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絶滅危惧種? 中井大介(巨人)は、バットの持ち方を見直せば覚醒間違いなし!?

☆アマ時代から誰もが認める才能の持ち主

 投げれば146キロ、打てば通算28本塁打と、今で言う「二刀流」で高校野球ファンを沸かせていた中井大介選手(巨人)。宇治山田商3年夏には甲子園にも出場し、ドラフト3位で巨人に入団しました。


 1年目は2軍ながら2ケタホームランを放ち、2年目に満を持して1軍デビュー。平成生まれの選手として初のホームランを打つなど、当時は誰もが中井選手が巨人の中心選手になると思っていましたよね。

 しかしその後はケガという不運もあり、1軍と2軍を行ったり来たり。自慢の打撃がプロでなかなか通用しないことで自信を失ってしまったのか、まだブレイクできていません。

 では、どうやったら中井選手はプロでも一度輝くことができるのでしょうか? そのカギを握っているのは、バットを持つ両手にありました。

☆おかわりくんの手の使い方を研究せよ!

 まずは中井選手のいいところから紹介していきましょう。
 実は中井選手のスイングは、往年の名スラッガー・田淵幸一さん(元阪神ほか)や現代のホームランキング・中村剛也選手(西武)と同じなのです。


田淵幸一(元阪神ほか)

 それはワップダウンと言うリズムで、「バットを振り下ろす力と地面からの反力を上手に使ってスイングすることで、大きな放物線を描くボールを打つ」というもの。長嶋茂雄さん(元巨人)や坂本勇人選手(巨人)も同じで、日本人ならではのホームランの打ち方なのです。

 そのため、もっとたくさんのホームランを打っていてもおかしくありません。しかし中井選手は、そんな素晴らしい打ち方をバットの握り方で台無しにしてしまっているのです。

 バットを持って構えた時に手を握りこむと「屈筋」という筋肉が現れるのですが、この屈筋がクセモノ。通常、構えたバットを振ろうとすると、腕は伸びようとしますよね? ここで腕を伸ばすためには「伸筋」が必要なのですが、グリップを握ることで伸筋よりも屈筋が働いてしまい、腕の動きが固定されてしまうのです。そこから打とうとするなら、もう前側の肩を開くしかありません。慣性力が働いてしまい柔軟性が発揮できないので、決め打ちするしか方法がないのです。

 中井選手のこの悪癖はすでに高校時代に出ていました。しかし、相手投手のレベルもまちまちですし、元々の身体能力が高く、打てていたことから、明るみには出ませんでした。しかしプロのピッチャーが、そんなバッターを好きにさせておくでしょうか。こうして中井選手は負のループに陥っていきました。

 そんな中井選手が、ここから浮上していくための秘策をお教えしましょう。参考にすべきは、中村剛也選手のバットの握り方です。


 中村剛也選手はバットを握り込むのではなく、両手の中指、尺骨ととう骨を使って柔らかく持っています。これが伸筋を使うための極意。中指を軸にして、力を入れずにニュートラルなポジションを保つことで回旋力を使えるようになり、それが粘りを生んでくれます。

 また前腕だけを使って中指でバットを持って、スイングするのもいいでしょう。この形で、スムーズにヒジを折りたたむという動きも再確認できます。


☆ぜひとも強打者の系譜に名を連ねてほしい

 最近はソフトバンクの柳田悠岐選手のように、ワップアップと呼ばれるメジャーリーグのバッターのようなリズムでホームランを打つ選手も増えてきました。

 アスリート型の選手が台頭してきたことが一因と思いますが、もちろんどちらかがよくて、どちらかがダメ、というわけではありません。自分に合った打ち方をするのが一番ですからね。

 その中にあって中井選手は、田淵さんをはじめとする昔からの日本人スラッガーの流れをくんでいます。今や“絶滅危惧種”とも言えるスタイルですが、教えて身につくものではないので、なんとしても結果を出して、後世に伝えていってもらいたいと思います。


 そのためにも、年間の規定打席に到達すればホームラン王を必ず獲得する、という中村剛也選手の手を凝視してください!


■タイツ先生プロフィール
1963年生まれ、栃木県出身。本名は吉澤雅之。小山高時代は広澤克実(元ヤクルトほか)の1学年下でプレーし、県大会準優勝を経験。現在は「自然身体構造研究所」所長として、体の構造に基づいた動きの本質、効率的な力の伝え方を研究し、幅広いスポーツ選手の指導にあたっている。ツイッター:@taitsusensei では、国内外問わず、トップアスリートたちの動きについて、つぶやいている。個々のレベルに合わせて動画で指導を行う、野球の個別指導サービス「アドバンスドベースボール(http://www.advanced-baseball.jp/)」での指導も始まった。

文=森田真悟(もりた・しんご)
1982年生まれ、埼玉県出身。地元球団・埼玉西武ライオンズをこよなく愛するアラサーのフリー編集者兼ライター。現在は1歳半の息子に野球中継を見せ、日々、英才教育に勤しむ。今季はできるだけ現地観戦をしたい。

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