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《野球太郎ストーリーズ》巨人2016年ドラフト1位、吉川尚輝。「菊池涼介2世」の呼び声高い天才型遊撃手(1)

取材・文=尾関雄一朗

《野球太郎ストーリーズ》巨人2016年ドラフト1位、吉川尚輝。「菊池涼介2世」の呼び声高い天才型遊撃手(1)

 来季の王座奪還を期す巨人が坂本勇人との二遊間も視野に大学ナンバーワン遊撃手を獲得。生来の感性に優れ、異次元レベルの華麗な守備と俊足で魅せる男は、亜細亜大入部辞退の挫折を経て、地元で才能を伸ばした。

岐阜県が生んだ“ 菊池2世”


 吉川が巨人から1位指名されたことで、岐阜県のチームから3年連続でドラフト1位が誕生した。
 2年前は野間峻祥(中部学院大)が広島の「外れ1位」でプロ入り。昨年は?橋純平(県岐阜商)に最初の入札で3球団が競合し、抽選の末にソフトバンクが交渉権を得た。
 吉川は「外れ外れ1位」だが、ドラフト会議全体で最初の12人以内に入ったには違いない。

 同じ岐阜学生リーグでプレーした2年先輩の野間とは、所属大学は違えど交流があった。

「僕が2年生の時、4年生だった野間さんに『今度一緒に練習しよう』と誘ってもらってたんです」

 野間がプロ入りなどで多忙になり互いに予定が合わず、結果的に合同練習は実現しなかったが、未来のドラフト1位同士が好影響を与え合い、地方リーグから最高峰のステージへ名乗りを上げた。

 岐阜学生リーグからは2011年に菊池涼介(広島)がドラフト2位で指名されている。
菊池は中京学院大出身だから、吉川にとっては偉大な先輩にあたる。
菊池とは何度か挨拶した程度の間柄だといい、「菊池さんは雲の上の存在」と吉川は恐縮した様子だ。
ただ両者の大学時代を一番近くで見てきた近藤正監督は「二人のタイプは違いますが、学生時代を比較すると、肉体的な強さは菊池の方が上でしたが、打撃の確実性や守備などプレーそのものは吉川が勝っています」と吉川のセンスを絶賛する。
同じ大学出身の遊撃手だから、吉川には「菊池2世」の呼び声があるが、プロでそれを体現するだけの資質は十分にある。

走攻守に抜群のセンス


 吉川は野球センスに満ちた天才肌のプレーヤーだ。
プレーの次元が普通の選手に比べて一段階上をいく。
リーグ戦の視察に再三訪れていた熊野輝光スカウト(阪神)も「吉川のプレーに周囲がついていけないシーンがある。
たとえば併殺なんかでも、吉川が二塁ベースに入ってもまだ送球がこなかったり、逆に吉川が投げようとしてもまだベースカバーがいなかったり。
動きにスピード感があり、後で身につけることのできない『センス』をもっている」と抜きん出た能力を認めていた。

 守備では鮮やかさとスピード感がひときわ目を引く。
打球に対して足を止めることなく、流れるような動きで処理するのだ。
ゴロをグラブに収めてからボールを持ち替えるスピードも速く、捕ってからすぐに送球できる。
打球に対する一歩目のスタートが早いから、守備範囲も広い。
二遊間や三遊間、そして前方への難しいゴロにも自在な立ち回りで追いつき、計ったようにアウトにしていく。

「自分はすべて感覚でやっている人なので…。
守備もバッティングもですけど、感覚が強い。
ゲッツーなんかも、捕った場所とか(をもとに感覚で判断している)…。
ただ、例えば捕球にしても、いろいろな捕り方をしてきた中で、どうすれば速く捕れるかを大学では自分で考えながらできるようになりました。
あとは他の選手のプレーや、プロ野球選手の動画を見て吸収できるものを探しています。
ショートでは井端弘和さん(巨人コーチ)や宮本慎也さん(元ヤクルト)、松井稼頭央さん(楽天)や菊池さん(涼介・広島)の動画をよく見ています」

 打撃では、大学1年春のリーグ戦終盤からスタメン起用され、秋には全試合に出場し打率が4割を超えた。
さらに2年春には4割3分9厘で首位打者に輝く。
本人は「下級生のころは大振りだったり、中途半端なバッティングも多かった」と言うものの、2歳も3歳も年上の選手らに交じって高打率をマークするのだから、やはり天才的というほかない。
3年秋ごろは長打を意識するあまり雑な打席が増え、簡単にフライを上げるシーンも目立ったが、4年春には近藤監督のアドバイスに従いミートに徹したところ、5割近い打率を残した。

 足の速さも出色で、岐阜学生リーグでは2年春から3季連続で盗塁王を獲得している。

 才能は生まれもったものだ。
中学時代はボーイズリーグの岐阜県選抜に選ばれているし、強豪・中京でも1年夏から背番号5をつけた。
父・好さんは現役時代、市岐阜商で甲子園の土を踏み、社会人野球の東邦ガスでプレーした経歴を持つ。
その父が監督を務めるボーイズリーグのクラブチームで吉川は指導を受けた。
母・陽子さんも実業団・東邦ガスのバレーボール部でプレーしていたというから、運動神経抜群の子が生まれたのも納得だ。
次回、「プロでは二塁手で勝負?」

(※本稿は2016年11月発売『野球太郎No.021 2016ドラフト総決算&2017大展望号』に掲載された「28選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、ライター・尾関雄一朗氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。)
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