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今年も熾烈を極めた横浜市長杯!(明治神宮大会関東地区代表決定戦)

 大学野球・秋の全国大会である明治神宮大会の出場権を賭けた『横浜市長杯争奪第10回関東地区大学野球選手権大会』(以下、横浜市長杯)が横浜スタジアムなどで10月27日から30日の4日間行われた。

 今大会は10回目の記念大会ということで、神奈川大学野球連盟をはじめ、関甲新学生野球連盟、東京新大学野球連盟、千葉県大学野球連盟、首都大学野球連盟から代表校各3校計15校(例年は各連盟2校、計10校出場)が明治神宮大会出場権わずか「2」を賭けて争われた。その激戦をくぐり抜けて明治神宮大会出場を決めたのは、上武大と創価大だった。


▲脅威の粘りがある上武大、再びの日本一目指す

 今年の横浜市長杯を制したのは関甲新学生リーグ覇者の上武大。

 「全国大会よりも難しい大会」とこぼす監督もいる中で、堂々の5年ぶり4回目の優勝を果たした。10回目を迎えた今大会で、4回の優勝と準優勝1回と、これで5回目の突破は見事の一言である。

 そのブレない強さが見られたのが1回戦の筑波大戦だった。上武大打線は筑波大の先発左腕・西島隆成(3年・札幌第一高)の140キロを超えるストレートと120キロ台のツーシームなどで緩急をつけた投球の前に大苦戦。8回表まで0−1のビハインドを強いられた。

 だが8回裏、上武大が意地を見せる。まず6番・青木大将(4年・春日部東高)がセンター前ヒットで出塁すると、その後、犠打を含め2死二塁のチャンスを作る。

 すると、代打の影山駿(4年・PL学園高)が粘りに粘っている間に青木が果敢にも三盗。さらに影山が四球を選ぶと、影山の代走・石田到(4年・PL学園高)が初球に二盗。2死二、三塁と西島にさらにプレッシャーをかける。

 そしてここで1番・大谷昇吾(4年・樟南高)が簡単に追い込まれるも、そこから気迫を見せる。西島が「いい球がいった! と思っても当てられた」と試合後、振り返るように、大谷は簡単には倒れず、西島の投じたこの日115球目を右中間に運び、逆転のタイムリー三塁打。上武大ベンチとスタンドはお祭り騒ぎとなった。

 これで2−1と逆転勝ちした上武大は、「4年生が意地を出してくれた。これから4年生がいい味出してくれるかと思うと楽しみ」と谷口英規監督が試合後語ったように、2回戦の東京情報大戦も逆転勝ち。そして明治神宮大会行きのかかる白鷗大との準決勝を圧勝。決勝でも創価大の投手陣からしぶとく3点を奪い、優勝を決めたのだった。

 投手陣では右腕・山下仁(2年・須磨翔風高)が台頭し最優秀選手賞を獲得するなど、昨春以来の日本一も十分に狙える位置にいると言ってよいだろう。

 明治神宮大会では、関東地区第一代表ということで1回戦はシード。準々決勝からの登場となる。


▲打線を引っ張るのは3番の石川賢太郎(4年・屋久島あおぞら高)。明治神宮大会出場がかかった準決勝では4打数4安打3打点と大活躍した[写真:高木遊]

盤石の投手陣で初の日本一狙う創価大

 また、決勝で敗れたものの、創価大も明治神宮大会での活躍が楽しみな試合内容だった。何と言っても、その投手力だ。

 1回戦と準決勝では技巧派右腕・小松貴志(3年・創価高)が完封&1失点完投。2回戦では高校時代からプロの注目を集める右腕・秋元秀明(2年・三浦学苑高)が試合を作ると、7回からは田中正義(2年・創価高)が登板し、最速154キロのストレートで相手を寄せ付けなかった。

▲リーグ戦では右ヒジの違和感から1試合のみの登板と大事を取った田中正義だが、今大会で本格復帰。最初の打者相手にいきなり154キロのストレートを投げ込み、球場をどよめかせた[写真:高木遊]

 また、1回戦では9回裏に寺嶋寛大(4年・興誠高/ロッテドラフト4位指名)がサヨナラ2ランを放つなど、バッテリーを中心とした野球は全国でも上位の力を持っていることを、あらためて知らしめた。
※小松が最優秀投手賞、寺嶋が敢闘選手賞を受賞

 明治神宮大会では関東地区第二代表ということで1回戦からの登場となる創価大だが、「台風の目」になる可能性は大いに秘めていると言ってよいだろう。

【全試合の結果】

《27日・1回戦》
◎横浜スタジアム
白鷗大(関甲新3位)9−7桐蔭横浜大(神奈川1位)
東海大(首都1位)7−0東京国際大(東京新3位)
上武大(関甲新1位)2−1筑波大(首都3位)

◎保土ヶ谷・神奈川新聞スタジアム
横浜商科大(神奈川3位)1−0平成国際大(関甲新2位)
関東学院大(神奈川2位)3−1帝京大(首都2位)

◎横須賀スタジアム
創価大(東京新1位)2X−0国際武道大(千葉県3位)
東京情報大(千葉県2位)5−1杏林大(東京新2位)

《28日・2回戦》
◎横浜スタジアム
創価大(東京新1位)3−0関東学院大(神奈川2位)
城西国際大(千葉県1位)7−2横浜商科大(神奈川3位)

◎保土ヶ谷・神奈川新聞スタジアム
白鷗大(関甲新3位)4−1東海大(首都1位)
上武大(関甲新1位)6−4東京情報大(千葉県2位)

《29日・準決勝》
◎横浜スタジアム
創価大(東京新1位)6−1城西国際大(千葉1位)
上武大(関甲新1位)7−2白鷗大(関甲新3位)

《30日・決勝》
◎横浜スタジアム
上武大(関甲新1位)3−2創価大(東京新1位)


■プロフィール
文=高木遊(たかぎ・ゆう)/1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。昨年は東都大学野球春・秋1部全試合を取材。大学野球を中心に、アイスホッケー、ラグビー、ボクシングなども取材領域とする。高木遊の『熱闘通信(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)』随時更新中。twitterアカウントは@ you_the_ballad (https://twitter.com/you_the_ballad)

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