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《「野球太郎ストーリーズ」ダイジェスト!》投手の力を引き出す九鬼隆平(ソフトバンク)の統率力


 週刊野球太郎では、本誌『野球太郎 No.021 2016ドラフト総決算&2017大展望号』の人気企画「28選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、厳選した9選手のダイジェストをお送りしていく。

 この特集は、2016年のドラフトで見事に指名を勝ち取った選手が辿った数奇な「野球人生」を取り上げたドキュメントだ。

 7人目に取り上げるのはソフトバンクが将来の正捕手候補として獲得した九鬼隆平(秀岳館高、3位)。南海時代に野村克也、ダイエー時代に城島健司という球史に残る捕手を輩出したホークスにあって、早くも「ソフトバンク時代は九鬼隆平」と期待される逸材だ。

 野球太郎のライター・加来慶祐氏が執筆した九鬼の野球人生スーリーをダイジェストで紹介していこう。

酸いも甘いも味わった甲子園


 昨春、高松商高と対戦したセンバツ準決勝の延長11回、主将としてチームを引っ張ってきた捕手・九鬼隆平は頭部に死球を受けて退場。担架に乗せられ、涙を流しながら甲子園を後にした。

 涙の理由は、「日本一」という鍛冶舎巧監督との約束を果たせそうにないこと(結果、秀岳館は準決勝で敗退)。そして、初戦で骨折したことで、大会を通じてベストなプレーを発揮できなかったからだ。その悔し涙が頬をつたった。

 最後の夏は、4月に起こった熊本地震の影響で、ほぼ準備期間がないまま熊本大会を迎えることに。しかし、故障の癒えた九鬼が引っ張る秀岳館に敵はなく、熊本大会を制して夏の甲子園切符をつかんだ。

 甲子園では優勝こそできなかったものの準決勝まで勝ち進み、春夏連続ベスト4。タレント揃いのチームメイトを束ね、攻守に光るプレーを見せた九鬼は「高校ナンバーワン捕手」の評価を不動のものにした。


“投手ファースト”なリード


 九鬼は攻守に優れた大型捕手で、投手のよさを引き出すリードにも定評がある。

 センバツでは、甲子園デビューの田浦文丸(当時1年)を好リードし、田浦のうちにある勝負強さを引き出した。これは九鬼の巧みなリードとキャプテンシーのなせる技だ。

 一方、センバツで力を発揮させきれなかった川端健斗(当時2年)には、「彼の力はこんなものじゃありません」とフォロー。事実、川端は春以降に急成長を遂げ、夏の甲子園ではチームの躍進を支えるキーマンとなった。

 このように投手のポテンシャルを引き上げる能力も超高校級。それでいて「捕手本位」の個人プレーに走らず、常に投手のペースを見ながら「気持ちよく腕を振らせる」ことを優先している。

 投手ファーストでリードしながら、主将としてチームもまとめあげる能力にも長けた九鬼の存在感は圧倒的だった。

プロでの姿を追いたくなる逸材


 また九鬼は、夏の甲子園で三塁打を放つなど、スピードがあるところも見せつけた。持ち前の打力に走力も兼ね備えているとなれば、目指してほしいのは捕手史上初のトリプルスリー。

 壮大なロマンに感じるが、鍛冶舎監督は「決して夢物語ではない」と太鼓判を押す。アマチュア野球界で圧倒的な実績を誇る恩師に背中を押されて、稀代の高校生捕手はプロの門を叩く。

 もちろん、持ち前のリード力で12球団最強と言われるソフトバンク投手陣をどう操っていくのか、という興味も尽きない。九鬼とバッテリーを組むことで潜在能力を開花させる投手も、必ずや現れることだろう。

 近い将来、ソフトバンクの正捕手争いに、九鬼が決着をつける可能性は高い。そんな期待を抱かせてくれる逸材を追い続けていきたい。


(※本稿は『野球太郎No.021』に掲載された「28選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、ライター・加来慶祐氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。『野球太郎No.021』の記事もぜひ、ご覧ください)


文=森田真悟(もりた・しんご)

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