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チーム防御率4.71……。 梨田・楽天の投壊の原因と背景はどこにある?


 開幕当初、下馬評を覆す躍進をみせた楽天。一時は首位も、その座を明け渡した4月12日以降は8勝26敗1分、勝率.235と失速。5月30日現在、3位とのゲーム差も8.5と大きく離され、最下位だ。

 新指揮官に梨田昌孝監督を迎え3年ぶりAクラスを目指すはずが、苦しい戦いを余儀なくされている。

田中将大の退団。その後遺症を苦しむチーム事情


 その原因の1つが投壊だ。チーム防御率4.71はリーグ5位。特に救援防御率が酷い。5.96は両リーグ最下位だ。背景には、いまだに埋まらない田中将大(ヤンキース)の穴と、近年のドラフト、育成戦略の失敗がありそうだ。

 2011年以降、楽天は田中の将来的なMLB挑戦を視野に入れ、ドラフトで育成含む投手19人を獲得した(三好匠のように入団後の野手転向例は除く)。彼らの現在地を見ると、楽天がなぜ苦しむのか、把握することができる。

 その顔ぶれをご確認頂きたい。

2011年
1位:武藤好貴(JR北海道)
2位:釜田佳直(金沢高)

2012年
1位:森雄大(東福岡高)
2位:則本昂大(三重中京大)
3位:大塚尚仁(九州学院高)
育成1位 宮川将(大阪体育大)

2013年
1位:松井裕樹(桐光学園高)
3位:濱矢廣大(Honda鈴鹿)
4位:古川侑利(有田工業高)
5位:西宮悠介(横浜商科大)
6位:横山貴明(早稲田大)
7位:相原和友(七十七銀行)
8位:相沢晋(日本製紙石巻)
9位:今野龍太(岩出山高)

2014年
1位:安樂智大(済美高)
2位:小野郁(西日本短期大学附属高)
5位:入野貴大(徳島インディゴソックス)
6位:加藤正志(JR東日本東北)

2015年
5位:石橋良太(Honda)

2011年以降ドラフト入団投手の大半が機能せず


 この19人中、確かな1軍戦力として複数年働くのは則本と松井裕、2年連続40回以上を投げた宮川を入れても、わずか3人だ。

 一般的に即戦力というイメージになる大学・社会人・独立リーグ出身者は、その大半が機能していない。2軍で好成績を残しながらも1軍定着できずにいる森雄大のように、高卒の原石も、強烈な光を放つには至っていない。

 古川や宮川のようにヒジや肩を痛めて長期間実戦を離れる故障例も目立ち、選手のコンディショグ管理もチームの課題だ。


今年は例年にない1軍定着の大チャンス!


 見方を変えれば、1軍主戦級投手の多くが精彩を欠く今年は、彼らにとって飛躍のチャンスである。

 楽天は先日、1、2軍の公式戦に出場しない選手を集めて育成チームを結成、社会人や大学、独立リーグとの練習試合を数十試合実施すると発表した。イースタン・リーグ公式戦やその練習試合で大いにアピールし、チャンスを掴み取って1軍を救う若鷲の誕生を期待したい。チームの命運は2011年以降ドラフト入団投手19人にかかっている!


文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。

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