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こんな選手に「オレに訊くな!」を訊きました〜炭谷銀仁?(西武)、岡田幸文(ロッテ)、中田翔(日本ハム)〜

 3月18日に『野球太郎No.014 特集・プロ野球インタビュー「オレに訊くな!」(別冊付録・2015ドラフトスカウティングレポート)』が発売される。その人物のイメージからは縁遠いと思われるテーマを切り口にした新感覚インタビュー「オレに訊くな!」と、ドラフトスカウティングレポートの2大特集で構成される。

 そのうち、「オレに訊くな!」では9人の現役、OBのプロ野球選手に取材をした。すでに『週刊野球太郎』で掲載している高木豊さん(元大洋ほか)と、西口文也(西武)と今宮健太(ソフトバンク)のインタビューは紹介しているので、今回は、現役選手である、炭谷銀仁?(西武)、岡田幸文(ロッテ)、中田翔(日本ハム)の3選手を紹介したい。

 まずは、西武の正捕手にして、2013WBCでは侍ジャパン・日本代表に選ばれた炭谷銀仁?。経験がモノを言う捕手というポジションで、高卒1年目の開幕戦でスタメンを獲得し、その後、バッテリー賞に、ゴールデングラブ賞を受賞するなど、現役の捕手では実力も実績も十分な捕手であるはずだ。

 しかし、西武は2013年秋のドラフト会議で大阪桐蔭高の森友哉をドラフト1位で指名。プロ1年目の昨季、シーズン後半から1軍に定着して41試合に出場し、80打数で6本塁打を記録。3試合連続本塁打を打つなど、好成績を残した。この結果と、高校時代からの実績(阪神の藤浪晋太郎とバッテリーを組み、甲子園春夏連覇)を踏まえて、世の中では一気にポジションを奪ってしまうのでは、という風潮になっている。そんな中、炭谷に「有望な新人との競い方」を訊くという、なんとも無謀かつ無神経なインタビューを行った。

 この企画趣旨を説明し、これから具体的なテーマについて話していこうとすると、炭谷が、

「アイツでしょ?」

 という察しのいい言葉を返してきた。これだけ世間が騒ぎ、炭谷自身もオフにFA移籍を考えたことも踏まえれば、気がつくのは当然かもしれない。


 インタビューでは、森への意識、捕手論、炭谷自身の守備面、打撃面での話など、さまざまなことを訊いた。その中で、炭谷が持っている一貫した気持ちを読み取ることができた。

「キャッチャーは相手バッターと勝負して勝つのが仕事。“そこ(森友哉)”と勝負してチームがよくなるのか、ピッチャーがよくなるのか、と言われたらよくならないと思いますから」

 森と戦うのではない、相手チームやバッターと戦い、チームが勝つことが最も大切なことである、と。だから、それほど意識しておらず、昨シーズン後半にベンチを温める事が増えても、ベンチにいるからこそ気がつくことがたくさんあった、とポジティブにとらえた。

「経験は絶対僕の方がある。ピッチャーのことも僕の方がわかってる。キャッチャーとして一切、負けてるつもりはないですから」

 自信を持って、このように語ってくれた炭谷の今シーズンの活躍に期待したい。

 続いては、ロッテの岡田幸文。守備範囲の広さに定評があり、レギュラーを獲得した2011年6月の巨人戦にて、連続でスーパープレーを披露し、一躍、守備の人として名をあげた。昨今、雑誌や書籍などで守備特集が組まれる際に、内野では菊池涼介(広島)、外野では岡田が鉄板となっている。

 しかし、『野球太郎』では守備については触れずに、訊いたことは「ホームランの打ち方」。昨季に連続打席無本塁打のNPB記録を更新し、2015年開幕前の時点では1882打席まで伸ばしている選手に対して、まさに「オレに訊くな!」である。

