週刊野球太郎
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第4回 社会人ベスト10
〜ドラフト候補の注目ポイントはここだ

 いよいよ今週に迫って来ました今年のプロ野球ドラフト会議。このコーナーでは、会議の直前まで、全4回に分けて注目のドラフト候補たちを紹介しております。高校生打者編高校生投手編大学生編ときまして、最後にピックアップするのは、もちろん社会人編です。独断と偏見まじりにランキング形式でとりあげます。
 今シーズンはドラフト下位指名ながら川端崇義(オリックス)がパ・リーグの新人王候補筆頭となるような大活躍を見せました。川端以外にも、十亀剣(西武)や森内壽春(日本ハム)、田原誠次(巨人)は中継ぎとして奮闘し、話題となりやすい大学卒の選手に負けず劣らず実力派らしい活躍をしました。近年を振り返っても、昨シーズンの牧田和久(西武)が1年目ながら、先発に抑えに奮闘し、新人王を獲得、それ以前でも長野久義(巨人)、攝津正(ソフトバンク)、小松聖(オリックス)と4年連続で社会人からプロ入りした選手が新人王を獲得しています。
 ドラフトでは怪物級の選手がいるわけでも、大きな話題となる選手がいるわけでもありませんが、高校、大学を経て、プロからの指名がなくても、まだ野球を続けたい、精神力と技術力を持ち、一発勝負のトーナメントという厳しい戦いの中でもまれてきた社会人選手たちの強さをあなどってはいけません。
 ここに掲載した選手や、それ以外の選手のさらに詳しい情報が知りたい方は現在書店で発売中の『野球太郎No.001 2012ドラフト直前大特集号』をお読みください。総勢370名ものドラフト候補と有望選手が掲載されております。
 それではランキングの発表です。


【第1位】
守安 玲緒(Reo Moriyasu)
(三菱重工神戸・25歳/投手/右投右打/182cm80kg)


■どんな選手?/富士大では大学選手権準V、北東北大学野球リーグ新記録の通算30勝をマークする。三菱重工神戸に入社直後からも実戦に強い、安定感十分の投球を展開。走者は許しても、点を与えない技術はプロのローテがつとまる能力と見る。
■ここを買いたい/角度十分の球筋と低めに集められ、四死球をほぼ出さない制球力は素晴らしい。特に右打者の外角低めにストレートとタテのスライダー、フォークを決め、左打者の外角にも確かな球道。放射線状の球筋を持ち、さらに今季はストレートに勢いが加わった。

【第2位】
増田 達至(Tatsushi Masuda)
(NTT西日本・24歳/投手/右投右打/180cm78kg)


■どんな選手?/球速帯141〜153キロのストレートでガンガン攻め立てる痛快な投球を見せる。沈む系のボールも交え、中継ぎの即戦力として働ける実力は十分にある。端正なフォームでコントロールの破綻も心配なし。
■ここを買いたい/同一直線上でテークバックと腕の振りが連動するから、指のかかりにロスがなく、打者のスイングの上をホップするような球筋を持っている。ここ一番の場面では思い切りのいいストレートで三振に切り抜ける。このボールからは藤川球児(阪神)の匂いがする。

【第3位】
松島 圭祐(Keisuke Matsushima)
(伯和ビクトリーズ・24歳/左翼手/右投左打/176cm82kg)


■どんな選手?/流通経済大当時は長打も打てる怖いリードオフマン、社会人ではパワフルな豪打を4番打者として力を発揮した。今夏の都市対抗で右翼2階席を直撃する大アーチを生んだパワーと豪快なフルスイングは社会人球界でもトップクラス。現段階でもプロのスイングができて、20本塁打を打てる可能性を秘めている。
■ここを買いたい/投手に向かって行く気迫、アグレッシブな走塁、球際にしぶとい守備ワーク。日本人離れした野性味あふれるプレーが何よりの魅力。

【第4位】
秋吉 亮(Ryo Akiyoshi)
(パナソニック・23歳/投手/右投右打/182cm76kg)


■どんな選手?/都足立新田高3年夏には3試合連続完封、東東京4強まで進み、「都立の星」と評された。中央学院大では全国の舞台でも快投。パナソニックでも1年目から主戦格で登板して、順調な成長カーブを描き続けている。 ■ここを買いたい/スリークオーターからの145キロ前後のストレートとスプリットを武器にピンチにも真っ向勝負の投げっぷりが若々しい。ピッチャー返しの打球処理やロスのないけん制動作は今のうちに勉強を。

