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来季はどうなる? 数々の遺恨を生んだプロ野球ホームベース上のタックル問題を振り返る

 メジャー・リーグではすでに実施されているホームベース上での「タックル禁止ルール」が、日本でも来季から本格的に採用されることになった。

 ホームでのクロスプレーは、ランナーとキャッチャーの交錯により、過去に多くの選手が負傷しているのも事実。そして、そのたびに両チームの間に遺恨が生まれ、それぞれのファン同士もいがみ合うという、負の連鎖に発展していた。


 とくに、ここ最近で目立っていたのが元阪神のマット・マートンとヤクルト捕手陣とのバトルだ。シーズンが終了した今だからこそ、簡単に振り返ってみよう。


2013年5月12日・松山坊っちゃんスタジアム


 4回表、1死一、三塁から、藤井彰人がセンターへ浅めのフライを打ち上げる。センターの比屋根渉からショートを中継しバックホーム。三塁走者のマートンはタッチアップからホームへ突入。送球が低く、捕球したキャッチャーの田中雅彦はベースを覆うような形となり、そこへマートンがズドン! 判定はタッチアウトだったが、マートンと交錯した田中は左鎖骨骨折という大ケガを負った。


2013年9月14日・神宮球場


 6回表の阪神の攻撃。2死二塁から福留孝介がセンター前ヒットを放ち、二塁走者のマートンは三塁を蹴ってホームへ。センターの上田剛史からの好返球を受け、ホームベースをふさぐ形でブロックした相川亮二にマートンがまともに激突。判定はアウトだったが、激高した相川がマートンを両手で突く。両軍ベンチから選手が飛び出し球場は騒然とし、相川、マートンの両者退場というジャッジが下された。


2015年5月13日・神宮球場


 2回表の阪神の攻撃で、1死三塁の場面から伊藤隼太がやや浅めのライトフライを放つ。三塁走者のマートンがタッチアップから本塁へ。雄平からのダイレクト返球を受けた捕手の西田明央は、そのままホームベース前に立ちふさがるようにマートンにタッチにいき、そこで正面衝突。西田は弾き飛ばされながらもボールを離さなかった。


 この3つのプレーとも判定自体はアウト。ただ、評論家からファンに至るまで賛否両論が飛び交っていた。そんなモヤモヤも、来季からは少しずつ解消されていくだろう。

 先日の「プレミア12」では、タックル禁止のルールで試合が行われ、それを過剰に意識したためか、ホームベース手前でランナーとキャッチャーがお見合いしたり、キャッチャーのタッチが甘くなってしまい生還を許すようなシーンも見られたが、大きな混乱はなかった。ルールが浸透していけば、プロらしいギリギリのプレーが繰り広げられるはずだ。

 エキサイティングなプレーはゲームを盛り上げ観客の心を熱くするが、それによってシーズンを棒に振ったり、選手生命を絶たれてしまうような事態となっては、球界としても損失であり、見る側も楽しめない。新ルールの運用がスムーズに運ぶことを願いたいものだ。


文=藤山剣(ふじやま・けん)

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