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オリックス2位 鈴木康平・「投げたい思い」をぶつけた衝撃の社会人デビュー

鈴木康平(日立製作所)・オリックス2位 鈴木康平・「投げたい思い」をぶつけた衝撃の社会人デビュー

2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。 週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。


今回の指名選手

鈴木康平(日立製作所)

球団 ドラフト指名順位
鈴木康平(すずき・こうへい)

187センチ88キロ/右投右打。1994(平成6)年1月21日生まれ、千葉県鎌ケ谷市出身。千葉明徳高から本格的に投手に専念し、高3夏の千葉大会2回戦では専大松戸高の上沢直之(日本ハム)と投げ合い、引き分け再試合の末に敗れた。国際武道大ではプロ志望届を提出するも指名漏れ。日立製作所では1年目の日本選手権でインパクトを残し、2年目の今年はエース格に。


★最初の印象
 私が監督に就任した時に、最初に見に行ったのが、国際武道大でした。当時の鈴木は細かったですけど、しなやかなフォームから140キロ後半を出していて、「こういう子がプロに行くんだろうな」と思いました。「100%ドラフトにかかる」と思っていたら、指名がなくて、ウチに来ることになりました。こういう伸びしろのあるピッチャーと野球ができるのは、とても楽しみでした。

★志願の肉体改造
 とはいっても、1年目はまだ大学生の体で、6月の都市対抗予選にはベンチ入りさせませんでした。それが相当悔しかったみたいで、鈴木は立花龍司トレーニングコーチに「来年はあのマウンドに立ちたいので、メニューを組んでください」と志願しました。6月から10月まで、立ち上がれなくなるくらいのメニューで体を作って、それが日本選手権での衝撃的なデビューにつながりました。

★エースの自覚
 2年目の今年は都市対抗予選などで修羅場をくぐり、東京ドームに乗り込みましたが、立ち上がりに不運もあって、6回4失点で初戦敗退でした。2回以降は力みもなく、大きく割れるカーブを使えていたので、初回は力で押そうとしすぎたかもしれません。でも、都市対抗での苦い経験を経て、今はいいフォームになってきました。

★理想が高い
 鈴木に試合後に感想を聞いても、自分に満点をつけません。こちらが「よかったじゃないか」と言っても、何かしら次への課題をあげてきます。素直で向上心の強いピッチャーです。元々素材はよかったですけど、社会人に来て、野球に打ち込む覚悟ができたんだと思います。

★これから
 将来はプロでも先発ローテーションに入る器です。これからは一つひとつの精度を高めていく必要があるでしょう。高めに抜けたストレートは、プロでは振ってくれませんから。それでも、まだまだ伸びしろを残しているので、プロに行ってさらに伸びると思います。

監督さんプロフィール


和久井勇人[わくい・はやと]
1962(昭和37)年生まれ、東京都出身。桜美林高〜東海大〜日立製作所。現役時代は都市対抗10年連続出場で表彰された。社業で日立工業専修学校の校長などを務めたのち、2013年から2度目の監督に。



★オーバースローに
 元々はスリークオーターで投げていましたけど、外の球がシュート回転で甘く入るのが嫌で、中学の時にオーバースローにしました。昔は上体を倒して、もっと真上から投げていました。

★志願の肉体改造
 高校、大学とケガが多く、社会人に入った年の6月に、立花龍司トレーニングコーチにお願いして、可動域が小さくならずに、筋力を上げるメニューを組んでもらいました。1日目は上半身、2日目は下半身、3日目は体幹のサイクルで回していくので、休む暇がありません。でも確実にボールの質が変わってきました。

★日本選手権でデビュー
 入社以来たまりにたまった「投げたい」思いをぶつけたのが、去年の日本選手権でした。三菱重工長崎戦の1点リードの9回表、無死一、三塁からマウンドに上がりました。最初の打者に3ボールになった時は「まずい」と思いましたけど、セカンドゴロでアウトを取れて、落ち着きました。あとは腕を振って、連続で三振を奪えました。京セラドームのマウンドは硬めで、投げやすかったです。

★都市対抗では
 今年の都市対抗(三菱重工名古屋戦)は、初回にストレートで押しすぎたし、コースも甘かったです。アウトが1つもないままピンチが続き、アウトを欲しがってしまいました。2回以降はカーブが低めに決まったので、初回からカーブを投げておけばよかったです。

★これから
 プロでも先発完投を目指しますけど、後ろも全球全力で投げる楽しさがあります。ピンチに出ていく方が、野球をやっている実感がありますね。将来は先発、リリーフ、どちらもやりたいです。




ストレート 145 〜 151キロ
カーブ   105 〜 110キロ
スライダー 125 〜 130キロ
シュート  134 〜 140キロ
フォーク  130 〜 139キロ

カーブは親指と中指の2本だけで投げます。フォークはベテランの山本淳さんとのキャッチボールで色々教わりました。シュートは左打者からゲッツーを取る時の球。秋に向けて、 新しい球種を習得しています。(本人)






監督

腕が横振りにならないよう気をつければ、力感のないフォームからスピンの利いたストレートがきます。「150キロを投げるぞ」という投げ方ではなく、ヒュッと投げてバーンとくる150キロだから値打ちがあります。

本人

左腕が上がると上下にブレが出るので、そこが修正点です。左足の着地が早いので、もう少し左ヒザが伸びるのを我慢できれば、横の間ができて、打者のタイミングを外せると思います。




 以前はガリガリで、体重が60キロ台だった鈴木。「高校までは肉が嫌いで、魚が好きでした」。しかし、肉体改造を経た今は「肉が好きになりました。焼肉が好きです」。ジャンクフードを食べないなど、普段の食事から気を使うようになったという。ちなみに身長については「自分だけが大きいとは思っていませんでした」。3人の兄が、いずれも身長180センチ以上あり、背が高い自覚はなかったとか。


本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・久保弘毅氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。


取材・文 久保弘毅

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