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引き分けなし、デッドボールにノー謝罪、即戦力ドラ1不在…。プロ野球とメジャーリーグはこんなに違う!

文=勝田聡

引き分けなし、デッドボールにノー謝罪、即戦力ドラ1不在…。プロ野球とメジャーリーグはこんなに違う!
 海を渡った大谷翔平(エンゼルス)が右肘内側側副靭帯損傷により故障者リスト入り。今となっては1日でも早い復活を願うばかりだが、投打に渡る大谷の活躍に、今シーズンからメジャーリーグを観戦するようになったファンも多いのではないだろうか。連日のようにスポーツニュースを賑わせる様はイチローの全盛期を思い起こさせた。

 大谷効果なのか、あらためて日本のプロ野球とメジャーリーグの相違点がクローズアップされている。ここではルール、慣習など日米野球の5つの違いをピックアップしてみた。

白黒ハッキリつけるメジャーリーグに引き分けはない!


 現行のルールにおいて日本では延長12回をもって決着がつかない場合、引き分けとなり、再試合は行われない。しかし、メジャーリーグでは決着がつくまで試合が行われる。そのために、投手が足りなくなり、野手が投げることも珍しくないのだ。ただし、サスペンデッドゲームとして後日再開することもある。

 これは、白黒ハッキリつけるアメリカ人と「まぁまぁそんなこと言わずに」と場を収める日本人との気質の違いなのだろうか。

デッドボールで謝罪は不要!


 デッドボールを当てた直後に投手が帽子を取り、打者に謝る光景を見たことがあるだろう。日本ではデッドボール後に謝罪をすることが通例となっている。帽子を取らなかったことが原因で、イザコザに発展することもあるほどだ。

 しかし、メジャーリーグではデッドボールを当てて謝ることはない。投手は何ごともなかったかのように、さも平然としているのだ。もちろん、頭部死球などにおいてはその限りではない。

 アメリカでは、真剣勝負の末に起きてしまったアクシデント(デッドボール)に謝罪は不要という考え方が一般的なのだ。謝罪したら故意と思われてしまうこともあるほど。これも、お国柄の違いだろうか。

一・二塁間に4人!? 極端な守備シフト


 かつては、日本でも王貞治(元巨人)への「王シフト」のように、特定の打者に対して守備陣が特別なシフトを敷くことがあった。現在でも打者の特性や状況にあわせて、内野5人シフトを敷くこともあるが、極端なシフトは少ない。

 しかし、メジャーリーグでは極端なシフトを敷くことは珍しくない。たとえば引っ張り傾向が強い左打者に対し、遊撃手が二塁ベースの後ろ付近を守り、二塁手が右翼の手前を守り、三遊間を三塁手がひとりで守ることが時として起こる。また、一・二塁間に4人の選手を配置した球団もあった。

 もちろん、綿密なデータに基づいてのシフトだが、本来の守備位置なら打ち取っていたはずの打球がヒットになることもある。必ずしもシフトが「はまる」わけではないのだ。

 データがより重視される今、日本でも極端なシフトが流行ることはあるのだろうか。様々なデータが活用されているだけに注目したい。

ビデオ判定はニューヨークで一括管理!


 日本では今シーズンから一部のプレーを除き、「リクエスト」と称してビデオ判定を行っている。球場のビジョンではリクエスト対象のプレーが流され、ファンにとっての醍醐味がひとつ増えた。このリクエストは審判がビデオで検証しジャッジを下すが、メジャーリーグではビデオによる判定方法が少し異なっている。

 「チャレンジ」と呼ばれるメジャーリーグのビデオ判定は、審判ではなくニューヨークに設置されたオペレーションセンターにいる分析員がジャッジをする。そのオペレーションセンターでは、各球場に設置された複数台のカメラで撮影された映像を見て判断を下すのである。基本的に地方興行がないメジャーリーグは本拠地30球場にカメラを設置し、オペレーションセンターまで建てられているわけだ。

 現時点で日本では地方興行も多く、全球場に同様のシステムを導入することは難しい。しかし、もしかしたら数年後にはオペレーションセンター設立の話が持ち上がるかもしれない。

ドラフト1位でも即戦力ではない!


 先日、メジャーリーグでドラフト会議が行われた。全体1位としてデトロイト・タイガースから指名されたのはケイシー・マイズだった。大学生のマイズは150キロを超えるストレート(フォーシーム)が武器の本格派右腕だ。日本であれば、即戦力ルーキーとして開幕1軍からローテーション入りが期待されることだろう。

 しかし、アメリカでは1年目からメジャーでプレーすることはほぼなく、数年間のマイナー経験を経て、メジャーデビューを果たすが通例である。そこには様々な理由がある。アマチュアの同年代でズバ抜けていたとしても、メジャーリーグは最高峰の選手が集まる舞台。簡単に活躍できるわけではない。体を作りつつ、マイナーで適性などを見た後に満を持して昇格させるのだ。

 また、FAまでの期間が短いということも挙げられる。日本では国内FAが8年、海外FAが9年で得られるが、メジャーは6年でその権利を得ることができる。少しでも長く、そして安く逸材を保有するために中途半端な状態でメジャーデビューさせることはないのだ。

 もちろん、全選手がメジャーリーグで活躍するわけではないが、マイナーリーグで結果を残したうえでのデビューは最低条件となっている。

 一部ではあるがプロ野球とメジャーリーグの違いを取り上げてみた。その他にも違いは多くあるので、ぜひ、皆さんも探してみてはいかがだろうか。アッと驚く違いが見つかるかもしれない。

文=勝田聡(かつたさとし)

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