に優勝を決め、CSに向けた1軍枠争いにシフトした広島の珍オーダーはこれだろう。4番にバティスタ、5番にメヒア。2人ともドミニカ・カープアカデミーから育成契約を経て、1軍に駆け上がってきたホープ。2軍レベルはすでにクリアしており、消化試合でも重厚な打線を形成する広島の底力を見せつける夢オーダーだ。


まさかの4番本起用


■9月2日:阪神(対中日)
1(右翼):糸井嘉男
2(遊撃):植田海
3(左翼):福留孝介
4(一塁):大山悠輔
5(中堅):中谷将大
6(三塁):鳥谷敬
7(二塁):上本博紀
8(捕手):坂本誠志郎
9(投手):能見篤史

 阪神ファンの間で議論を呼んだのは「4番・大山悠輔」の起用だった。前日の試合で4番に座った大山だが、福留孝介の休養日であり、経験を積ませるための4番起用かと思われた。しかし、この日は福留孝介や糸井嘉男がスタメンに名を連ねるなかでの4番起用。確かに大山は好調だったが、ルーキーの4番抜擢には内外から賛否の声が噴出した。

 「阪神の4番」は簡単に務まるものじゃない。大山は9月の12試合に4番でスタメン出場したが、打率.170と奮わず、シーズン打率を大きく下げてしまった。変革を貫く姿勢か時期尚早か。金本知憲監督の意地にも見えるが……。とはいえ、大山のメンタルが強そうで何よりだ。


「8番・投手」の起点


■4月14日:DeNA(対ヤクルト)
1(中堅):桑原将志
2(右翼):佐野恵太
3(一塁):ロペス
4(左翼):筒香嘉智
5(三塁):宮崎敏郎
6(二塁):田中浩康
7(捕手):戸柱恭孝
8(投手):ウィーランド
9(遊撃):倉本寿彦

 ラミレス采配の看板になりつつある「8番・投手」。5月4日以降、DHのない試合では「8番・投手」を貫いているが、4月にも1試合だけ採用した試合があった。

 キーマンはウィーランドだ。今季は特に広島戦で猛威を奮い、広島戦は打率.538(13打数7安打)、3本塁打、9打点の好成績。バットでも存在感を示している。しかし、この日は2試合目の登板で、1試合目はヒットなし。オープン戦でもヒットはなく、打撃実績ゼロでの起用だった。打撃練習でそれだけの素質を示していたのか。「8番・投手」の起点は、思い切った采配だった。

連敗で煮詰まった末の……


■6月8日:巨人(対日本ハム)
1(中堅):陽岱鋼
2(遊撃):坂本勇人
3(三塁):マギー
4(一塁):阿部慎之助
5(DH):村田修一
6(左翼):石川慎吾
7(右翼):長野久義
8(二塁):クルーズ
9(捕手):實松一成
投手:池田駿

 球団ワースト記録の12連敗に並んだ巨人が打った奇策。それまで2番には立岡宗一郎や橋本到らを起用していたが、思い切って坂本勇人を2番に……というオーダー。3番から後ろを思い切って前に詰めてみたという感じだが、強打の2番が流行りとはいえ、どうしても「2番・坂本」に違和感を抱く。

 ちなみにこの試合は投手陣が崩壊し、2対13で敗戦。翌日の試合では上位打線の並びは変えず、先発のマイコラスの踏ん張りもあって2対1で連敗を脱出したが、球団ワースト記録を作った13連敗目の試合は迷走気味のオーダーだった。


中日も!? 「8番・投手」が見事に機能


■10月1日:中日(対ヤクルト)
1(遊撃):京田陽太
2(二塁):亀澤恭平
3(中堅):遠藤一星
4(一塁):福田永将
5(三塁):高橋周平
6(右翼):井領雅貴
7(捕手):松井雅人
8(投手):伊藤準規
9(左翼):友永翔太

 ビシエド、大島洋平、ゲレーロの離脱もあり、消化試合はかなり混沌としたオーダーになっている中日だが、10月1日にはDeNAよろしく「8番・投手」を採用した。

 この試合では3回に7番・松井雅人が四球で出塁すると、8番の伊藤準規がバント、9番の友永翔太がタイムリー二塁打を放ち、いきなり「8番・投手」が当たった。6、7番に打力がない場合、比較的効果があるといわれる「8番・投手」だが、中日の現状を考えると現実的なオプションになりそうだ。


古巣を見返せ! 驚きの4番起用


■6月11日ヤクルト(対ロッテ)
1(左翼):坂口智隆
2(中堅):上田剛史
3(二塁):山田哲人
4(一塁):大松尚逸
5(右翼):雄平
6(DH):グリーン
7(遊撃):大引啓次
8(捕手):中村悠平
9(三塁):藤井亮太
投手:ブキャナン

 今季のヤクルトではバレンティン、山田哲人、雄平、畠山和洋が4番を務めたが、1試合だけ驚きの4番起用があった。6月11日のロッテ戦で4番を張ったのは、なんと昨オフにロッテを戦力外になった大松尚逸。古巣のロッテ戦で4番に起用する真中満監督の遊び心たっぷりのサプライズだった。

 ヤクルトは初回に7得点を奪うと、9対6で逃げ切り勝ち。大松も古巣を見返すべく大爆発……と言いたいところだったが、4打数0安打に終わった。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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