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楽天2位 岩見雅紀・中村紀洋レベルの飛距離を誇るアマ球界随一の大砲

岩見雅紀(慶應義塾大学)・楽天2位 岩見雅紀・中村紀洋レベルの飛距離を誇るアマ球界随一の大砲

2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。 週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。


今回の指名選手

岩見雅紀(慶應義塾大学)

楽天 ドラフト2位
岩見雅紀(いわみ・まさき)

187センチ109キロ/右投右打。1994(平成6)年7月10日生まれ、滋賀県大津市出身。中学時代は比叡山中、高校は比叡山高に所属し、高校通算47本塁打。一浪を経て慶應義塾大に進学すると、2年時は代打として経験を積み、3年春にレギュラーを奪取。今春までにリーグ通算14本塁打を放っている。守備に課題はあるものの、アマチュア屈指の飛距離を誇るスラッガー。


★最初の印象
 私が2014年12月に監督に就任した際、まずどんな選手がいるのか把握するためスタッフに「遠くに飛ばすヤツは誰だ?」と聞いたんです。そこで「バットに当たらないのでBチームに落ちました」と、1年生だった岩見について報告を受けました。スイングはとてつもないけど、本当に当たらない。最初は体格だけで、相手チームへのハッタリになればとキャンプメンバーに入れた程度でした。

★亀の歩みで立場を築く
 2学年上の横尾俊建(日本ハム)の練習パートナーになって、練習していくうちに徐々にボールが当たるようになっていきました。2年春はリーグ戦に代打で少し打席に立たせて、秋は代打で結果を残していきました。

★のんびりとした性格
 これだけのパワーがあって、柔らかさもあれば、バット1本で稼げる選手になれるのに…。歯がゆく感じることも多く、本人には厳しいことも口にしています。だんだん責任感を持ち、野球人らしくなってきたと感じます。

★岩見ネット
 ウチの練習グラウンドは高いネットが張ってあるのですが、岩見の打球が左中間フェンスを越えて、その先にある保育園まで飛んでしまうんです。危ないので5メートルのネットを上に増設する、「岩見ネット」を建てました。あいつはお金がかかる選手なんです。

★少ない出番で仕事を果たす
 日米大学野球、ユニバーシアードと日本代表に選ばれましたが、出番は代打中心でした。それでも、代打で四球を選んだり、相手が警戒するような仕事はできたと思います。台湾から帰ってきて、「大したことやってないから明日から練習だ」と伝えると、翌日から練 習に参加していました。

★これから
 飛距離は近鉄時代に見た中村紀洋や吉岡雄二と遜色ないレベルですが、彼らとは対応力が違う。タイプ的に外国人選手との高レベルな競争になるはずですし、対応力を上げられるかが上の世界での成否を分けると思います。

監督さんプロフィール


大久保秀昭[おおくぼ・ひであき]
1969(昭和44)年生まれ、神奈川県出身。桐蔭学園高〜慶應義塾大〜日本石油〜近鉄。アトランタ五輪で銀メダルを獲得。JX-ENEOS監督として、都市対抗で3度の優勝に導く。2014年冬より現職。



★消防士になるつもりだった
 高校を卒業したら野球をやめて、将来は消防士になるのが夢でした。でも、いざ高校野球が終わると「自分は何もしてない」という思いが込み上げて、大学でも野球を続けたくなってしまったんです。慶應義塾大のAO入試のことを知った瞬間、「慶應に入って、プロに行こう」と思いました。現役では不合格で、高校の先生方から大反対を受けたのですが、一浪して入学することができました。

★バットに当たらない日々
大学に入学して久しぶりに生きた球を見て、バットに全然当たりませんでした。最初はBチームで新人戦のメンバーにも入れないほど。横尾さんに目をかけてもらって、いろいろと試すなかでグリップを下げて打ってみたところ、自分のイメージと実際の動きが合う ようになっていきました。

★スイングのこだわり
 バッティングではボールを強く叩くことを意識しています。フルスイングしているのですが、周りから「軽く振っているように見える」と言われることも。適度に力が抜けてきれいに振れている証拠だと思うのでうれしいです。

★打撃は野球の一部分
 守備が下手だから、足が遅いからといって、手を抜いていいはずがありません。自分にとってはバッティングも守備も走塁も野球の一部。ホームランも、下手なりにバックホームで刺すことも同じくらいうれしいです。大学日本代表では出番が少ない悔しさ以上に勝ちたい思いがありました。

★これから
 進路はプロ一本に絞っています。希望球団なんて言える立場ではないですし、入らせてもらわないことには始まらない。プロで活躍したいと思っています。




監督

2年秋に初めて先発で使った試合で、フライを頭にカコーンと当てて目を覆いました。でも、捕れるところは普通に捕れるし、元投手なので肩もまずまず。バックアップも一生懸命します。足は加速がつけば、「速いブルドーザー」です。

本人

下手なりに全力でやらないといけないと思っています。肩は弱くはないですが、送球の精度と高められるように練習しています。






監督

グリップの位置が低いのはいいのですが、トップではある程度高い位置にグリップを置いて割れの形を作ったほうがいいのでは? と言っています。

本人

投手が構え始める前後からタイミングを取り始めて、早めに自分の形を作ることを意識しています。構えでグリップの位置を下げてから、徐々に自分のイメージと動きが合うようになりました。トップの位置は速い球に差し込まれないように、いろいろ試しています。




 見た目から豪放磊落なキャラクターを想像してしまうが、実際はクレバーな現実主義者だ。他人から学ぶことはあっても、過度に依存したり、期待することはない。その人格は、両親から何事も強制されなかった影響が大きいそうだ。「父は『〇〇しなさい』と言われて 育った人は、他人にもそう言う傾向があると言っていました」
 確固たる己を持つ、プロ向きの性格かもしれない。


本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・菊池高弘氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。


取材・文 菊池高弘

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