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【2016夏の高校野球】《山口観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド

7月15日〜28日(西京スタジアムほか)

秋春連覇の早鞆とセンバツ出場の南陽工
伝統校も虎視眈々と甲子園行きを狙う!

☆★☆ 投手編 ☆★☆

●対極のエースに物語性アリ


「事実は小説よりも奇なり」

 邑澤大志を擁する山口が、選手権予選の決勝に進出するあらすじの小説「熱球」(山口OB・重松清著、作中では「シュウコウ」と呼ばれる高校の設定は山高=ヤマコウ)を越えるかもしれない。「コントロールこそ投手の生命線」を実践し、進学校エースらしくクレバーにタイミングを外し、とらえた打球も野手の正面をつく。

 対極にあるのが原将輝(早鞆)の投球スタイルだ。福岡の筑豊出身らしく気風のいい投げっぷりのストレートは、足腰のバネを利かせてキレキレだ。一方で、打者の打ち気を外す嗅覚も鋭く、高レベルの野球センスが光る。

 球のキレならば伝統の左腕エースを継承する野口峻平(宇部商)に注目だ。フォームの完成度が高く、10キロほど幅のあるストレートだけでも緩急がつけられる。野口と左腕の双璧をなす山野太一(高川学園)は、最速142キロのストレートが光る。あと一歩の勝ち運をたぐり寄せられるか。

 宇部商が左腕なら、センバツ出場の南陽工は、本格派右腕の伝統をつむぐ重冨将希と藤本大輔の二枚看板を誇る。重冨はセンバツ1回戦・市和歌山戦を4安打完封のパーフェクトなデキ。春季大会は登板を回避したが、夏の帰還を待ちたい。藤本は捕手兼任だけあって、球速よりも制球を重視し、安定感がある。

 本格派右腕の森本兼生(防府)はノーラン・ライアン(元エンゼルスほか)ばりのフォームからリズムがいい投球を見せる。渡邉朋輝(小野田工)は粘りの投球と牽制・フィールディングのうまさで勝負する。ともに4番・エースでチームを牽引する中心選手だ。

 遊撃手兼任の高ポテンシャル・泉雄太(熊毛南)と球持ちのいい井町竜三(大津緑洋)の2年エースたちは、今夏から追いかけたい。


▲邑澤大志(山口)

☆★☆ 打者編 ☆★☆

●早鞆と宇部勢にタレント集結


 素材なら秋春連覇の早鞆が際立つ。どっしりとした体型の内田吉信は扇の要でもバッターボックスでも「ここ一番」に強い。三塁手・江藤雄樹と中堅手・蒲池俊介に代表されるようなほどよく筋肉がついたスマートで足の速いアスリート系選手たちが、積極果敢に次の塁を狙う貪欲な野球をする。

 宇部勢も好選手が多い。春準優勝の宇部鴻城の右翼手・上田力也は、フルスイングで下級生から主軸を張っている。2年ながら、総合力で県ナンバーワン遊撃手に推したいのは、嶋谷将平だ。宇部商も負けてはいない。「ナンバーワン遊撃手は俺だ」と言わんばかりに堀川幸佑は、流れるような守備を見せる。シュアな打撃で長打力もある宮崎洸太は、中堅守備の打球勘もいい。1試合2本塁打、うち1本は場外まで飛ばした舛本響起(宇部工)は波に乗せると怖い。大型遊撃手で監督と親子鷹の東哲寛(山口鴻城)もパンチ力がある。センスあるスピード感なら相田聖人(高川学園)だろう。

 春季大会はエース温存と夏を見すえていた南陽工のキーマンは、牛若丸系のキーストーンコンビの二塁手・吉井虎太郎と遊撃手・山崎大輔だろう。大型バッテリーとテクニシャンの小技がうまく機能すれば、夏も見えてくる。


▲内田吉信(早鞆)

☆★☆ 大会展望 ☆★☆

●早鞆と南陽工の火花が散る!


 秋春2大会連続で県制覇の早鞆とセンバツ出場の南陽工の一騎打ちか。昨秋の中国大会、センバツをかけた直接対決で苦杯を喫した早鞆は、意地を見せるだろう。一方の南陽工は、春季大会にエース・重冨温存と、不気味な存在となっている。タレントの多い宇部鴻城、宇部商もチャンスありだ。宇部工もからみ、「宇部ダービー」の激戦が楽しみだ。好投手を擁する山口、防府に加え、岩国、柳井と進学校が有力なのは今年の特徴だ。身体能力の高い大津緑洋は大物食いもありそう。

地区勢力ピラミッド

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