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1イニングでサイクルヒット!? 一場靖弘や田中将大を援護した楽天のサイクルヒット劇を振り返る!


 先週は中日の大島洋平による史上64人目のサイクルヒットが話題になったプロ野球。

 このロマン溢れる快記録、筆者が定点観測する楽天でも、チームによる「1イニングサイクルヒット」というかたちで過去2度の達成があった。いずれも当時の看板投手やエースの好投を勝利につなげる快記録だったのでご紹介しよう。

一場靖弘のプロ初完封勝利を援護した怒涛のサイクルヒット


 1度目の「1イニングサイクルヒット」は、2006年4月7日、敵地で13対0の大勝を収めたロッテ戦だ。イヌワシ打線は序盤に大量得点。相手の先発を早々に引きずりおろし、すでに5対0とリードした5回のことだった。

 マウンド上には現在、鋭い観察眼による野球評論で定評のある小宮山悟。2回途中から登板し、試合を作り直していたベテラン右腕の4イニング目を攻略した。

 打者11人を送り込み、7安打7得点の猛攻。このとき、単打を山崎武司、カツノリ(野村克則)、沖原佳典、高須洋介が、二塁打をリックが、三塁打を鉄平が、そして本塁打をフェルナンデスが記録している。

 この試合で先発していたのは、当時の看板投手・一場靖弘。さらなる大量の追加点に守られた一場は9回4安打8奪三振、計6イニングを三者凡退に抑える快投。131球でプロ初完封勝利を飾った。この完封で自信をつけたのだろう。この年、一場はリーグ2位の193回2/3を投げ、創設2年目のチームの屋台骨を支える奮闘ぶりをみせている。

田中将大の好投を勝利につなげた虎退治のサイクルヒット


 2度目は2013年5月28日、7対4で勝利した甲子園での阪神戦だ。この試合、開幕7連勝を続けていたエース・田中将大が6回2失点でゲームメイク。勝ち投手の権利を持ってエースの仕事を終えたのだが、リリーフ陣が逆転を許してしまう。楽天は最終回を、1点を追う立場で迎えていた。

 9回1死後に、楽天は抑えの久保康友を攻略。銀次の左安打が口火を切った逆襲撃だった。続く松井稼頭央は、右翼線奥深くを襲う二塁打を放って同点。さらに代打・島内宏明が浅く守った外野の頭上を越える決勝の左中間三塁打。いずれも久保の145キロを超えるストレートを打ち砕いた。

 阪神は慌てて左腕の筒井和也を火消しに向かわせた。しかし、聖澤諒が返り討ちの2ラン。1イニングサイクル安打による4得点で勝利を決定づけた。

 この年、田中は24勝無敗の歴史的レコードを作った。先発27試合のチーム成績は実に26勝1敗。エースが投げる試合でチームが勝つ。この大原則を徹底できた楽天は、初のリーグ優勝へまい進。その勢いのまま日本一に輝いたことは記憶に新しい。



個人記録では岡島が挑戦権を得るも逸機


 夢のサイクル安打。じつは今年4月2日の西武戦、岡島豪郎がこの大記録に王手をかけた。「あとはホームランを残すのみ」という状況で3度打席に立ったが、惜しくも逸機してしまった。

 近い将来、楽天の個人記録でのサイクル安打達成を期待したい。


文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。

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