 しかし、インタビューでは、どうにもこうにもテンションが上がってこない。そりゃそうだ。もともと本塁打に興味が薄く、足の速さをアピールしたい、スピードで攻撃のテンポを作りたい選手に飛距離を出す打撃は必要ないのだから。また、飛距離を求めることで、首脳陣に「あれ?」と思われてしまうのは、チームとしても、岡田自身でも避けたいこと。その結果、「打席でいつも考えているのは、ピッチャーの足元へ強い打球を打つこと」につながっている。

 しかし、そんな岡田でも、ホームランを打つとしたら、のイメージはあるという。

「まず場所は東京ドームで、球種はスライダーか、カーブ。高めに浮いてきたところを、やや前のポイントで叩いて角度が良ければホームラン。ポール際の最前列です」

 ちなみに、現段階で最後のホームランもライトのポール際、ギリギリで入ったとのこと。そして、最後に面白いことを言ってくれた。


「足が速くなかったら、もっと飛ばすことを考えていたと思いますよ。なってみないとわからないですけど、35歳くらいになるとやっぱり足の衰えが出てくるでしょう。そうなったときに一発も打てるようになってたら、確かにいいですよね」

「僕は半月板もやってますし、(体重が)85キロになったら完全にスタイルを変えて、ひたすら飛ばし方覚えますよ(笑)。177センチの85キロっていったら……井口(資仁)さん! 完全なパワーヒッター体型じゃないですか」

 今年、31歳となる岡田。5年後あたりに、プレースタイルが変わっているかもしれない!?



 最後に紹介するのは中田翔(日本ハム)。小久保裕紀監督となってからの侍ジャパンの全試合で4番を任されている。いまや完全にスラッガーの中田翔だが、高校時代は、投げては150キロも記録したことのあるストレートにキレがあるスライダーを投げ、打っては高校通算87本塁打と、投げてよし打ってよしの二刀流選手だった。そんなバックボーンを持つ中田には、大谷翔平という「リアル二刀流」としてプレーする後輩ができた。これはもう、中田に「二刀流」や「二刀流での成功」について訊くしかない! とインタビューを行った。

 高校1年生時から投打に非凡な才能を見せていた中田だが、二刀流を選択する可能性は低いだろうと、昔を思い出しながら語ってくれた。

「俺の場合は高校2年でヒジの靭帯を故障するまでバッティングに興味がなかったからね。だから故障してなくても、二刀流の可能性は低かったと思うよ」

「故障がなかったら二刀流じゃなく、ピッチャー一本でやってただろうね。元々ピッチャーでプロに入って、ピッチャーで一流になりたいってずっと思ってたから」

 高校時代はピッチングに集中するために、適当に打ったこともあるという中田。それだけ投手が好きだったし、懸ける気持ちは強かった。


 また、中田自身がここまで経験したことを踏まえて、大谷がいつまで二刀流が続くのか聞いてみると、興味深い返答をしてくれた。

「出場試合数にもよるけど、年とってきたら無理だよね。年がいってくるとスピードも、バネも落ちてくるし、俺くらいの歳からいろいろきつくなってくるから」

 年齢だけでなく、責任感やプレッシャー、背負うものの大きさなどを加味すると疲労感は大きいという。大谷もそろそろ抑えて当たり前、打って当たり前と思われるような時期に差し掛かる。そこで、どんな反応を見せるか、肉体的にも精神的にも耐えられるか、ムキになって故障につながらないか。また、ここ2年は相手もケガをさせたらどうしようと、甘い配球になっていたが、遠慮して打たれている場合でもない。厳しく攻められる中でどういった打撃成績になるかがポイントになる。

 難しい面が多いものの、投打における高い技術、強い体とメンタルをもって、実際に結果を出していることで、後輩・大谷に一目置いている中田。厳しいコメントもあったが、チームの勝利のために奮闘する大谷を応援・サポートをする気持ちが強いのも十分にうかがうことができた。

(文=編集部)

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