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ファンを愛し、ファンに愛されるメッセンジャー(阪神)。日本で過ごした8年の歳月が男を変えた

阪神で8年目のシーズンを迎えているメッセンジャー(阪神)

「頭が下がる思い……」

 阪神・金本知憲監督が述べたランディ・メッセンジャーへの最大の賛辞だった。

 4月28日の中日戦、メッセンジャーは7回を被安打6、無失点に抑え、今シーズン無傷の4勝目を挙げた。今、金本監督から最も信頼を得ている投手だろう。

 4勝は菅野智之(巨人)と並んでリーグトップ。4月に3勝2完封だった菅野とともに、4月の月間MVPの候補に挙げられている。

「ファンのために優勝したい」

 2010年から数えて8年目のシーズンを迎え、日本の野球を知り尽くした男の脳裏には、優勝の二文字がくっきりと刻まれている。

8年の歳月がメッセンジャーを変えた


 思い起こせば7年前、メッセンジャーが迎えた日本での初めてのシーズンは順風満帆ではなかった。

 ストレートを武器に力で抑えるパワーピッチャーだったが、制球が定まらず不安定な投球を見せていた。

 シーズン当初は中継ぎで起用されるものの、開幕直後に入団したスタンリッジと入れ替わり、ファームに降格。シーズン終了後の再契約も危ぶまれた。

 そんなメッセンジャーが、年月を経るごとに日本の野球を習得し、技巧派投手へと変貌を遂げた。

 特に今シーズンは、緩急を生かした投球に磨きがかかっている。以前のように単調な投球で連打を食らい、イライラを募らせた末に、相手チームにビッグイニングをプレゼントするようなシーンが見られなくなった。

 また、バッテリーを組む梅野隆太郎への賛辞も忘れない。

 試合後に捕手のリードや配球について口にすることなど、来日当初のメッセンジャーでは考えられなかったことだ。8年の歳月が彼自身を日本仕様に変化させたともいえる。

かつて阪神で長く活躍した選手たちは日本を愛していた


 NPBの野球協約に沿えば、来年は国内FA権を取得するとともに、外国人選手枠の対象から外れ、事実上、日本人選手扱いになる。

 名実ともに「日本仕様のメッセンジャー」が誕生するのだ。

ランディ・バース。トーマス・オマリー。ジェフ・ウィリアムス。アンディ・シーツ。そして、マット・マートン。

 かつて、阪神で長く活躍した選手を挙げてみると、彼らがいかに日本の野球に馴染み、日本を愛していたかがわかる。

 日本の文化に触れ、日本食を好み、日本のファンを大切にする。これは外国人選手が日本で成功するための条件かもしれない。

「みなさんのことが、大好きです」

 ヒーローインタビューで心を込めたメッセージをファンに送るメッセンジャーは、助っ人外国人の優等生といっても過言ではない。


メッセンジャーのスピリッツが阪神を変えられれば


 1月28日、春季キャンプに合流すべく関西国際空港に降り立ったメッセンジャーの姿に周囲は驚きの声を挙げた。明らかに絞ってきたとわかる体が、今シーズンにかける意気込みを感じさせた。

 ここまでのメッセンジャーを見る限り、この本気度は「嘘」ではなかったことがわかる。

 広島を追い上げ、リーグ2位につける阪神。ファンを思い、優勝を願うメッセンジャーのスピリットがチームにより浸透すれば、悲願が叶うかもしれない。

(成績は5月4日現在)


文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。

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