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レジェンド番号をいきなり背負うことの意義とは? 中日ドラゴンズ背番号の系譜

 今年で球団創設80周年を迎える中日。記念イヤーを優勝で飾りたいところだが、昨季まで3年連続Bクラス。覇権奪回には相当なエネルギーを要するだろう。そんなエネルギーの一端を担う「背番号物語」を見ていきたい。


「34」「5」「11」レジェンド番号の重みをルーキーはどう感じる?


 山本昌の「34」、和田一浩の「5」、川上憲伸の「11」。これがみな実績のない新人へ間髪をいれずに渡る。光栄に思う者もいれば、偉大な番号に委縮する者がいてもおかしくない。受け取った当人たちの言葉とともに、その歴史を振り返る。


 前代未聞の32年間、50歳になるまで山本昌氏が着け続けた「34」。永久欠番級のレジェンドナンバーを、ドラフト4位・福敬登(JR九州)が継承する。本人は『やっぱり34は福だったなっていう、34は福で良かったなと思われるような選手に』と社会人時代に経験した駅員のマイクパフォーマンスを交えながら、堂々とした話しぶりを披露。この調子なら1年目からの活躍を期待していいかもしれない。

 ドラフト5位の大型遊撃手・阿部寿樹(Honda)は「5」を背負う。直近では和田一浩(2008〜2015年)の代名詞的番号で、それ以前にも大島康徳(1977〜1987年)、仁村徹(1988〜1995年)、渡辺博幸(1996〜2007年)と球団史を彩る名プレーヤーが着けてきた番号でもある。大島と和田は右のスラッガー、仁村と渡辺は職人気質の内野手という印象で分けられるが、強肩を生かした守備が持ち味の阿部は後者の系譜だろう。

「自分が背負えるだけのものは背負って頑張っていこうと思います」と必要以上に構えない姿勢の阿部。26歳でプロ入りのオールドルーキーは慌てず騒がずに、「5」を自分の番号にする。

 ゴールデンルーキー・小笠原慎之介(東海大相模高)には「11」が与えられた。古くは2度のリーグ優勝に貢献したサブマリン・三沢淳(1972〜1984年)、直近では2000年代の絶対的エース・川上憲伸(1998〜2008年、2012〜2015年)が着用。主力としての働きが期待される番号で、夏の甲子園優勝投手にふさわしいのではないか。

 入団会見では「伝統を消さずに新しい歴史をもう一回作りたい」と「11」に対する意欲を語った小笠原。他にも「(谷繁監督に唆されてではあるが)5億円プレーヤーを目指す」「通算300勝が目標」と、強気な発言が目立っている。久々にナゴヤに現れた全国区のスター球児にはこの姿勢を貫き、有言実行してもらいたい。


20年間で6度の背番号変更。森野将彦の数奇な運命


 7→8→16→8→31→30→7。

 背番号が頻繁に変わる選手といえば、森野将彦の右に出る者はいない。上記の通り、20年間のプロ野球人生で6度の変更がなされている。「森野 背番号」でネット検索を行おうとしたら、「変わりすぎ」というワードが予測変換に出てきた。それだけファンの間でも背番号がコロコロ変わっている印象なのだ。

 ドラフト2位で入団したこともあり、最初に与えられたのは一ケタの「7」。初打席初本塁打などで才能の片りんを見せるも、ほとんど2軍暮らしの日々が続く。3年目の1999年シーズン途中には李鍾範の『韓国時代に慣れ親しんだ番号でやりたい』との申し入れを受け、「8」へ変更された。


 ここから森野の背番号にまつわる数奇な運命が動き出し、2001年シーズン途中には「16」へと変わる。この時は波留敏夫(現・打撃コーチ)の加入に伴うもので、またも他の選手に押し出される形となった。

 落合博満現GMが監督に就いた2004年、森野は再び「8」を背負う。この番号で徐々に実績をつくり、2006年からは憧れの掛布雅之(現・阪神2軍監督)の代名詞「31」とともに三塁手のレギュラーを獲得。“ミスタースリーラン”の異名を取るなど、勝負強いバッティングでチームに欠かせない存在へ成長した。

 2009年オフ、引退した立浪和義の背番号「3」の継承が一度は発表されるも固辞。立浪からレギュラーを奪った張本人であり、同じ左の好打者。系譜とすれば完璧だったが、今思えば時期尚早というのが一番の理由。打撃で好成績を残す一方、守備ではリーグワーストの失策数を記録したのも尾を引いた。当時の新聞記事を見ると「1年間は球団預かりを申し出た」旨が残っているが、いつの間にかこの話は立ち消えていたようだ。

 その後「30」を4年間着け、そして現在は原点の「7」に戻っている。さすがに現役のうちは背番号変更はないだろう。元サヤに戻り円熟期を迎えた森野が、もう一度ドラゴンズに黄金時代をもたらす。


文=加賀一輝(かが・いっき)

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