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2015東都大学野球ベストナイン大発表!〜投手はやはりあのドラ1右腕!来年は中大・松田に注目だ!

☆今年も東都を見続けた山田沙希子選定ベストナイン発表!

 亜細亜大学が明治神宮大会を2年ぶりに制して、東都大学リーグの代表校が3連覇を果たし、今年の大学野球の公式戦は終了した。

 勝負強さが光った亜細亜大が勝ち抜いた東都大学1部リーグ。最終戦に勝った(勝点を獲得した)チームが優勝という展開に持ち込まれた。その優勝決定戦に敗れた國學院大は優勝争いから一転、5位でシーズンを終えた。いかに均衡した戦いになったかが伺える。

 今回は1年を振り返る意味でも、超個人的な選出によるベストナインを発表したい。

●ベストナイン
投 手:原 樹理(東洋大)
捕 手:猪又弘樹(青山学院大)
一塁手:櫻吉宏樹(國學院大)
二塁手:山崎 剛(國學院大)
三塁手:藤岡裕大(亜細亜大)
遊撃手:松田 進(中央大)
外野手:鈴木 薫(國學院大)
外野手:久保田昌也(國學院大)
外野手:長沢吉高(日本大)
指名打者:渡辺和哉(専修大)

☆バッテリーはともに2部リーグで戦った2人

 今秋、國學院大の土倉将(4年・遊学館高)が全試合に登板し、亜細亜大の石塚賢次(4年・玉野光南高)も65回を投げた。2部に至っては原以外にも3人の投手が65回以上を放る“鉄腕”ぶりが目立った。それでもやはりエースとして、2部優勝・1部昇格という最高の結果をもたらした原樹理(4年・東洋大姫路高)をベストナインに推したい。春もほぼ全試合に登板して78 回2/3を投げ切ったものの、優勝を逃し、チームメートが彼の好投に報いられなかったことを申し訳なさそうに話していた。しかし、入れ替え戦では1敗した土壇場から2試合で18点を奪い、原を援護した。


▲1部復帰を決め、涙を見せながらクールダウンする原

 猪又弘樹(4年・千葉経大付高)は引っ張る姿勢が随所に見られ、柱として揺るぎないポジションを確立した印象が強い。存在感は1部の捕手にも引けを取らない。

 一塁手の櫻吉宏樹(4年・金沢高)は、大学からこのポジションを務める。元々の二塁手の経験から、一二塁間への打球の反応もよい。打撃では苦しいシーズンが昨年から続いていたが、守備にスランプはなく、幾度もチームを救うプレーを見せた。

 秋だけを見れば亜細亜大の法兼駿(3年・高知高)だが、1年を通してとなれば文句なしに山崎剛(2年・日章学園高)を挙げる。ケガをしてフル出場は叶わなかったものの、首位打者を獲得した春。秋も終盤まで首位打者を狙える位置にいたが、ラスト2試合でわずか1安打と失速。しかし駒澤大2回戦での5打席目、かなり痛がるような自打球を足に当て、ヒットで出塁しても塁上で痛みをこらえる素振りを見せていた。一塁コーチャーはベンチに『×』印を作って見せたが、交代はせず。春の二の舞は演じたくないという意地や気迫を垣間見せた。


▲山崎は好守も目立つが、もう一つワンランク上の選手になるためにもイージーミスをなくしていきたい

 そして三塁手は説明の必要もないだろう。あれだけの安定した守備、打撃に加えて、周囲を広く見渡せる視野の広さと絶妙な声かけ。藤岡裕大(4年・岡山理大付高)の存在は多方面にわたって大きな意味と価値があった。

☆中央大の松田、日本大の長沢への期待

 中央大の松田進(3年・國學院久我山高)は今春からグラウンドでの姿に大きな変化が見られた。どちらかというと泥臭い、熱いというイメージとは反対の印象を受けていたのだが、貪欲に勝利を求める姿勢が光っていた。たとえば、守備位置までは全力で駆けていくし、ネクストバッターズサークルで待つ先輩野手にも積極的に声掛けを行なっていた。

 「3年生を中心として、自分たちがやろうという強い気持ちがある」と國學院大の柴田竜拓(4年・岡山理大付高)は秋季リーグ戦の前に中央大について話していた。その先頭に立っているのが松田だ。今年、守備も打撃も確実性が増した。最終学年では、さらに成長を遂げた姿を見せてくれることを期待している。


▲打てる遊撃手と評価が高い松田

 鈴木薫(4年・文星芸大付高)はこの1年、指名打者での出場が多かった。しかし、外野手として出場した際に、俊足を生かした好守も見せてくれた。率が残せるバッティングに加え、スタンドインできるパワーも備わった。明るいキャラクターでベンチを盛り上げることもし、心技ともにチームを支えた。

 鈴木と同じく國學院大のムードメーカーも担う久保田昌也(3年・龍谷大平安高)。1年春はいきなり3割越えの打率を残すが、手首の手術などケガもあって、それ以降はなかなか思うような結果を残せていなかった。だが今秋、常に全力プレーを見せて“上級生の背中”を見せてくれた。ベンチでも大きな声でチームを鼓舞する姿も久しぶりに見られ、4番として.317と久しぶりの高打率。彼のスタイルが確立されたような気がしてならない。

 外野手3人目は長沢吉貴(1年・佐野日大)。徹底した走塁を武器に1部へ戻ってきた日本大。長沢がその勝因の一人だという。仲村恒一監督に「長沢に上級生が刺激を受けた。彼の存在は大きい」と言わしめる。チームトップクラスの脚力だけではなく、スタート、スライディング、ベースランニングなどの技術に、常に先の塁を狙う姿勢もあり、この総合的な走塁力の高さから、貫禄すら漂う。


▲春季途中から1番に起用された長沢。“日大野球”の先頭に立つ

 リーグから表彰を受けた指名打者は鈴木だったため、この指名打者を選ぶのが非常に難しかった。渡辺和哉(4年・文星芸大付高)にした理由は、彼の飛ばす打球が誰よりも群を抜いているからである。確率と言う意味では秋こそ落ちていたが、渡辺の持つ間、雰囲気は変わらず貫かれていた。打席に向かう姿、バッターボックスでの振る舞いだけで魅せてくれる数少ない選手だった。

 ここに挙げた4年生は次のステージで、それ以外の選手は再び神宮で活躍する姿を幾度も見せてほしい。成績だけでなく、精神面でもチームの柱になってくれることを期待して、長い冬を乗り越えたい。


文=山田沙希子(やまだ・さきこ)
東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速中。イベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。

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