【第5位】
大城 基志(Motoshi Osiro)
(JX-ENEOS・25歳/投手/左投左打/172cm65kg)


■どんな選手?/今夏都市対抗では5試合中4試合に登板、最高栄誉の橋戸賞を獲得して優勝に大きく貢献した。大舞台にも臆せず実力を見せつけられる投手になった。四球から崩れた昨季の都市対抗の記憶をバネに、この1年の心身の成長は評価に値する。特にストレートは球速は変わらないが、キレがよくなり、緩いボールとのコンビネーションにより、体感スピードは増した。 ■ここを買いたい/スライダー、チェンジアップをストレートと同じ腕の振りで投げられる。名桜大当時から、この投手の代名詞にもなっている落差抜群の「宜野座カーブ」も稀少価値だ。


【第6位】
松永 昂大(Takahiro Matsunaga)
(大阪ガス・24歳/投手/左投左打/175cm76kg)
■ここを買いたい/クイックから自信満々に投げ込むストレートは140キロ前半でも、体感スピードで勝負できる球質だ。インステップするから精緻なコントロールはないが、ストライクゾーンの中で暴れる範囲なので、むしろ捕まえづらい。左打者は一様に腰がひけている。

【第7位】
真弓 竜一(Ryuichi Mayumi)
(王子製紙・21歳/中堅手/右投右打/179cm83kg)
■どんな選手?/社会人球界に本当に久々に現れた右打ちの若きスラッガーだ。懐を広くとり、グリップが遠くから走ってくる渾身のフルスイングがなんとも豪快。入社2年目の昨季に3番に抜擢されて以降、競争の激しい強豪社会人でレギュラーに定着していることがスゴイ!

【第8位】
大山 暁史(Satoshi Oyama)
(セガサミー・24歳/投手/左投左打/168cm69kg)
■ここを買いたい/打者の手元で浮き上がってくるような独特な球筋の140キロ級ストレートをものにして、大学通算1勝ながらも社会人1年目から都市対抗で先発するなど飛躍を見せた。そのストレートが昨季ほどの威力が見られない。この「魔球」を取り戻すことで、変化点の近い沈む系の変化球とのコンビネーションがさらに生きる。

【第9位】
小豆畑 眞也(Shinya Azuhata)
(西濃運輸・24歳/捕手/右投右打/181cm85kg)
■ここを買いたい/スローイングはモノが違う。ほぼ捕球した高さのまま、しっかり腰を割って送球。スピード、精度ともプロでも一級品だろう。捕手としての所作もチャーミングで、守備なら即通用するはず。

【第10位】
安部 建輝(Tateki Abe)
(NTT西日本・26歳/投手/右投右打/180cm81kg)
■ここを買いたい/130キロ後半の球速帯でも、ストレートに強弱をつけながら追い込み、最後は外角低めをストレート、フォークで突いて仕留める。ピンチにも辛抱が利き、厳しいコースで三振を奪って切り抜けるスキのなさを身につけてきた。26歳でもまだ遅くはない!

 以上が「社会人ベスト10」でした。全4回の中で一番、『野球太郎No.001』の巻頭カラーページで取り上げた選手から、どの選手をランクインさせ、どの選手を外すか難しい判断でありました。さらに、高校生や大学生とは異なり、社会人にはプロ志望届がないので、全選手がドラフト対象となる一方で、それぞれの社会人チームによって、内密に誰はドラフトで放出できて、誰はできない、何人まで指名を受けるかなどなどの方針が決まっていたり、プロ野球チームからは、20代中盤に差し掛かると年齢を気にしはじめたり、この選手を下位で指名するのは失礼に当たるのでは、と自重することがあったり、実力はあるからといって必ずしも指名されるとは限らないのが社会人選手のドラフトだと思います。それによって指名されない年が続いたのが、まさに川端崇義でした。今年の活躍により、社会人選手は指名されやすくなったかのかどうかは25日のドラフト会議で明らかになります。実力派の選手たちをどう指名するか、どう予想するか難しいですが、だからこその楽しみもあります。どうぞお楽しみに!
 今回で最終回を迎えますが、これからも『週刊 野球太郎』をよろしくお願いいたします。


監修=安倍昌彦…有望アマチュア投手の球を実際に受けてレポートする球界唯一の手法で一躍注目を浴びる。現在は『野球太郎』などで執筆する傍ら、テレビやラジオのゲストとしても活躍中。(この記事は『野球太郎No.001』の記事を再構成したものです)

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