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アジアシリーズ2013、侍ジャパン…改めて考えたい「野球の国際化」問題

 日本シリーズが終わり、プロ野球選手のモードは戦闘態勢から銭闘態勢へ。中日・落合GMのもと展開される年俸交渉は前代未聞のアップダウンクイズ状態が続き、いよいよ本格化するFA交渉も含め、まさに熱いストーブリーグが繰り広げられている。

 10年前まで、プロ野球ファンの秋の楽しみはこれしかなかった。だが、今は違う。この秋、野球は世界規模で動いているのだ。その現状とこれからをおさらいしてみたい。

【アジアの枠を超えた!? アジアシリーズ2013】

 現在、台湾で開催され、楽天が参戦中の「アジアシリーズ2013」が、今年、面白い展開を見せている。それは、試合内容ではなく、大会の構造について。中国代表チームが契約問題などの理由で参加できず、代わりにイタリアのチーム(フォルティチュード・ボローニャ)が招待参加。また、今回が3回目の出場となるオーストラリアからはキャンベラ・キャルバリーが参戦し、日・韓・台・豪・伊と5カ国による戦いとなっているのだ。

 このアジアシリーズ、当初は日本、韓国、台湾、中国の各国優勝チームが「アジア地域のプロ野球チームNo.1を決する」という位置づけで2005年に始まった野球の国際公式戦だ。その後、2008年の第4回大会後に冠スポンサーの撤退などで一旦終了したが、2011年に復活。そして7回目の開催となった今年、もはや「アジア」の枠組みを超えてしまったのが実に面白い。

 もともとアジアシリーズの目的のひとつには「将来的に、ワールド・シリーズ覇者との間で『真のワールド・シリーズ』を開催する」というものがあり、結果的にではあるが、その形に近づいたと見ることができる。

 今年のWBCを振り返っても、オランダをはじめ欧州のレベルが向上しているのは明らか。また、現ロッテのG.G.佐藤が昨年までイタリアリーグ(しかも、そのチームが今回出場しているボローニャ)でプレーしていたように、今後、日本人選手の新たな働き場所になる可能性も大いにあり得るだけに、ファンも選手も「世界の野球リーグ」に興味を持つキッカケとするべきであろう。


▲アジアシリーズ2013公式HPからダウンロードできる壁紙

【これからどうする!? 小久保監督と侍ジャパン】

 11月8日〜11日かけて台湾で開催された2013 BASEBALL CHALLENGE「日本 VS チャイニーズ・タイペイ」。小久保裕紀・新代表監督のもと3連勝と、新たな船出を飾ることができたのはご存知の通りだ。

 試合内容についてはここではあえて触れない。26歳以下の若手を中心に選考され、アマチュアからも4選手を選出するなど、チーム編成を中心に「これから」を見据えた代表チームだったといえるのだが、課題はもっと深いところにある。

 それは、今後「侍ジャパン」というチームを、コンテンツをどうしていくかという「グランドデザイン」が見えないこと。端的に言ってしまえば、次の侍ジャパンの試合がいつ、どこを相手にするものなのかも決まっていないことにある。せっかく、フルタイムの代表監督として小久保氏を起用したにもかかわらず、なんの意味も役割も見いだせなくなってしまう。

 国際試合が組めないのであれば、例えば、近年3試合も行われている夏のオールスターの1試合か2試合を、「侍ジャパン VS オール外国人選手」、「侍ジャパン VS over35(35歳以上の選手で編成した“おっさん・ジャパン”)」といった形にするなど、話題的にもスケジュール的にも考慮できる点はきっとあるはずだ。

【侍ジャパン、新たな局面へ。まだまだ続く国際大会】

 ただ、明るい話題も付記しておきたい。上記で「グランドデザインが見えない」と書いたが、少しずつではあるが「侍ジャパン」の活動は前進も見せている。その一例が、今月末に行われる、別な「侍ジャパン」の試合である。11月23日〜25日にかけて松山で行われる「15Uアジア・チャレンジマッチ2013」に、15歳以下の「若き侍ジャパン」が参戦するのだ(※大会には、日本、韓国、台湾、松山市選抜の4チームが参加)。

 「侍ジャパン」とは、トップチームを頂点に、社会人、21U、大学、18U、15U、12U、そして女子野球日本代表も含め、すべての世代の野球日本代表の総称に変わった。これまではプロ・アマで、そして年齢ごとに、いくつもの「日本代表」が混在していたが、これからはサッカーの日本代表のように、同じ「侍ジャパンのユニフォーム」をまとったカテゴリーごとの代表が存在することになる。

 8月30日〜9月8日にかけて「IBAF18Uワールドカップ」が開催され、松井裕樹(桐光学園→楽天ドラフト1位)や森友哉(大阪桐蔭→西武ドラフト1位)ら、これからのプロ野球界を支えるニュースターたちが活躍したのが記憶にも新しい。

 「15Uアジア・チャレンジマッチ2013」では、全国のリトルシニアやボーイズリーグから期待の若手選手が18名選出されている。彼らは、明日の高校野球を、そしてプロ野球を担う期待の星だけに、日本で行われるこの大会も、野球ファンならぜひともチェックしておきたい。


 「国際化」という意味では、交渉が難航している新ポスティング制度や、うやむやになった「統一球」問題など、考慮すべきテーマはまたまだたくさんある。国内の「プロ野球」という小さなコップだけでなく、もっと大局的に「野球」のこれからを考えることが、オリンピックでの野球競技復活や、そもそもの野球人気復活につながるのではないだろうか。


文=オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。また「幻冬舎WEBマガジン」で実況アナウンサーへのインタビュー企画を連載するなど、各種媒体にもインタビュー記事を寄稿している。ツイッター/@oguman1977

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