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中日・又吉克樹や西武・菊池雄星も!? 「未来」に向かって海を渡ってほしいNPB選手は誰だ?

 前田健太、田中将大、ダルビッシュ有、そしてイチロー。

「日本人メジャーを追え」と題したこのコーナーでは、今季の動向が特に気になる4人の日本人メジャーリーガーの注目点を探ってきた。彼ら以外にも活躍中の日本人メジャーはまだまだいるが、最後はもう少し「未来」を見つめたい。つまり、今後新たに出てくるであろう、将来のメジャーリーガーについてだ。

 と書くと、当然のように「大谷翔平だ」「山田哲人だ」「菅野智之だ」……と、もっかNPBのトップを走る男たちの名前が挙がりがち。それはそれで楽しい想像なのだが、もう少し変化球も欲しい。そこで本稿では、ちょっと違う視点から「コイツがメジャーに挑戦すれば、日本はもっと盛り上がる!」という3人を選んでみたい。

MLBを席巻してきた「補欠の系譜」……中日・又吉克樹



 近年のMLBで「安定して好成績」を収めた日本人選手といえば、レッドソックスを世界一に導き、3年連続で20セーブを挙げている上原浩治。そして、日本人初の5年連続二ケタ勝利を達成した黒田博樹の二人が思い浮かぶ。

 彼ら二人には、大きな共通点がある。それは「高校時代は補欠投手」という過去だ。上原は東海大仰星高時代、建山義紀(元日本ハムほか)の控え投手だったのは有名な話。黒田もまた、大宮高時代は控え投手で最後の夏の登板機会はゼロだった。そこから、大学で一気に名を上げてNPB入りを果たし、遂にはメジャーリーガーにまで登りつめたのだ。

 そんな経歴に近い人物として真っ先に浮かぶのが中日の又吉克樹だ。

 高校時代、補欠投手どころか打撃投手だったという又吉。大学入学後にサイドスロー投手として目覚め、独立リーグで花開いたという、まさに「補欠の星」だ。そんな男がもしメジャーリーガーになれるとすれば、これほど全国の球児、独立リーガーを奮い立たせる事例はないだろう。

 今季は開幕から思うようなピッチングができず、遂に先週2軍落ちしてしまった又吉。ここでもう一度奮い立つためにも、目標を「1軍復帰」などではなく、もっと壮大な設定にしてもらいたい。


メジャーにも“男気復帰”……広島・黒田博樹




 2015年、日本球界を席巻した黒田博樹の「男気復帰」。日本に帰ってくる元メジャーリーガーが軒並み、かつての輝きを失って成績も急落する中、復帰初年度に二ケタ勝利(11勝)挙げた黒田は、「さすが」としか言いようがない。

 今季もここまで4勝2敗。防御率2.78と安定した投球をみせ、セ・リーグ首位を走る広島を牽引し続けている。

 そんな黒田もすでに41歳。毎年のように「今季で最後の可能性も……」を匂わせているだけに、目前に迫った「200勝達成」を手土産に、本当に今年限りで引退するのでは……という見方も大きい。

 だからこそ、もう一度メジャーで投げる黒田が見たい。

 たとえば、だ。今季、広島を優勝させて「役目は終わった」と赤いユニフォームを脱ぐ黒田。だが、それは現役引退ではなく、もう一度ピンストライプのユニフォームをまとって再建中のヤンキースで投げるためだった……なんていう夢物語はどうだろう?

 黒田にもう一度メジャーで投げて欲しいと思ってしまうのは、日本人投手がまだ誰も成し遂げていない「MLB全30球団勝利」という大偉業が、あと一勝で達成できるからだ。もちろん、黒田がそんな記録のために現役に固執する男ではない、というのは百も承知。でも、日米の野球ファンがこれほど盛りあがる「メジャー挑戦」なんて、きっとないはずなのだ。

雄星世代の旗手として……西武・菊池雄星



 花巻東高時代の大谷翔平が「メジャー挑戦」を宣言する前、「高卒メジャー」の道を探った“先輩”が、同じ花巻東高出身の菊池雄星だった。

 その後、「涙のメジャー断念」宣言を経て、2009年のドラフト会議では6球団が競合。クジによって埼玉西武ライオンズに入団した雄星。あれから7年がたち、まさか未だに雄星が二ケタ勝利をしたことがない、とは、なかなか想像できない未来だったのではないだろうか。

 思えばこの世代は、「打倒雄星」に燃え、名を上げた男たちばかりだ。

 3年春のセンバツで雄星の内角球に手も足も出なかったのが明豊高の今宮健太。それから夏までの間に徹底して内角打ちを磨き、4カ月で31本ものホームランを量産。その長打力こそ影を潜めてしまったが、狙った獲物は逃がさない執着力と集中力によって、日本を代表するショートにまでの登りつめたのだ。

 また、同じ世代でも、最後の夏に甲子園に出られなかったのが横浜高の筒香嘉智。それでも、練習試合で雄星相手に放った特大ホームランが評価され、ドラフト1位の評価につながった、といわれている。

 同級生以外でも、一学年下の履正社高・山田哲人に大きな影響を与えたのが雄星だった。それまで、「ただのいい選手の一人」だった山田は、雄星が6球団から競合指名されるドラフト会議を見て「俺も、あそこで名前を呼ばれたい!」と一念発起。2年秋から3年春にかけて急成長したことで、ドラフト1位で指名される選手にまで飛躍したのだ。

 侍ジャパンのレギュラーメンバーたちの「今」があるのは、雄星がいたからこそ。ならば雄星が再び、メジャーが放っておけない存在にまで覚醒すれば、同世代たちもまた奮起し、球界が多いに盛り上がるのではないだろうか。

 高3秋、メジャー断念宣言の記者会見の際に、「今は日本ですべてを出し尽くし、みんなに認められる選手になりたいという気持ちでいっぱいです」と語った雄星。日本のファンは、まだすべてを出し尽くした雄星の姿を見ていない。その先にある「メジャー」という舞台をもう一度視野に入れ、みんなに認められる勇姿を見せて欲しい。


文=オグマナオト(おぐま・なおと)

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