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《2016ドラフト会心の指名》二塁手or坂本の後継者…。巨人1位・吉川尚輝(中京学院大)への期待


 歓声やどよめきに包まれながら終了した今年のドラフト会議。

 順当な指名、サプライズ指名に沸くなか、ひいき球団の指名選手、ライバル球団の指名選手に、いろいろと思うところがあったのではないだろうか?

 週刊野球太郎では、4週・全8回に渡って、週刊野球太郎編集部とライター陣が、「よくぞ指名した!」と考える「会心の指名選手」を紹介していく特集を連載。

 名づけて「野球太郎ライター大推薦! 俺たちのドラフト会心の指名」。

 第7回となる今回は、今年8月にライターデビューした私、山岸健人が思う「会心の指名」を紹介したい。

今年のドラフト指名野手では最上級の評価


 まず、私は巨人ファンである。その点も含めた上で選んだ会心の指名は巨人ドラフト1位の吉川尚輝(中京学院大)だ。

 この2カ月に渡って私は、週刊野球太郎の連載企画「ドラフト怪物図鑑」「12球団ドラフト指名結果答え合わせ」で、多くのドラフト関連原稿を執筆。多くの有望選手に触れてきた。そのなかで吉川の実力を『野球太郎』持木秀仁編集長に直撃した記事も執筆してきた。

 吉川は右投げ左打ちの遊撃手。大学ナンバーワン遊撃手と呼び声高い。投手豊作といわれた今年のドラフトにおいて、野手で1位指名されたのは大山悠輔(白鴎大→阪神)と吉川だけ。ドラフト結果だけを見ても野手では最上級の評価だ。

 巨人は吉川に背番号「0」を用意。巨人が新人選手に1ケタの背番号を用意することは少ない。ここ15年間で見ても、1年目から1ケタの背番号を背負ったのは長野久義だけ。その事実だけでも、いかに吉川に大きな期待がかけられているかがわかる。


なぜ遊撃手の吉川が会心の指名なのか?


 巨人の遊撃手といえば侍ジャパンでも不動の遊撃手である坂本勇人が、チームの顔として長く君臨している。その坂本にレギュラー争いを真っ向から挑むのはドラ1であっても容易ではない。

 だが、吉川は二塁も守ることができる。これが何よりの会心の指名の理由だ。巨人の二塁手は2006年に仁志敏久がチームを去って以降、10年近くレギュラーを固定できていない。脇谷亮太、片岡治大が規定打席に到達したシーズンはあるものの、2年連続でレギュラーの座を確固たるものにすることはできなかった。

 今季を振り返ってみても新しく加入したクルーズを筆頭に脇谷、片岡、寺内崇幸、山本泰寛、中井大介、吉川大幾、辻東倫、藤村大介と多くの選手が二塁でスタメン出場。一番多く出場したクルーズもクライマックスシリーズではスタメンはおろか、ベンチメンバーからも外され首脳陣からの信頼は薄い。

 また、オフからは外野手登録の立岡宗一郎、重信慎之介も二塁に挑戦させている。いかに二塁手のレギュラー固定が巨人に必要不可欠かは明らかである。

 立岡、重信が加わりさらに激化する二塁手争いのなかで吉川にかかる期待は大きい。

 吉川は身体能力が高い上に体の使い方がうまく、フィールディング、スローイングは鮮やか。守備範囲も広い。その姿はまさに大学の先輩でもある菊池涼介(広島)を彷彿とさせる。

 急造二塁手よりも守備が上であることは明らか。また50m走5秒7の俊足も魅力だ。

吉川の起用法と未来


 今年の全日本大学野球選手権では中京学院大の初出場初優勝に大きく貢献した吉川。打率.364と打撃面もアピール。自在なバットコントロールで左右に打ち分けることができるアベレージヒッターだ。

 だが、「ここぞという場面でのパフォーマンスは素晴らしいが、集中力を欠く時があり、プレーにムラがある」との声も。打撃は「プロではしばらく苦労する」とも見られている。

 ただ、仮に打撃で苦労したとしても、前述した通り、守備は一級品で俊足。最低でも1軍ベンチには入れるべき選手である。足のスペシャリストとして一時代を築いた鈴木尚広が今季で引退。守備固めとしての起用が多い寺内は今季、守備で精彩を欠く場面もあり、衰えも見える。チームには欠かせない代走と守備固め、吉川はこの2役を1人で補うことができる。

 また、坂本は今季、自身初のゴールデン・グラブ賞受賞と年々守備も進化しているが、腰痛持ちと不安要素もある。昨季は腰痛で試合を欠場することもあった。万が一の離脱の場合には、真っ先に吉川の名前が代役として挙がるだろう。

 このまま坂本が巨人一筋でプレーしたとして、坂本が35歳のシーズンを迎える時、吉川はまだ29歳。順調にいけば選手としてピークの時期だ。その頃には坂本は腰の状態を考慮し、違うポジションを守っている可能性もある。その時こそ吉川が本職の遊撃手として輝く時だ!

 クルーズもいるため、1年目から二塁のレギュラーを奪えるかはわからないが、ファンとしてはぜひ1軍で英才教育をしてもらいたい。伸びしろも十分にある選手。打撃が不調だからといって2軍にすぐ落とすことも避けてほしい。すぐに芽は出なかったとしてもコツコツと力、実績を積み上げ、まずは二塁のレギュラー、いずれは坂本の後継者に!


文=山岸健人(やまぎし・けんと)

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