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【君はこんなもんじゃない!】伸び悩む未来のエース・高橋光成。21歳の大器の苦悩とキラメキ

文=森田真悟

【君はこんなもんじゃない!】伸び悩む未来のエース・高橋光成。21歳の大器の苦悩とキラメキ
 未来の主力として獲得した選手が前評判通りに育ってくれれば、ファンも球団もこんなに痛快なことはない。しかし多くの場合において、そう簡単にいかないのが現実だ。

 パ・リーグの首位を快走する西武にも、そんな悩める若手がいる……。覚醒すればものすごい結果を残すはずなのに、今ひとつ足踏みを続ける選手を、エールを込めて鼓舞する恒例企画『君はこんなもんじゃない』。今回は西武の“未来のエース”高橋光成(西武)を取り上げたい。

未来のエースを予感させたルーキーイヤー


 群馬の強豪校・前橋育英で1年の夏からベンチに入り、2年時の夏の甲子園で優勝投手に。2014年のドラフト1位で西武に入団と、高橋光成は文字通りスター街道を突き進んできた。

 誰もが近未来のエース候補と疑わず、その期待に応えてルーキーイヤーから5勝(2敗)。8月には高卒新人として5人目の月間MVPを獲得した。

 同年にはプロ初完封も達成し、2軍戦ではあるものの自己最速の154キロを計測するなど、存分に才能を見せつけた。

 西武の高卒ドラ1、右投げの投手、ルーキーイヤーにプロ初勝利といえば涌井秀章(現ロッテ)。2年目に12勝と成績をジャンプアップさせたことから、高橋光成にも明るい未来が待っていると思われたのだが……。

暗雲垂れ込める2年目


 しかし、2年目はジャンプアップどころか暗雲が垂れこめる結果に。2年目のジンクスにハマったのか、22試合に登板して4勝11敗と7つの借金を背負う散々な成績に終わる。

 負け星先行以外にも、開幕前の2軍戦で審判からのボールを取りそこねて顔面骨折を負ったり、暴投からの本塁ベースカバーでコリジョンルールに抵触したり、リーグ最多の12暴投を記録。波に乗り切れない部分もあったにせよ、2年目の不調が残念でならない。

 とはいえ、そんな逆境下でも2年連続で完封勝利を挙げるなど、やはり只者ではない一端も見せた。

輝きを取り戻したい4年目のシーズン


 谷底に落ちたらあとは上がるだけ。3年目の2017年はそんなシーズンにしたかったが、開幕ローテーションに入ったものの5月に右肩の違和感で離脱すると9月まで出番なし。7試合で3勝4敗と、またもや今ひとつの成績で終わった。

 オフはウインターリーグに参加するなど意欲を見せたが、右肩の違和感が完全に払拭できず、今季は8月まで1軍出場がお預けとなった。

 今季の1軍初登板は8月8日のオリックス戦。ここで勝ち星を挙げるが、15日のオリックス戦では序盤に4失点を喫してしまう。これには、さすがの辻発彦監督も「先発として難しい」と厳しいコメントを残し、今後の登板機会は怪しくなってきた……。

チームのピンチは選手のチャンス


 現在の西武のローテーション投手は、菊池雄星、多和田真三郎、ウルフ、榎田大樹、今井達也の5人がほぼ確定で、6連戦の場合はもう1人必要になる。

 元々は十亀剣がその役を担っていたが、今季はあまり調子が上がらず、6枠目が宙ぶらりんの状態。そうなると当然、高橋光に白羽の矢が立つわけだが、千載一遇の機会を生かせていないのが現状だ。

 違和感が完治していないのか、後輩の突き上げにプレッシャーを感じているのか。あるいはその両方かもしれない。しかし、悪い空気のなかでも要所で光るものを見せてきただけに、“持っている選手”ではあるはずだ。

先が長いとわかっていても……


 高橋光の1996年生まれ世代(高橋光は1997年2月の早生まれ)を見ると、現時点でブレイクしているのは岡本和真(巨人)くらい。よくよく考えると21歳であり、まだまだこれからの世代なのである。

 絶対的エース・菊池雄星でも2ケタ勝利を挙げたのは1軍に定着して6年目のこと。だが、そう前向きに考えても、もどかしさを感じてしまうのは、高橋光のポテンシャル故のこと。もっとやれるはず、と思わせるからにほかならない。

 だからこそ叫びたくなるのだ。君はこんなもんじゃない!

文=森田真悟(もりた・しんご)

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