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「野球女子」の元祖は高校野球にあった!甲子園と女性の意外な関係性とは?

「高校野球100年」の今年は、女性が初めて甲子園のベンチ入りを果てしてから20年の節目の年でもある。その初めて甲子園のベンチ入りした人物は、1995年の第77回大会に出場した柳川高の責任教師・高木巧美子さん。さらに翌年からは「記録員」として女性マネジャーでもベンチ入りすることが許された。以降、高校野球ではおなじみの光景となっている。だが、高校野球の歴史を振り返ると、さらに多様な場面で女性が重要な役割を果たしていた。「女性が支えてきた甲子園史」を振り返ってみよう。


「野球女子」の先駆けは甲子園から


「カープ女子」や「オリ姫」を筆頭に、昨今急増していると話題の「野球女子」。その「元祖」ともいえる存在が、実は甲子園にあった。今から91年前、1924年に甲子園球場が誕生した際に肝いりで取り付けられた鉄傘(今の「銀傘」の前身)がそのキッカケだ。「天候が悪くてもスポーツ観戦が楽しめるように」という狙いで設置された鉄傘だったが、夏の日差しの中でも日焼けしないですむ、とむしろ女性に好評。それが結果的に、女性ファンの開拓、という副産物をもたらしたのだ。

GHQから甲子園を取り戻した女性通訳の機転


 1941年以降、戦争の影響で甲子園大会は中止に追い込まれた。そして、戦時中は甲子園の内野は芋畑になり、戦争終了後も甲子園球場はGHQの管理下に置かれ、常時1500人近い米軍兵士たちの駐屯基地になってしまう。そのため、1946年に復活した夏の全国大会は、開催球場は甲子園ではなく西宮球場だった。

 甲子園球場での大会が復活を果たしたのは1947年のセンバツから。ただし、開催の実現までには紆余曲折があった。主催である大阪毎日新聞社は阪神電鉄の協力を得ながらGHQに働きかけ、一時は順調に大会復活が認められた。ところが、文部省の正式な許可を先に受けていなかったことやGHQ側の意向(「アメリカには全国大会はない」「新聞社が主催する大会はおかしい」など)もあり、既に出場校も決まっていた1947年3月に文部省から大会中止の通達が届いてしまう。

 この窮地を救ったのがGHQの通訳を担当していた三宅悦子さんだった。首を縦に振らなかったGHQのノーヴィル少佐に対して発した「あなたが大会を中止させたら、日本人に一生恨まれますわよ」という言葉をきっかけに「とりあえず、今年度は開催しよう」とノーヴィル少佐の態度が軟化。こうして、甲子園に学生野球が復活したのだった。

現代まで受け継がれるウグイス嬢の技


 甲子園球場に響くウグイス嬢のアナウンスは、一服の清涼剤のように心地よい。野球場のアナウンスに女性が起用されるようになったのは1947年の後楽園球場から。プロ野球が2リーグに分裂した1950年以降は各球場でも一般的な存在になり、甲子園球場ではセ・リーグ野球連盟関西支社の女性職員が担当していた。

 その中で「球場専属ウグイス嬢第一号」となったのが阪神電鉄に務めていた飯森喜久子さん。1953年のセンバツから1970年まで球場アナウンスを担当した。以降も飯森さんから教えをうけたウグイス嬢がアナウンスを担当し、その技は現代にまで引き継がれている。

50年以上続くプラカードガールの歴史


 甲子園の名物風景といえば、開会式でプラカードガールを先頭に始まる入場行進だ。これは1949年から続く夏の伝統風景。プラカードを持つことができるのは、西宮市立西宮高校2年生の女子生徒に限られている。

 1949年以前はボーイスカウトが持っていたプラカード。これが西宮高校の女子生徒に変わったのは1947年の「学制改革」に端を発している。全国で男女共学が進んだことを受け、「甲子園大会でも新機軸を打ち出したい」という話が持ちあがり、手をあげたのが同校教諭の岸仁(当時の兵庫県高野連理事)。同校も西宮高等女学校から男女共学の西宮高等学校に変わったばかりで、「変革」を打ち出すには適任だった。以降、ずっと西宮高校からプラカードガールは選抜されている。プラカードガールを担当したいから、西宮高校を受験する女子もいるという。


 このほかにも、甲子園大会での入場行進と校歌斉唱を提言したのが女性アスリートの先駆けともいえる人見絹枝さんだったりと、女性のアイデアやエネルギーで高校野球が盛り上がってきた実績は数多い。その一方で、高校野球への女性参画は他ジャンルに比べてまだまだ遅い、という批判もよくあがる。女子部員の大会出場がいまだに認められていないのが最たる例だろう。まだまだ変革すべき部分が多いからこそ、過去にはどのように参画してきたのかという「歴史」を知り、スポットを当てていくことも重要ではないだろうか。

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