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マイナーリーグでも喜びはメジャー級のシャンパンファイト〜ミズーラ・オスプレイ編〜≪第3回≫

【この記事の読みどころ】
・大学に休暇を出して、76試合すべてを実況するスタジアムDJ
・ここにも日系人投手が! メジャーの夢舞台を目指す
・マイナーのシャンパンファイトを目撃した!

 飛行機で次の町に移動するのは簡単である。でも、ここはマイナーリーグ。選手も球団職員もバスで移動するのだから、当然、追いかける私も車で移動だ。自宅のあるカルガリーから7時間かけて、ミズーラ・オスプレイ(アリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下)の本拠地、オグレン・パーク・アレジアンス・フィールドに向かった。

▲マスコットのオリー君。イニングの合間に行われるオリーダンスは大人気

1人ですべてをこなすスタジアムDJ


 笑顔で出迎えてくれたのは、チーム専属のスタジアムDJだ。彼の本職は、ロサンゼルスにあるロヨラ・メリーマウント大学のアスレチックディレクターである。大学から休暇をもらって、パイオニアリーグの開催期間は、オスプレイの専属アナウンサーをしている。

 放送ブースを見せてもらうと1台のノートパソコンと小さな放送機材があるだけ。このブースから毎試合1人で放送を行っている。ディレクターも音声担当のスタッフなどもいないけれど、ダブルヘッダーでもビジターゲームでも、オスプレイが戦う全76試合、彼の熱のこもった実況はESPNモンタナ支局に送られ、そこから電波に乗って、ファンの耳へと興奮を運ぶのだ。

千葉カープ?


 試合開始前、日系ブラジル人のボー・タカハシ投手に話を聞くことができた。


「僕の祖父母はブラジルに移住した日本人なんだ。だから、僕は日系3世ってことになるね。ブラジルの野球は日本から伝わったんだよ。アメリカの野球と少し違うけど、日本の野球は大好きだよ。マイナーのプレースタイルは日本とメジャーの中間くらいかな」

 取材中に人懐っこい感じで私にもいろいろ質問してくるボー。

「あなたは日本のどこ出身なの?」
「千葉だよ。知ってる?」

 と私が答えると、

「知ってるよ。千葉カープっていうプロチームがあるでしょ」
「千葉はマリーンズだよ。カープは広島さ」

 と私が言うとボーは笑いながら「そうだったっけ?」ととぼける。南米特有の明るさを持つ、チーム最年少18歳のボーは、オスプレイの開幕投手を務め、ここまでパイオニアリーグトップタイの5勝を挙げている。(7月31日現在)

「ボーは、チームでも1、2を争うスピードの持ち主だ。18歳で91〜92マイル(146〜148キロ)出すし、コントロールも悪くない。体をじっくり鍛えていけば、将来メジャーでも投げられると思う。今年はルーキーリーグで投げてもらい、来年は1Aで投げさせたいと思っているよ」

 とジェフ・バジェナル投手コーチも太鼓判を押す。

 この日、ボーの登板はなかったが、チームは5−1で快勝。と同時に、ミズーラ・オスプレイのパイオニアリーグ・北地区の前期優勝が決まった。試合終了後、クラブハウス前でシャンパンファイトが行われた。当たり前といえば当たり前なのだが、ルーキーリーグでもシャンパンファイトをするんだな、と感心してしまう。モンタナの山々に囲まれて漂うシャンパンの香りが私を幸福感に満たしてくれた。


▲マイナーリーグでも行われるシャンパンファイト


■ライター・プロフィール
白柿佳(しらかき・よし) / 20代前半に渡米しマスコミ学の修士号を取得。テレビカメラマンを経て、現在カナダを拠点に取材活動展開中。野球と旅行をこよなく愛すフリーランスライター。その他『地球の歩き方 旅いさら』、『カルガリー・ウォーカー』でも執筆中。

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