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【開幕ローテーションはどうだ!? パ・リーグ編】ソフトバンクは千賀滉大、高橋礼が圧巻も……

文=勝田聡

【開幕ローテーションはどうだ!? パ・リーグ編】ソフトバンクは千賀滉大、高橋礼が圧巻の投球も……
 今シーズンのパ・リーグは昨シーズン最下位に沈んだ楽天が序盤戦を引っ張っている。則本昂大、岸孝之といった球界を代表する投手を欠いた状態で、である。今回はパ・リーグの開幕ローテーション投手をチェック。序盤戦を振り返りながら現時点での展望を占ってみたい。

(※成績は4月21日現在)

楽天


■楽天の開幕ローテーション
岸孝之、美馬学、藤平尚真、辛島航、福井優也、弓削隼人

 楽天はエースの則本昂大が開幕前に離脱し、岸孝之が開幕戦で途中降板。先発ローテーションは当初の予定から大幅に狂った。そのような危機的状況のなか、福井優也、美馬学が頑張っている。移籍加入の福井はもちろん、美馬も昨シーズンはローテーションに加わっていなかった存在。そんな2人がエース格2枚を欠いたローテーションを支えている。

 また、辛島航も2勝0敗と出足は悪くない。自身初となる2ケタ勝利へ向け、好発進となった。一方で藤平尚真、弓削隼人は開幕ローテーションに入ったものの、ファームへ降格。台所事情を考えると、1軍復帰が望まれる

 そして安樂智大である。岸の代役としてローテーションに入ると、3試合で勝ち星こそないが防御率3.50と安定した投球を披露。かつての豪腕から、打たせて取る投球スタイルへと変化しており、今シーズンのブレイクに期待がかかる。

ソフトバンク


■ソフトバンクの開幕ローテーション
千賀滉大、ミランダ、高橋礼、東浜巨、大竹耕太郎、武田翔太

 エースの千賀滉大が圧倒的な投球を見せている。ここまで4試合連続QSをマークしており、30回を投げて43奪三振、防御率1.50。1勝0敗と勝ち星には恵まれていないが、まさに一皮むけた内容だ。

 2年目の高橋礼も好調だ。初めて開幕ローテーションに入ると、4戦4勝、防御率1.44。希少なサブマリンが新人王の有力候補に踊り出た。

 同じく2年目の大竹耕太郎も3試合連続QSを達成し、防御率1.23と好投を続けている。しかし、打線とのめぐり合わせが悪く勝ち星がない。

 一方、東浜巨は3試合で1勝1敗と五分の成績ではある。しかし、QSはなく、防御率5.94といまひとつ。また、膝痛で一度登録を抹消したミランダは4月28日に先発で復帰予定。膝の状態を気にせず投げられるか、まだ様子見の段階だろう。

 このように開幕ローテーション組は両極端な内容。ほかには実績ある和田毅が2軍戦で登板しているものの、1軍で投げられそうな状態ではない。バンデンハークや石川柊太は実戦復帰まで時間がかかりそうだ。

日本ハム


■日本ハムの開幕ローテーション
上沢直之、金子弌大、有原航平、加藤貴之、ロドリゲス、斎藤佑樹

 今シーズン、日本ハムの栗山英樹監督が「先発投手」という概念を壊しつつある。MLBで取り入れられ始めた「オープナー」を自チーム流にアレンジ。「ショートスターター」として定着させつつある。

 そのなかで「いわゆる先発」として結果を残しているのが、有原航平と上沢直之。特に有原は4試合連続QSで3勝0敗、防御率0.64と圧巻の内容。昨シーズンブレイクした上沢直之も4試合連続QSを達成し、2勝1敗。2人が先発の軸となりそうだ。

 また、今シーズンからチームに加わった金子弌大は起用法が定まっていない。先発としての登板もあれば、ショートスターターの後にマウンドへ登ることもある。今後、栗山監督がどのような形で考えているのか注目される。

西武


■西武の開幕ローテーション
多和田真三郎、今井達也、高橋光成、ニール、武隈祥太、本田圭佑

 リーグ2連覇を狙う西武は菊池雄星(マリナーズ)が抜け、昨シーズン2ケタ勝利の榎田大樹と新加入の内海哲也、さらにはドラフト1位の松本航が出遅れと今シーズンも投手陣が苦しい。

 開幕投手の多和田真三郎は防御率3.08と比較的安定した投球を見せるも、1勝2敗と黒星が先行。今井達也、高橋光成の甲子園優勝投手の2人は、今井は防御率5点台、高橋光は4点台だが、粘って2勝2敗のタイ。この3人がなんとか形を作っている。

 一方でニール、本田圭佑、武隈祥太はいずれも防御率6点台を超えており、役割を果たすことができていない。榎田、内海、松本航が1軍に昇格するまで、どのように耐え忍ぶかがカギとなりそう。

ロッテ


■ロッテの開幕ローテーション
石川歩、ボルシンガー、有吉優樹、涌井秀章、ブランドン、小島和哉

 ロッテは開幕戦に勝利したものの、そこから5連敗。5戦連続で先発投手に負けがついてしまう。さらには涌井秀章を除く5人が全員、序盤戦で登録を抹消される緊急事態となった。しかし、すでに石川、ボルシンガーは戦列に復帰しており、ひと安心。復帰後はまずまずの投球を見せており、徐々に調子を上げてくるだろう。

 この開幕ローテーション投手たちが不在のなか、岩下大輝が結果を残した。4月17日のソフトバンク戦では6回無失点で今シーズン初勝利。高卒5年目の若武者が大きくアピールした。実績のある石川、涌井、ボルシンガーと揃っているが、上位争いに加わるために若手の躍進は必要不可欠。岩下とともに、二木康太、小島和哉らが出てくることにも期待したい。

オリックス


■オリックスの開幕ローテーション
山岡泰輔、東明大貴、榊原翼、アルバース、山本由伸、松葉貴大

 西勇輝(現阪神)、金子弌大(現日本ハム)と2人の柱が抜けたオリックスは開幕から6戦勝ちなしと大きく出遅れた。しかし、その後は踏ん張り、チーム状態は少しずつ上ってきた。山岡泰輔、山本由伸が柱となるような投球を見せており、今シーズンだけでなく将来的にも楽しみだ。

 そして育成から這い上がってきた榊原翼は今季3戦目で待望の初勝利。若手投手たちがエース2人の抜けた穴を少しでも埋めようと奮闘中だ。

 また、2年目となるアルバースは防御率こそ4点台だが、これは初登板で5回7失点(自責6)を喫したため。その後の2戦では7回2/3で2失点、5回無失点と試合を作っている。打線と噛み合えば、白星は増えてくるはずだ。

 現時点ではどのチームも万全な体制ではない。エースやそれに準ずる投手たちを欠いているチームが多い。そういった離脱中の選手たちが戻ってくるまで、耐え忍ぶことができたチームが抜け出すことになりそうだ。

文=勝田聡(かつた・さとし)

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