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レギュラーシーズン逆襲へのキーマン!? ヨシノブ巨人を救う山本泰寛と育成・増田大輝にブレイクの予感

 高橋由伸監督の下、V奪回を狙う巨人。交流戦終了時点で32勝33敗3分、首位広島に6ゲーム差の2位につけている。逆襲へのキーマンとなりそうな若手はいるのか。今季から敷いた3軍制の現状とともに探る。


歴史的貧打に泣いた昨季の巨人


 昨季、巨人のチーム打率はセ・リーグワーストの.243。規定打席に達したのは坂本勇人と長野久義のふたりだけ。2年連続で3割打者がいなかったのは2リーグ制後では球団史上初で、シーズン20本塁打にひとりも到達しなかったのは1960年以来55年ぶりと歴史的貧打に泣かされた。

 今季は6月20日現在、中日と並びリーグ3位タイのチーム打率だが、それでも.246と課題が解消されたとは言えない。首位打者坂本以外の攻撃陣に目を向けると、昨季不振だった長野は打率.296で、村田も打率3割を記録している。ただ、この3人以外の成績があまりにも悪い。坂本、長野、村田の打率は.309だが、それ以外の野手の打率は.222まで落ちてしまう。

 新外国人のギャレット・ジョーンズが打率.230、8本塁打。ロッテから移籍してきたルイス・クルーズも打率.260、6本塁打と期待に応えているとはいえない。若手に目を移しても、大田泰示は打率.213、3本塁打で「未完の大器」の域を脱していない。オープン戦で注目を集めた新人の重信慎之介も公式戦では打率.185とプロの壁にぶつかっている。

1軍で頭角を現しつつある山本泰寛



 その重信と2軍で1、2番を組むことが多かったのが、同じく新人の山本泰寛(ドラフト5位・慶應義塾大)だ。2軍で49試合に出場し、打率.274、1本塁打。4月30日に1軍昇格を果たしたが5月4日に2軍へ逆戻り。6月11日に1軍再登録され、15日の楽天戦で1番セカンドとしてプロ初スタメン出場を果たした。18日と19日のロッテ戦では2試合連続マルチヒットと徐々に結果を残している。

 2軍ではショートで44試合、セカンドで4試合と主にショートを守っていたが、1軍でセカンドでの出場が続いている。慶應義塾大時代もほとんどショートだったが、現状ではセカンドの方が山本を生かせるだろう。

 山本の特長は攻守両面での思い切りの良さで、打席ではどんな場面でもしっかりと振れる。小柄だが、合わせるようなバッティングはなく、ボールを叩こうという姿勢がいい。泥臭くボールに食らいつく姿は、スマートにプレーしようとする選手が多い巨人の中でアクセントになるはずだ。

 今季、巨人の一番打者は通算で打率.235(リーグ5位)、出塁率.261はリーグワースト。8人の選手を一番打者で起用しているが結果を出せていない。そこに山本がはまる可能性は十分ある。

何よりも声がいい! 増田大輝にも注目


 ソフトバンクに続き、巨人も今季から実戦を行う3軍制を敷いた。主に育成契約の選手で構成したチームでBCリーグやアマチュアとの交流戦を行い、ここまで20勝16敗3分。開幕当初はBCリーグのチームに押されることが多かったが、5月31日から1分をはさみ7連勝とプロの意地を見せ始めている。

 その3軍で目立っているのが、昨年の育成ドラフト1位で徳島インディゴソックスから入団した増田大輝だ。山本同様、増田もしっかりと振れる点が魅力で、バントや右打ちといった小技もきっちりとこなす。

そして、何より声がいい。ジャイアンツ球場の隣にある、よみうりランドのジェットコースターに乗った人たちの悲鳴をかき消すような増田の声は「俺を見てくれ」と訴えてくるようだ。

 昨年の育成ドラフトで指名された野手では増田が唯一、2軍でも出場しているが、打率.217と2軍の壁にぶつかっている。それでも乗り越えられると思わせる選手だ。

 巨人の新たな試みの行く末とともに、増田の成長も楽しみに見守りたい。


文=京都純典(みやこ・すみのり)
1977年、愛知県出身。出版社を経て独立。主に野球のデータに関する取材・執筆を進めている。『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)、『野球太郎』(廣済堂出版)などに寄稿。1軍はもちろん、2軍の成績もチェックし、分析している。

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