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野球ファンならずとも大注目! 蔦監督、栽監督。高校野球伝説の名将が続々映画化!


 2016年、高校野球にまつわるふたつの映画が全国で公開される予定になっている。キーワードは「地方発」「伝説の名将」だ。


『蔦監督―高校野球を変えた男の真実―』


 1970年代〜1980年代前半、「さわやかイレブン」「やまびこ打線」で全国の高校野球ファンを虜にした徳島県立池田高校。この四国の公立野球部を率い、春夏計3度の優勝、2度の準優勝に導いた名将・蔦文也監督(2001年に逝去)の姿を追ったドキュメンタリー映画が『蔦監督―高校野球を変えた男の真実―』だ。

 この映画の注目点は、メガホンを取ったのが蔦監督の孫である映画監督・蔦哲一朗氏であるということ。同高OBの水野雄仁(元巨人)氏など教え子や関係者約40人の証言を集め、「名将」「攻めダルマ」と呼ばれた亡き祖父の実像に迫ったのだ。クラウドファンディングによって制作費を募り、5年がかりでつくりあげた労作は昨年末に完成。12月27日、地元である徳島県三好市で初上映され、計600人もの観衆を集めた。

 3月までは徳島県内で上映され、その後、全国でも順次公開される予定になっている。東京では4月9日〜15日、新宿K’sシネマ(新宿区新宿3-35-13 3F)で上映される予定だ。

 ちなみに蔦哲一朗監督は池田町で生まれ育った人物ではあるが、小・中・高と野球ではなくサッカーに没頭。それ故、生前は祖父との交流があまりなく、自身が高校2年生のときに他界。その後、上京し、映画監督になってから地元に戻り、地域の人々と交流する過程で改めて偉大な祖父の足跡を痛感し、映画化を決意したという。そんな“近くて遠い”存在だった祖父をどう描いているのか、ぜひスクリーンで確認したい。


『沖縄を変えた男』


 1990年、1991年と2年連続で夏の甲子園準優勝を果たした沖縄県立沖縄水産高校。沖縄野球、そして沖縄県民の悲願を背負い、全国屈指の強豪校に育てあげた名将が栽弘義監督(2007年に逝去)だ。この栽監督をモデルにした映画『沖縄を変えた男』の制作が佳境を迎えている。

 この映画は『沖縄を変えた男 栽弘義―高校野球に捧げた生涯』(松永多佳倫・著)を原案にしたフィクションで、“琉球水産高校”が舞台。弱小野球部が裁監督の型破りな指導によって甲子園を目指すというサクセスストーリーだ。主人公の栽監督役はお笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリが務め、スタッフも出演者もほぼ全員が沖縄県民。栽監督の教え子たちも協力しているという。昨年11月23日、糸満市西崎球場で行われたロケでクランクアップ。県民400人がエキストラ出演をするなど、地元での注目度は既に高い。

 4月の沖縄国際映画祭での上映を皮切りに、6月に沖縄県内の劇場で公開を予定。その後、全国公開も計画されている。

 モデルになった1991年の沖縄水産といえば、エースの大野倫(元巨人ほか)が右ヒジを骨折しながら投げ続け、その起用法を巡って議論が沸き起こったことでも知られている。この年に限らず、栽監督の指導方法は熱血であるが故に批判も集めたことも多い。そんな難しい役どころをゴリがどう演じているのかが注目点だ。


 高校野球の監督を描いた映画といえば、昨年も台湾の嘉義農林学校を舞台にした『KANO 1931海の向こうの甲子園』が日本で公開され、主演の永瀬正敏の演技力も含め、大きな話題を集めた。高校野球監督の映画化、というトレンドが続けば、高校野球の楽しみ方がまたひとつ増えることになる。だからこそ、今回紹介した2つの映画にも、大いに注目していきたい。


文=オグマナオト(おぐま・なおと)

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