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50年の指導歴に幕…渡辺元智監督が率いる「最後の夏」となる横浜高校を大会直前に分析!

【この記事の読みどころ】
・渡辺元智監督、有終の美を飾るのは難しい?
・カギを握る選手は「新戦力投手」「1年生」「3年生の意地」
・組み合わせも厳しい…投手陣のスタミナを温存できれば……

 今年の5月、横浜高校野球部の渡辺元智監督が今夏限りで監督を退任することが正式発表された。約1年前、横浜高校野球部部長、コーチを歴任し、渡辺監督とともに名門野球部を作り上げた小倉清一郎氏が職を辞することに続いて、2年連続で衝撃的なニュースが飛び込んできた。

 1973年センバツで初出場初優勝を果たして以来、春夏合わせて全国制覇は5度、しかも1970年代から2000年代まで、それぞれの年代において甲子園で優勝するという偉業を成し遂げている。また、松坂大輔(ソフトバンク)を筆頭に、横浜高校出身の現役プロ野球選手は、その他のどの高校よりも多い19人と、高校野球だけでなく、日本の野球界の発展を支えた名監督と名参謀だった。


 渡辺元智監督が「最後の夏」を迎えるということで、俄然横浜高校に注目が集まっている。7月11日の神奈川大会開幕に向けて、現在のチーム状況、注目選手、甲子園に進むことができるのか、など分析してみたい。

チーム状況


 日本ハムに入団した、淺間大基、?濱祐仁など下級生時から出場してきた選手が抜けたあとの新チームは、体のサイズも技術的にも“横浜高校らしい”スケール感は薄かった。それもあってか、昨秋、今春と県大会3回戦で敗退という戦績は、渡辺監督が監督に就任した1968年以降では、1978年、2010年の秋2回戦敗退、春3回戦敗退に次ぐ、思わしくない結果だ。その結果、夏の大会でのシード権を獲得することはできず、1回戦から戦うことになった。

注目選手


 現チームの実績を考えると渡辺監督が有終の美を飾るのは難しい、という見解はある。しかし、実は体たらくな成績だった1978年は優勝して甲子園に進み、2010年は準優勝と巻き返しているのだ。その原動力となったのは「新戦力投手」と「1年生」だった。1978年は1年生ながらエース番号を背負った愛甲猛と1番打者を務めた安西健二、2010年は2年生エースの齋藤健汰とともに2本柱を形成した山内達也の奮闘が光った。

 そこでカギを握るのは「新戦力投手」の藤平尚真と「1年生」の増田珠だ。

 藤平尚真は2年生だが、成長痛、ケガなどもあり、春季県大会での登板はない。昨秋も短いイニングしか投げられなかった。しかし、夏直前の練習試合では長いイニングを投げられるようになり、コンディションは良化。連投耐性やスタミナには不安が残るものの、渡辺監督が「久々の大型速球派」と評する右腕がチームの雰囲気をガラリと変える可能性を秘める。ちなみに、中学時代には、野球とともに陸上もやっており、走り高跳びで全国優勝している経歴を持つ。折り紙つきの身体能力の高さに、186センチの美しいシルエットを兼ね備えた藤平は、横浜高校を救うことができるか、ぜひ注目してほしい。

 また、「1年生」ということでは、増田珠の評価が高い。中学時代は15U侍ジャパンに選出された好選手で、高校野球にも即対応。1番に据えて、チームを勢いづけるような思い切りのいい打撃に期待が集まる。

 1978年、2010年はもちろん、勝ち上がった年は打つべき選手が打っている。下級生や新戦力に頼りがちになる年だからこそ、「3年生の意地」も頂点を目指すには不可欠だ。そこで、4番に座る三河聖央がカギを握る。春季県大会以降の調子がよく、チーム内の期待度は高まっている。“1番の増田が出塁し、4番の三河が還す”得点パターンが増えれば増えるほど勝利に近づくはずだ。

甲子園への道


 ノーシードから8試合を戦い、神奈川を制したのは1995年の日大藤沢、1985年の藤嶺藤沢の2例しかない(1980年以前は高校数の少なさにより、最大でも7試合)。強豪校がひしめき、中堅校のレベルも上がってきた神奈川を勝ち抜くだけでも難しいのに、ノーシードから制する可能性の低さは歴史が物語っている。さらに、組み合わせを見ても、初戦に光明相模原、3回戦で当たる可能性が高い三浦学苑と序盤から投手がいい難敵が待ち構えている。そして、4回戦では春季県大会準優勝の相模原。正直、厳しいブロックに入ってしまった。

 大本命の東海大相模とは反対のヤマになっているので、対戦するとしたら決勝戦となる。準々決勝以降は、どの高校と対戦しても、一筋縄ではいかない試合になるのは間違いないが、投手陣の体力が削りに削られた末にぶつかるのが東海大相模となるのは精神的に辛そうだ。藤平と2年生左腕の石川達也を温存しながら、信頼度が高まってきた3年生の春日井静斗にどれだけ試合を任せられるかがポイントになってくる。

 好材料としては、ノーシードから優勝した2校はともに下1桁が「5」の年に神奈川を制した、ということ。どこまでツキを味方につけられるか?

□横浜高校、今夏の試合予定

12日9時〜/1回戦:対光明相模原(サーティーフォー保土ヶ谷球場)
14日13時半〜/2回戦:対海老名(バッティングパレス相石スタジアムひらつか)
18日13時半〜/3回戦(横浜スタジアム)
20日11時〜/4回戦(サーティーフォー相模原球場)
22日11時〜/5回戦(サーティーフォー保土ヶ谷球場)
24日11時〜/準々決勝(横浜スタジアム)
27日11時〜/準決勝(横浜スタジアム)
28日13時〜/決勝(横浜スタジアム)

※次週からは、渡辺元智監督の半生を3週にわたって紹介していきます。

(取材協力=久保弘毅/構成=編集部)

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